タビスルムスメ

深町珠

文字の大きさ
上 下
312 / 361

三重町にて

しおりを挟む
機関区の区長さんは「はい、機関区ー」と。内線なのでのんびり。

「ああ、真由美ちゃん。お兄ちゃん帰ってきたよ。もう、携帯出れるでしょ(^^)。」


真由美ちゃんは「よかった。」(^^)。


でも、一応・・・心配だからお兄ちゃんの携帯にショートメールをした。


更衣室のお兄ちゃん。制服のシャツを脱いで名札を取って。

傍らのランドリー・ボックスに入れた。

ついでにズボンも脱いで。私服に着替えて。


「風呂も入りたいけどな」


今日は、朝4時から出たので・・・3時、と言っても遅い方だ。

実働6時間である。


そんなところ、バッグの携帯にまゆまゆからメール着信の音。


お兄ちゃんは「なんだ?駅にきてんのかな」


電話掛けた・・・・。









まゆまゆは、携帯電話が鳴ったので
まだ廊下だったから、それを取った。

制服なので、勤務中は出てはいけないからだ。


「あ、もしもし・・・お兄ちゃん?お疲れ様」(^^)。



お兄ちゃんは、疲れているけど・・、まゆまゆの声に和んだ「ああ、真由美か。駅?」



まゆまゆは「そう。これから回送で人吉に帰るの」


お兄ちゃんは「そう、お疲れ様。俺はこれから明け。帰って寝ようかと思って」

そういうふうに、細切れで寝られる人でないと務まらない。

恵もそうだけど。



まゆまゆ「じゃ、手短に言うけど・・・あのね、お母さんが、お兄ちゃんを結婚させようかって
考えてるみたいなの」


お兄ちゃん「結婚って・・・まだいいよ俺。そんなの」


まゆまゆ「うん、それでね。相手は、ほら、昨日会った恵さんがいいかって」




お兄ちゃん「無理だよそんなの。俺、知らないし。ちょっと会っただけだもの」


まゆまゆ「そう、それでね・・・にせコイビトを作れば、お母さんも諦めるかって。」


お兄ちゃんは笑った「そんなの、バレるよ・・・それにそんな人、いないし。
ああ、それにね俺、特急組の予備をするみたいなんだ。そうなると・・・あんまり帰って
来れなくなるし」


・・・実際、寝台を率いるなら・・例えば門司に朝8時とか。
或いは上りだと、その反対に夜9時に門司とか。

そういう、乗務員宿泊所に泊まる事が増えるから
家庭を持ってもあんまり・・・・意味ない。
寮の方がいい。

それで、晩婚になる傾向があったり。


まゆまゆは「それでね、この人はどうかな、って。友里絵さんたちが」

と、メールで写真を送った。


お兄ちゃんは「まあ、いっか、とりあえず見るよ。じゃあ」


電話を切って。お兄ちゃんは・・・。「でも、そんなに俺を結婚させたくないのかな?」
なんて、ちら、と思ったり(^^)。



・・・まあ、いっか。

と、ケータイを切って。メールを見た。


「ああ、この人・・・・・綺麗な人だなぁ。おとなしそうだし」
と、ちょっと気になるおにいちゃんだったり。(^^)。


「でも・・・どっちかって言うと、あの小さい子の方が可愛いかな」
と、ぴょんぴょん飛んでいた友里絵のことを思い出した。

「生き生きしてて」









恵は、なんだか・・・陽射しで目が醒めた。
「あーあ・・・・3時か。」


こういう風に、ちょこちょこ寝てるんで・・・いつもすこーしだけ、時差ぼけみたいな
感じ。


「若いうちは気力で持つけどサ」と。


・・・こんなんで、結婚なんて、まあ無理だよね。

そう思う。


「なんか食べようかな」と・・・思っても
面倒になって、ついつい、なんか・・・適当なもので済ませたりする。

眠い。

それだけで。




「あーあ・・・・」好きで選んだ車掌だったけど。


「でも、駅員よりは楽だよな」


一日中、誰かに見られてるような、ああいうとこはちょっとね。


「田舎の駅長さんとかならいいけど」(^^)。









友里絵たちの乗った「あそ3号」は・・・
川沿いの線路を、右左。
カーブしながら、走る。




♪ちゃいむ♪


ーー間もなく、三重町、三重町ですーーー
と、ほがらかなお姉さんの声で、アナウンス。



前の席のイギリス人ふうのおじさんは、友里絵に「next?ohita?」


友里絵は「えー、えーと、愛紗、たのもー。」

愛紗は「ah....next , mie-machi . naka-handa, ohita.」


おじさん「thank you」と、にこにこ。



友里絵「さーすが。」と、喜ぶ。


愛紗は「正しい英語かどうか・・・不明」と、肩を竦める。

パティが、とことこ・・と来て「わたしになぜ聞かないんでしょか」



友里絵「パティがかわいいから、苦手なんじゃない?おじさん」


由香「愛紗は可愛くないのか?」


友里絵「ハハハ、そうじゃなーくてぇ。パティはさ、抱きしめたくなっちゃうじゃん。
おじさんは」


ともちゃんは「ダイナマイト・ボディー!」だし。


パティは「ハハハ」


さかまゆちゃんは「羨ましいですー」


パティは「さかまゆ、ステキよ。ジャパニーズ・ガール。」


友里絵「フジヤマ、ゲイシャガール!」


由香「芸者はあんただろ」


菜由「お笑い芸者」

友里絵「ハハハ」



列車は三重町に着く・・・・。

駅前に青と白の国鉄バス。臼杵ゆき。


愛紗はそれを見ていて、ちょっと・・・だけ。
国鉄バスもいいかなぁ、なんて思った。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

【ショートショート】雨のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
◆こちらは声劇、朗読用台本になりますが普通に読んで頂ける作品になっています。 声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて

ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

不器用に着飾って

雨宮 苺香
青春
シーンごと、視点ごとに1話分を構成した読みやすさに特化した短編作品。 すれ違う感情は熱で溶かして、言えない感情も混ぜて、固めれば、ほら。 やっと形になる2人の恋愛。それはまるでチョコレート🤎 バレンタインに合わせて制作する甘い恋愛作品をぜひお楽しみください! この作品は雨宮苺香から読んでくれるあなたへの本命チョコです🥰

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

処理中です...