タビスルムスメ

深町珠

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却下!

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EF81-137の運転台で、お兄ちゃんは・・・
快調に鹿児島本線を下っていた。

久留米、通過! 定刻!


本線上は、特急列車も来るので
それほどゆっくりとは走らない。
ブルー・トレイン回送なので、荷は軽い。

本線、進行! 速度、110!

速度計は、110にぴたり。

空気圧計は、緑のゾーンを示している。
架線電圧計は20kv。

電動機電流計も低い位置で揺れている。


ブレーキハンドルを握りながら、ふと回想。

幼い日・・・そういえば。
いつも、真由美がついていたっけ。


夏休みだったか。

「いってきまーす!」と、麦藁帽子、ランニングシャツ。
出かける時。



「おにいちゃーん、あたしもいくー」と、ついてくる真由美だった。


ひまわり模様のワンピース。襟が白くて、大きくて。

夏帽子はふんわり。 赤いリボンが巻いてあって。


にこにこ。まんまる。



「おかあさーん、真由美がついてくるってー!」



母は「おにいちゃん、面倒見てあげて」



渋々(^^;


「しょーがないなー、じゃ、いっしょにいこう」と。

真由美はにっこり「うん!」と、こっくり。

手をとって、ゆっくり歩いて・・・。





そんな事もあった。





「年がちょっと離れてるからなぁ」
5つ違いって、微妙だった。


高校生になった頃、真由美ちゃんはかわいい盛りで。

そういう真由美を、妹とは言え可愛がっていると・・・
なんとなく、ステキな気持だった。


幼いんだけど、可愛いくて。
面倒見てあげないと・・・って思ってると情が移るし。


「なんたって、おしめ変えてたしな(笑)。」



妹と言うより娘みたいな気持、はんぶん。


「あいつが不幸にならなきゃ、いいけどな」

もう、真由美も大人である。いつまでも・・・このままじゃ。いけないよな。
可愛いけど。


マスター・コントロールを戻し0。

電流を絶つ。


回路オープン。滑らかに滑走する・・・24系25系、ブルー・トレイン編成である。








その頃もまゆまゆは、ご飯を食べてから・・・。
人吉駅に戻って。


事務室に入る「入りまーす」

駅長さんは「ああ、真由美ちゃん、お帰り」と、にこにこ。
父とも兄とも顔見知りなので、安心。


「お兄ちゃんは、今頃・・・下りかな、鹿児島本線。137列車だね。」と、
駅長さんは調べてたり。

まゆまゆは、ちょっと恥ずかしい「ありがとうございます」と、お辞儀したけど
お兄ちゃん好きー、が。駅長さんにも知られていて(^^;



ちょっとはにかむ、まゆまゆちゃん。

駅長さんはにこにこ。可愛い真由美ちゃん、と、思う・・・。


「熊本で、待ってれば会えるかもね」と、にっこり。







宮地駅を発車した特急「あそ」3号は、坂道を下っていた。
運転士は直結2段にギアを固定し、排気ブレーキ。

床下でエンジンが、ごー、と唸る。


4号車、最後尾車両では・・・パティが「じゃ、お掛けください」と。
デッキから車室に案内。


木曜とあって、割りと空いている。6人って半端だけど。


真ん中へんの8席、廊下挟んで4つ、ふたつ。

友里絵は「よいしょっと」ペダル踏んで椅子を回す。

由香は「おじさんの頭にぶつけるなよ」


友里絵は「同じギャグはつかわなーい!」(^^)。


菜由「なはは」


結構な下り坂。大きな木が左側にあってカーブ。

綺麗な住宅が見えた。


深い森に進むよう。


さかまゆちゃん、ともちゃん。
南側の窓際。

廊下側に友里絵。「へっへー」と、にこにこ。

北側の窓際、愛紗、菜由。
由香は廊下側、友里絵の斜め前。

・・・・さて、由香は誰の隣でしょう?

・・・なーんて、数学の問題じゃないので(^^)そういう事は言いませんけど。





「じゃ、たーべよっか」と、友里絵。


特急なので、肘かけのところに引き出しテーブルがある。
引っ張り出して、くるり。
回すと、テーブルになる。


「どーなってんだろ、これ?」と、友里絵は裏側を覗いてみて。



由香「頭いい人が考えたんでしょ」


友里絵「ちげーねぇなぁ」


さかまゆちゃんは、にっこり笑って「時代劇みたいですね」

由香「好きなの、最近、友里絵。時代物」


菜由「桜吹雪が見えねーかぁ」

友里絵「同じネタは却下」


ともちゃん「おもしろーい」と、笑う。


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