ふたりの薗子

深町珠

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....逢いたいな。

自然に、心の中からそんな感情が沸き上がってくる。
今まで、感じた事が無いような感覚だった。
恋するって、こういう事なのだろうか?

僕は、初めての感覚にすこし戸惑っていた。


普段ならバスで来るのだけれども、
音楽を聞きながらだったので、自然に歩いて
僕のワン・ルームまで来てしまった。
広い吹き抜けの階段を昇って、3階へ。
305号室が僕の部屋。
階段の脇、最上階。
吹き抜け階段があるから
風が通って夏は涼しく
階段の屋根には
燕が毎年巣を架けていた。
今年は5羽雛が孵化し
賑やかにさえずっていた事を
つい、昨日のように思い出す。

もう、幼い翼ですいすいと
子つばめ達は、元気なカーヴを空に描いている.....

夜は、巣で眠っているのか
岩燕の巣は、静かだった。

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