17 / 274
第16話 penpenpen....
しおりを挟む[お引っ越し]
さて、そうこうしている内、Nからまた電話があった。
なんでも、バイク屋を嫌になってしまって..
勝手に辞めたらしい。
俺は、紹介した手前、ちょっと気まずかったのだが
まあシカタナイ。
どうも、頭文字Nは破滅型の人生を歩むらしい。
それで、今までいたアパートを引き払うから
手伝ってくれ、という....
誠に勝手な話しだが、無神経な奴、というのはそんなものだろう。
人の気も知らんで。
まあ、しかたなく俺はトラックを借り、奴のぼろアパートへ行った。
Nは、それでもとりあえず荷作りをしていて待っていた。
ほとんどがゴミだから、運ぶ事もないだろう、という
感じ。
それでもレコード、と音楽番組のビデオ(当時、「ベストヒットUSA」が流行っていて、洋楽ロックを聴くのが流行していた。
このNも御多分にもれず...
ピンクのシャツなんぞを着て、「俺ぁ、ハードロッカーだからよぉ...。」
が、口癖だった。
この時も、ピンクのTシャツにスリムのGパン、という
どこかモーホーっぽい格好でNは「よっ!。」
「...おお、荷物どこだ、?。」
と、俺はそのノーテンキさにあきれながらも
仕事を早く済ませて帰ろう、と思った。
「ん、ありがと、それじゃそこのロッカーから...。」
見ると、どっかの粗大ゴミ置き場から持ってきたような
事務用のスチール・ロッカーが日の当たらない4畳半の
隅に、ホコリを被って鎮座ましましていた。
「なんだ、これ、事務所からかっぱらってきたのか?。」
俺は、感じたままにそう言った。
Nは、いつものお茶らけた顔で...
「俺ぁ、ハードロッカーだからよぉ、鉄がいいんだ、ハード。
メタルだぜぇ。」
「......。」
なんか、こいつは勘違いをしてるように思ったが...
言うだけ無駄かな、と俺は考えて
「....(汚れそ..)...んじゃ、そっち持て。」
「うん。」
.....重い。
「おいN、これ中身入ってるだろ、無理だよこれ。」
俺は、ロッカーの中身を出そうと..
扉を開いた。
雑然と変な物が一杯入っていて。
中にはオフコースのレコードが何枚も...
「....おいN、こんなの聴いてんの?(^^).。」
....どこがhardrockerなんだか...
「う、うるさいなぁ、昔のだよ、それ。」
ロッカーには雑に物が突っ込んであって。
匂いつきエロ本、怪しげなピンク色のビデオ..
大学ノート。
「あれ、なんだこれ....。」
場違いな物を発見して、俺は興味を持った。
「あ、見るなよぉそれ....。」
大学ノート、を開くと....
penpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpenpen....
と、一面、「pen 」。
...なんだ、これ...
表紙を見た。
「夏休みのしくだい。N山幹男」
....どうやら、英単語の書き取り帳らしい...(^^);
俺は、思わず大笑いした。
N、激怒。
「笑うなよ!...。」
「....nん、ははは、いや、ぁ、笑うなって言われても...ばははは、おまえ..ほんとに..アホだな.....。」
ノート全部「pen」書き取りして「pen」のスペルは
覚えただろうが...
それがどういう意味があるのか?
俺は、後のオウム事件の時のマインドコントロールの
「修行するぞ、 修行するぞ、修行するぞ、..。」
のニュースを見た時に、真っ先にこの事を思い出した。
...アホの頭文字N、今頃何してるんだろう。
「pen」が潜在意識に植えつけられて文房具屋にでもなったかな。
(そういえば、penguin's familyは好きだったな.
ペン集めるの好きだったし...
さて、この時の俺はそんなことよりも、一つ、気が
ついた事があった。
「おい、N....お前、ニンジャどうしたんだ?。」
いつも、大事そうにカバーをかけて軒下に置いてあった
ニンジャは、どこにも見あたらなかった。
N...
「あ、あれ、売っちまった。
俺ぁスーパースターだっからよぉ、2サイクルしか
乗れねぇんだ。」
「........。」
俺は、返す言葉も無かった。
この当時、ホンダがスペンサーとかをプロモーションしてた事もあってか、GPが日本でも人気になっていた。
それまでは8耐、とかの関係で日本では今一つ、
という感じだったGPの知名度もすこし上がった。
で、このNのようにGPの方が上=2スト偉い。
なんていう連中が一部、出始めた。
ま、Nの場合は借金のカタに持っていかれたらしいが。
それで、Nのやつはまた、かつて乗っていたRZ250
にまた乗り始めて、嬉々として箱根あたりをブッ飛んでいた。
たまに、本当にブットんでたが(笑)
1
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
男子高校生の休み時間
こへへい
青春
休み時間は10分。僅かな時間であっても、授業という試練の間隙に繰り広げられる会話は、他愛もなければ生産性もない。ただの無価値な会話である。小耳に挟む程度がちょうどいい、どうでもいいお話です。
物理部のアオハル!!〜栄光と永幸の輝き〜
saiha
青春
近年、高校総体、甲子園と運動系の部活が学生を代表する花形とされている。そんな中、普通の青春を捨て、爪楊枝一本に命をかける集団、物理部。これは、普通ではいられない彼らの爆笑アオハル物語。
タビスルムスメ
深町珠
青春
乗務員の手記を元にした、楽しい作品です。
現在、九州の旅をしています。現地取材を元にしている、ドキュメントふうのところもあります。
旅先で、いろんな人と出会います。
職業柄、鉄道乗務員ともお友達になります。
出会って、別れます。旅ですね。
日生愛紗:21歳。飫肥出身。バスガイド=>運転士。
石川菜由:21歳。鹿児島出身。元バスガイド。
青島由香:20歳。神奈川出身。バスガイド。
藤野友里恵:20歳。神奈川出身。バスガイド。
日光真由美:19歳。人吉在住。国鉄人吉車掌区、車掌補。
荻恵:21歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌。
坂倉真由美:19歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌補。
三芳らら:15歳。立野在住。熊本高校の学生、猫が好き。
鈴木朋恵:19歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌補。
板倉裕子:20歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌。
日高パトリシアかずみ:18歳。大分在住。国鉄大分車掌区、客室乗務員。
坂倉奈緒美:16歳。熊本在住。熊本高校の学生、三芳ららの友達・坂倉真由美の妹。
橋本理沙:25歳。大分在住。国鉄大分機関区、機関士。
三井洋子:21歳。大分在住。国鉄大分車掌区。車掌。
松井文子:18歳。大分在住。国鉄大分車掌区。客室乗務員。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ほのぼの高校11HR-24HR
深町珠
青春
1977年、田舎の高校であった出来事を基にしたお話です。オートバイと、音楽、オーディオ、友達、恋愛、楽しい、優しい時間でした。
主人公は貧乏人高校生。
バイト先や、学校でいろんな人と触れ合いながら、生きていきます。
けど、昭和なので
のどかでした。
オートバイ、恋愛、バンド。いろいろです。
愛するものと出会えたなら
白い恋人
青春
昔、ある事件により、人を信じる・愛することをやめてしまった主人公、白恋 優一(はくれん ゆういち)。
そんなある日、転校してきた天真爛漫な少女、双葉 ひかり(ふたば ひかり)と出会う。そんなグイグイ迫ってくるひかりを拒絶するつもりの優一だったが………。
優一はこれから人と深く関わり合えるのか、ひかりにいったいどんな過去があったのか、これからどうなってしまうのか………。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる