タビスルムスメ

深町珠

文字の大きさ
上 下
283 / 361

三重町にて

しおりを挟む
機関区の区長さんは「はい、機関区ー」と。内線なのでのんびり。

「ああ、真由美ちゃん。お兄ちゃん帰ってきたよ。もう、携帯出れるでしょ(^^)。」


真由美ちゃんは「よかった。」(^^)。


でも、一応・・・心配だからお兄ちゃんの携帯にショートメールをした。


更衣室のお兄ちゃん。制服のシャツを脱いで名札を取って。

傍らのランドリー・ボックスに入れた。

ついでにズボンも脱いで。私服に着替えて。


「風呂も入りたいけどな」


今日は、朝4時から出たので・・・3時、と言っても遅い方だ。

実働6時間である。


そんなところ、バッグの携帯にまゆまゆからメール着信の音。


お兄ちゃんは「なんだ?駅にきてんのかな」


電話掛けた・・・・。









まゆまゆは、携帯電話が鳴ったので
まだ廊下だったから、それを取った。

制服なので、勤務中は出てはいけないからだ。


「あ、もしもし・・・お兄ちゃん?お疲れ様」(^^)。



お兄ちゃんは、疲れているけど・・、まゆまゆの声に和んだ「ああ、真由美か。駅?」



まゆまゆは「そう。これから回送で人吉に帰るの」


お兄ちゃんは「そう、お疲れ様。俺はこれから明け。帰って寝ようかと思って」

そういうふうに、細切れで寝られる人でないと務まらない。

恵もそうだけど。



まゆまゆ「じゃ、手短に言うけど・・・あのね、お母さんが、お兄ちゃんを結婚させようかって
考えてるみたいなの」


お兄ちゃん「結婚って・・・まだいいよ俺。そんなの」


まゆまゆ「うん、それでね。相手は、ほら、昨日会った恵さんがいいかって」




お兄ちゃん「無理だよそんなの。俺、知らないし。ちょっと会っただけだもの」


まゆまゆ「そう、それでね・・・にせコイビトを作れば、お母さんも諦めるかって。」


お兄ちゃんは笑った「そんなの、バレるよ・・・それにそんな人、いないし。
ああ、それにね俺、特急組の予備をするみたいなんだ。そうなると・・・あんまり帰って
来れなくなるし」


