タビスルムスメ

深町珠

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みんな、おそろいね

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愛紗は、そこが自分でもなんとなく気づいていて・・・
「そっか」と。わかった感じがした。

「ありがとう、友里絵ちゃん。私、解った。
心が必要なんだよね。そういう」

友里絵は「いやー、あたしじゃなくて。さっきの理沙ちゃんが・・・

あ。」

隠し事のヘタな友里絵である。


愛紗はにっこり。「理沙さんが、そう言ったの?」

友里絵は「うん。そーいうと愛紗、気ー悪くするかと思って」


愛紗は、そんなにまで自身に気遣ってくれる友里絵が
とても有難いと思った。それで、明るく。

「そう、ありがと。ホント。正面からそう言われたら・・・反発するかもしれない、私」


と、そう言った。



実際、どうか解らない。理沙は年上だし、バスよりも大きな、機関車を動かして
乗務している人だから。


教訓として感じる、かもしれない。
それは、感情とは別。


友里絵と愛紗は、回廊を歩いて。

階段を昇って4階へ上がった。








理沙は、浴衣に着替えて・・・さっきの愛紗の
のどかな感じ、ふんわりしてる辺りを思い出していて。

「あんまり・・運転向きじゃなさそう」


年が若い、と言うのもあるけれど。

理沙にも妹が居るけど、その妹の成長を見ていると
そんな風に思う事もある。

年齢に沿って、いろいろ、気持も変わるものだし。



「だんだん、ふてぶてしくなるから」と、自分のおなかの肉をつまんで。
にっこり。(^^)。


理沙自身も、思い返すとそうだったような気もする。


研修も、資格試験も。
そんなに簡単ではなかったし。

その都度、一生懸命になって
やっとこさ、取れた資格。



羽織を着て「さ、ちょっと行ってくるか。パティも居るし」(^^)。


襖を閉めて。玄関を開けて。
回廊に出て・・・・。

暗い、回廊の窓を眺めながら。

由布見通りの車が、ゆっくり、ゆっくり。
通り過ぎていく。


「旅くらし、か・・・・。」

青森から来て、随分遠くまで。

「まあ、いつまでも・・・・続くとも思えないけれど」

ディーゼルカーの運行が。
電化されれば、電車運転士の仕事であるから
新たに免許を取る・・・コトを認めてくれるかは
わからない。


「まあ、日本中のどこかに走ってるさ、ディーゼルは」


と、さっぱりと。そう言って、弱気にならないように。


♪ちゃいむ♪

408.理沙は、登ってきて。


はーい、と・・・友里絵の声がして。


かちゃり。


マホガニーの重厚な扉を開く。


「ああ、理沙ちゃん」と、友里絵にっこり。


理沙も、にっこり。


さ、どーぞ・・・と、408にみんな、来ていて。

コーナー・ソファに愛紗、菜由、さかまゆちゃん、ともちゃん。

デスクの椅子にパティ。


スツールに由香。


友里絵はベッドに腰掛けて。


「あー、みんなおそろいね」と、理沙。

さかまゆちゃん、ともちゃんは「こんばんは」と、にっこり。


パティは「リサー」と、にこにこ。

友里絵は「えーと、知らないのは菜由と由香だけか。理沙ちゃん、あっちが菜由。
こっちが由香」


由香は「えらい省略したな」


菜由は「ハハハ」


理沙は「はい、橋本です。青森県から来てます。ディーゼルの機関士です。
25歳」


友里絵「はい。バスガイド組は21歳、あたしと由香は今度21ね」

由香は「年言うなって」

理沙は「21ならまだいいよ」

パティは「確かに」

理沙は「パティ18じゃない」

ハハハ、とみんな笑う。


友里絵は、理沙に「あ、それじゃ、こっちの椅子を」と・・・。

ハイバックの椅子を。


理沙は「ありがとー。なんか、運転席の椅子みたい」と。


友里絵は「ゆふいんの森の運転席ってこんな椅子?」と。

理沙は「うん、感じは似てる。座り心地はいいね。2時間座るけど」

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