タビスルムスメ

深町珠

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三重町にて

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機関区の区長さんは「はい、機関区ー」と。内線なのでのんびり。

「ああ、真由美ちゃん。お兄ちゃん帰ってきたよ。もう、携帯出れるでしょ(^^)。」


真由美ちゃんは「よかった。」(^^)。


でも、一応・・・心配だからお兄ちゃんの携帯にショートメールをした。


更衣室のお兄ちゃん。制服のシャツを脱いで名札を取って。

傍らのランドリー・ボックスに入れた。

ついでにズボンも脱いで。私服に着替えて。


「風呂も入りたいけどな」


今日は、朝4時から出たので・・・3時、と言っても遅い方だ。

実働6時間である。


そんなところ、バッグの携帯にまゆまゆからメール着信の音。


お兄ちゃんは「なんだ?駅にきてんのかな」


電話掛けた・・・・。









まゆまゆは、携帯電話が鳴ったので
まだ廊下だったから、それを取った。

制服なので、勤務中は出てはいけないからだ。


「あ、もしもし・・・お兄ちゃん?お疲れ様」(^^)。



お兄ちゃんは、疲れているけど・・、まゆまゆの声に和んだ「ああ、真由美か。駅?」



まゆまゆは「そう。これから回送で人吉に帰るの」


お兄ちゃんは「そう、お疲れ様。俺はこれから明け。帰って寝ようかと思って」

そういうふうに、細切れで寝られる人でないと務まらない。

恵もそうだけど。



まゆまゆ「じゃ、手短に言うけど・・・あのね、お母さんが、お兄ちゃんを結婚させようかって
考えてるみたいなの」


お兄ちゃん「結婚って・・・まだいいよ俺。そんなの」


まゆまゆ「うん、それでね。相手は、ほら、昨日会った恵さんがいいかって」




お兄ちゃん「無理だよそんなの。俺、知らないし。ちょっと会っただけだもの」


まゆまゆ「そう、それでね・・・にせコイビトを作れば、お母さんも諦めるかって。」


お兄ちゃんは笑った「そんなの、バレるよ・・・それにそんな人、いないし。
ああ、それにね俺、特急組の予備をするみたいなんだ。そうなると・・・あんまり帰って
来れなくなるし」


・・・実際、寝台を率いるなら・・例えば門司に朝8時とか。
或いは上りだと、その反対に夜9時に門司とか。

そういう、乗務員宿泊所に泊まる事が増えるから
家庭を持ってもあんまり・・・・意味ない。
寮の方がいい。

それで、晩婚になる傾向があったり。


まゆまゆは「それでね、この人はどうかな、って。友里絵さんたちが」

と、メールで写真を送った。


お兄ちゃんは「まあ、いっか、とりあえず見るよ。じゃあ」


電話を切って。お兄ちゃんは・・・。「でも、そんなに俺を結婚させたくないのかな?」
なんて、ちら、と思ったり(^^)。



・・・まあ、いっか。

と、ケータイを切って。メールを見た。


「ああ、この人・・・・・綺麗な人だなぁ。おとなしそうだし」
と、ちょっと気になるおにいちゃんだったり。(^^)。


「でも・・・どっちかって言うと、あの小さい子の方が可愛いかな」
と、ぴょんぴょん飛んでいた友里絵のことを思い出した。

「生き生きしてて」









恵は、なんだか・・・陽射しで目が醒めた。
「あーあ・・・・3時か。」


こういう風に、ちょこちょこ寝てるんで・・・いつもすこーしだけ、時差ぼけみたいな
感じ。


「若いうちは気力で持つけどサ」と。


・・・こんなんで、結婚なんて、まあ無理だよね。

そう思う。


「なんか食べようかな」と・・・思っても
面倒になって、ついつい、なんか・・・適当なもので済ませたりする。

眠い。

それだけで。




「あーあ・・・・」好きで選んだ車掌だったけど。


「でも、駅員よりは楽だよな」


一日中、誰かに見られてるような、ああいうとこはちょっとね。


「田舎の駅長さんとかならいいけど」(^^)。









友里絵たちの乗った「あそ3号」は・・・
川沿いの線路を、右左。
カーブしながら、走る。




♪ちゃいむ♪


ーー間もなく、三重町、三重町ですーーー
と、ほがらかなお姉さんの声で、アナウンス。



前の席のイギリス人ふうのおじさんは、友里絵に「next?ohita?」


友里絵は「えー、えーと、愛紗、たのもー。」

愛紗は「ah....next , mie-machi . naka-handa, ohita.」


おじさん「thank you」と、にこにこ。



友里絵「さーすが。」と、喜ぶ。


愛紗は「正しい英語かどうか・・・不明」と、肩を竦める。

パティが、とことこ・・と来て「わたしになぜ聞かないんでしょか」



友里絵「パティがかわいいから、苦手なんじゃない?おじさん」


由香「愛紗は可愛くないのか?」


友里絵「ハハハ、そうじゃなーくてぇ。パティはさ、抱きしめたくなっちゃうじゃん。
おじさんは」


ともちゃんは「ダイナマイト・ボディー!」だし。


パティは「ハハハ」


さかまゆちゃんは「羨ましいですー」


パティは「さかまゆ、ステキよ。ジャパニーズ・ガール。」


友里絵「フジヤマ、ゲイシャガール!」


由香「芸者はあんただろ」


菜由「お笑い芸者」

友里絵「ハハハ」



列車は三重町に着く・・・・。

駅前に青と白の国鉄バス。臼杵ゆき。


愛紗はそれを見ていて、ちょっと・・・だけ。
国鉄バスもいいかなぁ、なんて思った。




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