タビスルムスメ

深町珠

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お嫁さんに

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KKR南阿蘇のお風呂は、温泉。

「2階だから、そのままね」と、愛紗は正常に戻って(^^)。

フロアーを、そのまま北の端まで行くと、そこが温泉。

ガラスの引き戸があって、左右に男湯、女湯。

山に面した方に、露天風呂があるので2階、らしい。


由香は「よーく洗えよ、カレースープになるぞ」と(笑)

友里絵「同じネタ」ちょっと、つっこみ。

由香「うーむ。スランプじゃ」(^^;

友里絵「ドクタースランプ・・・って、真由美ちゃんどうしてるかなぁ」
お外の景色を見て。

菜由は「それで思い出すか」
と、脱衣かごに浴衣を脱いで、畳んで。









人吉の、日光邸。

ご飯とお風呂を頂いて、恵は「なんか、悪かったわ、ほんと。酔っ払っちゃって」

真由美ちゃんは「いえいえ」。

恵は「じゃ、帰るかな」
さっぱり。

真由美ちゃんは「帰るんですか?」
ちょっと、意外そう。

恵は「うん、だってホラ・・・温泉も入ったし。ご飯も食べた。泊めて貰うのも
悪いし。まだ列車あるし。
もともと、あたしが酔っ払っちゃって温泉宿に行けなかったんだから。」
と、にっこり。

真由美ちゃんは「湯冷めしますから・・・泊まって行って下さい」
にっこり。

恵は、少し考えて。「そっか、じゃ、泊めてもらおうかな。一宿一飯の恩義を
覚えねば」と、笑う。

真由美ちゃんは「仁義ですね」と、にっこり。


恵「あ、でも真由美ちゃん明日乗務でしょう?ゆっくり休んで?」とはいえ、まだ8時である



真由美ちゃんは「はい。B番ですからのんびりですね。・・・ね、恵さん?」
と、ちょっと気づいたように。

恵は「なに?」と、優しく微笑む。


「お兄ちゃんが
『奥さんになって』
って言ったら、どうします?」

と、ちょっと確かめるみたいに。


恵は「うーん・・・お兄ちゃんのこと、よく知らないもの。まだ。
お友達になってからよね」

真由美ちゃんは「そうですよね・・・でも、お見合い結婚だとそんなですよね。
最初っから
「結婚」
がぶら下がってて。行き先表示板みたいに。
それでお友達になるのも・・・なんか、不自然なような・・・。」


恵は「行き先表示板」と、駅に下がっているそれを思い出して。
笑った。

「寝台特急 はやぶさ 東京 10号車 」なんて書いてある
ブリキの板で。
針金が渡されてるホームに吊るされてて。


真由美ちゃんは「ヘンですね」と、笑った。


恵は「でも、お友達になれなかったら結婚しなくても別にいいんだし・・・。」と。

真由美ちゃんも「そうですよね。そんなに急がなくても・・。」と。

恵は「ん、まあ女はね。だんだん売れなくなるから。ハハハ」


真由美ちゃんは「国鉄だったらずーっとシングルでも生きていけそうですけど」

と言って。










その頃、日光邸の母屋、居間で・・・。

お母さん「あの、恵さん、良さそうね」

お父さん「なにが?」

と、のーんびりしながら。


お茶のんだり。足のツメ切ったり。


お母さん「ウチの嫁に」


お父さん「えー?責任取って?」と、焦る顔(笑)

お母さんは笑って「それは別にしても、よさそうな人よ。頭もいいし。
いいキッカケでしょ?責任を取らせていただきます・・・って」にっこり。


お父さん「マンガみたいな話だな」と、笑う・・・けど。

・・・あんなお嫁さんだったらいいなぁ・・・なんて、ちょっと思ったり。


お母さんは「ま、当人同士の気持が大事だけど」

と・・・。(^^)。










ふたたび、南阿蘇の友里絵たちは・・・お風呂でのんびり。

愛紗は、つぼ湯、と言って
温泉の源泉を、瀬戸物の大きな円筒に注いであるお風呂、ひとり用のそれに
入って。

・・・ちょっと、つるつるする・・・。

と、温泉のお湯を、肌で感じて。


透明なお湯。ちょっと、硫黄っぽい感じ。


膝を抱えて入らないとならないけど、なんか、ひとり用っていいかも。

そんな風に思って。


きょうは水曜なので、人もほとんどいない。


友里絵は、大きなお風呂でのーんびり。

由香は「泳いでもいいぞ」


友里絵は「そう言われると泳ぎたくないな」


由香は「ヘソまがりめ」

友里絵は「まっすぐついてるよ、見るか?」

由香「なんども見てるよ」


友里絵「そっか」

菜由は、露天へ。

ガラスの引き戸があって、その向こうに浴槽がある。
以前はただのベランダで、一階の屋根があるだけだったが
露天風呂を作ったらしい。

鋸岳が見える。

月明かりが綺麗だ。

国立公園の中なので、何も無い。

灯りがないので、星もよく見える。
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