ふたりの薗子

深町珠

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その夜、僕は夢を見た。

リアルな夢だった。
あの、桜台高校のキャンパスにある八重桜の木,...

そこに、制服姿の薗子が立っている。
僕は、キャンパスの外からそれを
ぼんやり眺めていたら...薗子は僕を見、
可笑しそうにくすっ、と笑う....


そんな夢だった。

短い、ほんの短い夢だけれども....
繰り返し、繰り返し。この夢を見ていたような
そんな気もする。


はっ!

気付くと、午前4時だった。

寝苦しかったな....と、思った。
キッチンに行き、冷蔵庫から
焙じ茶のボトルを出して、グラスに注いだ。

涼やかなクリスタル・グラスは
キッチンのLED照明の、青白い光に映えて
きらきらと輝いていた。
焙じ茶のブラウンが、透明な輝きを彩った。

それを一気に飲み干し、僕はすこしだけ微睡みから
醒めた。そして、ふと思いつき
スマート・フォンの電源を入れた。



......!!


戻っている。メールも、ピクチャーフォルダも。
まさか....。そんなバカな.....。

替わりに、榊汀子からの着信記録が消え失せていた。


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