タビスルムスメ

深町珠

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花の女子更衣室(^^)

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豊肥本線特急「あそ」3号は、大分川沿いに下ってきたかと思うと
カーブして、鉄橋を渡る。

大分川だ。

がこーん、がこーん・・・と、大きな音。


「あっちの線路」と、友里絵が指さす。

ともチャンは「日豊本線です。臼杵の方へ行く線路」と。

さかまゆちゃんは「三重町からのバスが行くところですね」

パティが来て「あ、そろそろおりまーす」

さかまゆちゃんは「わたしたちは車掌区に行きますから、少しの間、6番線で待ってて下さ

い。久大本線ホームですね」

愛紗は「はい」

菜由は「あー、帰ってきちゃったなー。」

由香は「帰りたくない?」

菜由は「そんな事無いけど、旅って楽しいもの。家にいるよりずっと。」

友里絵「そうだよね。あたしはバスガイドで、いつも旅してるんだけどサ」

由香「ハハハ」


列車が、鉄橋を渡りきると・・・大分の街だ。


来るとき、通った駅。
線路が幾つにも分かれて、広がって。
列車が沢山停まっている。

愛紗も「ああ、帰ってきたな」と、思う・・・。


大分駅の3番線に着いた「あそ3号」から、友里絵たちが降りて。

パティと、さかまゆちゃん、ともちゃんは「じゃ、私達は終着点呼に行ってきます」

車掌さんに、ごあいさつ。敬礼。

なんか、制服じゃないとちょっとヘンだけど(^^)。



来たときお弁当を買ったお店。
アイスクリームのボックス。
新聞が並んでるキオスク。

1番線ホームの、うどんスタンド。
スレートのお屋根。
コンクリートのままのプラットホーム。



懐かしいな、と友里絵が思う。「帰ってきたんだな」と。


まだ4時前である。

菜由は「いいなぁ、こんな時間に帰れるなんて」

愛紗も駅の時計を見上げて「ホント」


バスだったら、だいたい夜だ。


愛紗もちょっと思う。「バスは辞めようかなぁ」(^^;

まあ、国鉄が使ってくれれば・・・のハナシ。



乗ってきた列車が、エンジンの音を響かせて別府に向けて出発した。
友里絵は、そのテールサインを見て・・・「行っちゃった。」


楽しかったなぁ、阿蘇の旅も。
そんなふうに思いながら・・・。


列車が巻き起こす風が、友里絵の長い髪を揺らした。




階段をことこと下りて。地下道を通って。
6番線に向かう。

5番線・6番線は、久大本線ホーム。

「直ぐ来るかなあ、パティたち」と、菜由。


由香「来るんじゃない?点呼だけだったら」。


バスだって点呼は数分。でも、バスのお掃除とか、お金の集計とか。
そういうものが分業になっていないから、30分くらいは掛かる。

ガイドはもっと、時間が掛かる。
お客さんに出したお菓子の余ったものの始末、とか。
座席の忘れ物点検、とか。

もろもろ、1時間は掛かったりする。









大分車掌区のパティたち・・・。


「終着点呼お願いしまーす」。

車掌区長も、おじさんなので(^^)
パティたち、かわいい女の子には優しい「はい。おつかれさま。気をつけてね。
明日の予定見てって。アルコール検査してね」


3人も「はい」(^^)。

アルコール検査は、乗務後にもするのがキマリ。

不思議だが。終わってから見つけても。


乗務員証は、今はRFIDになっているので
かざして、アルコール検査機に息を吹けばいい。


ふつう、緑ランプが点く。

たまーに、ユンケルとかそういうドリンク、アルコールの入ったチョコとかで
赤ランプになるので要注意。


報告書を書いたり、タイヘンなのである。(^^;


まあ、乗務中にユンケル飲む人は少ないけど。




パティは、機械に乗務員証をくっつけて。

ぴー。

機械が反応して、乗務員番号と顔写真が出る。

機械にカメラがあるので、そこの前に顔を出して。

息を吹きかける。短いストローで吹くけど

女の子はたいてい、マイストローを持っていたりする(^^)。


やっぱ、ね。


パティも、ポケットから虹模様のストローを出して。

吹く。

ぴー。

緑ランプが点く。


「ああ、良かった」と、にこにこパティ。




さかまゆちゃんも。

ぴー。



ともちゃんも。



車掌区から「失礼しましたー」と、出てきて。


パティはお着替え。


ともちゃん、さかまゆちゃんもお付き合いで、更衣室へ。


廊下が狭いので、居るとジャマだし(^^)。




更衣室は、廊下を進んで奥の方。

一見、それと解らないようなドア。


ドロボーさん対策かしら(^^)。





クリーム色のカーテンが引いてあって、中は見えないけど


熊本区みたいな、バリアフリーの引き戸じゃないのは
大分駅が、近いうちに高架駅に変わるから、だという話だった。




ドアの中は、なーんとなく甘い香りがして。

香水の香りか。


ロッカーは普通の、事務用ロッカーよりちょっと大きいのが
ぽんぽん、と並んでいて。


入り口にランドリーバゲージ。

どこでも同じで、着た制服はクリーニングに出せる。
そういうところも、バスよりは遥かにいい。


パティは、ひょいひょい、と着替えて。
着てきたメイド服(?)には名前書いてあるので
そのままクリーニングに出した。


私服は、ストレートのジーンズにシャツ。

ブロンド、青い瞳だと、なんとなく・・・ロックのミュージック・ビデオに出てくる
女優さんみたい。


パティは「ともちゃんみたいなワンピースもいいなー。」と。


横縞のニットのワンピースは、白。ところどころに藍色の縞があって
上品でかわいい。

ウェストも、絞ってなくてふんわり。

「こういうの好きなの」と、ともちゃん。にっこり。


「サンダルの方がかわいいけど、靴まで持って来れないし」


さかまゆチャン「ホント。靴はね。」ロングスカートなので、靴は隠れちゃうけど。

モノトーンのブラウスは、細かいお花の模様。
襟がちいさめで、かわいらしい。

白い、コットンのお帽子。


ちょこんと、更衣室のベンチに座っているふたり。

フロアには木のスノコが敷いてあって。

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