・・・実際、寝台を率いるなら・・例えば門司に朝8時とか。
或いは上りだと、その反対に夜9時に門司とか。

そういう、乗務員宿泊所に泊まる事が増えるから
家庭を持ってもあんまり・・・・意味ない。
寮の方がいい。

それで、晩婚になる傾向があったり。


まゆまゆは「それでね、この人はどうかな、って。友里絵さんたちが」

と、メールで写真を送った。


お兄ちゃんは「まあ、いっか、とりあえず見るよ。じゃあ」


電話を切って。お兄ちゃんは・・・。「でも、そんなに俺を結婚させたくないのかな?」
なんて、ちら、と思ったり(^^)。



・・・まあ、いっか。

と、ケータイを切って。メールを見た。


「ああ、この人・・・・・綺麗な人だなぁ。おとなしそうだし」
と、ちょっと気になるおにいちゃんだったり。(^^)。


「でも・・・どっちかって言うと、あの小さい子の方が可愛いかな」
と、ぴょんぴょん飛んでいた友里絵のことを思い出した。

「生き生きしてて」









恵は、なんだか・・・陽射しで目が醒めた。
「あーあ・・・・3時か。」


こういう風に、ちょこちょこ寝てるんで・・・いつもすこーしだけ、時差ぼけみたいな
感じ。


「若いうちは気力で持つけどサ」と。


・・・こんなんで、結婚なんて、まあ無理だよね。

そう思う。


「なんか食べようかな」と・・・思っても
面倒になって、ついつい、なんか・・・適当なもので済ませたりする。

眠い。

それだけで。




「あーあ・・・・」好きで選んだ車掌だったけど。


「でも、駅員よりは楽だよな」


一日中、誰かに見られてるような、ああいうとこはちょっとね。


「田舎の駅長さんとかならいいけど」(^^)。









友里絵たちの乗った「あそ3号」は・・・
川沿いの線路を、右左。
カーブしながら、走る。




♪ちゃいむ♪


ーー間もなく、三重町、三重町ですーーー
と、ほがらかなお姉さんの声で、アナウンス。



前の席のイギリス人ふうのおじさんは、友里絵に「next?ohita?」


友里絵は「えー、えーと、愛紗、たのもー。」

愛紗は「ah....next , mie-machi . naka-handa, ohita.」


おじさん「thank you」と、にこにこ。



友里絵「さーすが。」と、喜ぶ。


愛紗は「正しい英語かどうか・・・不明」と、肩を竦める。

パティが、とことこ・・と来て「わたしになぜ聞かないんでしょか」



友里絵「パティがかわいいから、苦手なんじゃない?おじさん」


由香「愛紗は可愛くないのか?」


友里絵「ハハハ、そうじゃなーくてぇ。パティはさ、抱きしめたくなっちゃうじゃん。
おじさんは」


ともちゃんは「ダイナマイト・ボディー!」だし。


パティは「ハハハ」


さかまゆちゃんは「羨ましいですー」


パティは「さかまゆ、ステキよ。ジャパニーズ・ガール。」


友里絵「フジヤマ、ゲイシャガール!」


由香「芸者はあんただろ」


菜由「お笑い芸者」

友里絵「ハハハ」



列車は三重町に着く・・・・。

駅前に青と白の国鉄バス。臼杵ゆき。


愛紗はそれを見ていて、ちょっと・・・だけ。
国鉄バスもいいかなぁ、なんて思った。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男子高校生の休み時間

こへへい
青春
休み時間は10分。僅かな時間であっても、授業という試練の間隙に繰り広げられる会話は、他愛もなければ生産性もない。ただの無価値な会話である。小耳に挟む程度がちょうどいい、どうでもいいお話です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ほのぼの高校11HR-24HR

深町珠
青春
1977年、田舎の高校であった出来事を基にしたお話です。オートバイと、音楽、オーディオ、友達、恋愛、楽しい、優しい時間でした。 主人公は貧乏人高校生。 バイト先や、学校でいろんな人と触れ合いながら、生きていきます。 けど、昭和なので のどかでした。 オートバイ、恋愛、バンド。いろいろです。

物理部のアオハル!!〜栄光と永幸の輝き〜

saiha
青春
近年、高校総体、甲子園と運動系の部活が学生を代表する花形とされている。そんな中、普通の青春を捨て、爪楊枝一本に命をかける集団、物理部。これは、普通ではいられない彼らの爆笑アオハル物語。

黄昏は悲しき堕天使達のシュプール

Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・  黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に  儚くも露と消えていく』 ある朝、 目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。 小学校六年生に戻った俺を取り巻く 懐かしい顔ぶれ。 優しい先生。 いじめっ子のグループ。 クラスで一番美しい少女。 そして。 密かに想い続けていた初恋の少女。 この世界は嘘と欺瞞に満ちている。 愛を語るには幼過ぎる少女達と 愛を語るには汚れ過ぎた大人。 少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、 大人は平然と他人を騙す。 ある時、 俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。 そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。 夕日に少女の涙が落ちる時、 俺は彼女達の笑顔と 失われた真実を 取り戻すことができるのだろうか。

TEN-ent
青春
女子高生5人が 多くの苦難やイジメを受けながらも ガールズバンドで成功していく物語 登場人物 ハナ 主人公 レイナ ハナの親友 エリ ハナの妹 しーちゃん 留学生 ミユ 同級生 マキ あるグループの曲にリスペクトを込め作成

野球の王子様3 VS習志野・練習試合

ちんぽまんこのお年頃
青春
聖ミカエル青春学園野球部は習志野に遠征。昨年度の県内覇者との練習試合に臨むはずが、次々と予定外の展開に。相手方のマネージャーが嫌味な奴で・・・・愛菜と取っ組み合い?試合出来るの?

家政婦さんは同級生のメイド女子高生

coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。

処理中です...