タビスルムスメ

深町珠

文字の大きさ
上 下
220 / 361

太平燕

しおりを挟む
愛紗が、少し言葉少なになったので、菜由は

「どうかした?アンちゃん、かっこよかった?」

と、ちょっとおどけて。

愛紗は「ううん、ちょっと・・・機関車がね。いいなって思って」

菜由は「なるほど・・・運転、好きだもんね愛紗」

愛紗自身もよく判らない。大きな機関車を動かす、そんな仕事。
それもいいな、と・・・・。
実際に動かしている人に出会えて、そう思った。



心のどこかに、憧れ、が・・あったのかもしれない。



5人は、新幹線口の前にある噴水のところのベンチに座って。
ジェラートを頂いた。

「この噴水、飲めるって」と、友里絵。

いちごミントのジェラート。

「はい。以前は、この水を使っていたそうです。機関車に」
と、真由美ちゃん。

もも・スパークリングのジェラート。

「蒸気機関車、ずっとあったものね」と、菜由。

ジェラートではなく、パリパリチョコ・サンデー。
木のスプーン。


「今も走ってるんじゃない?」と、愛紗。


ヴァニラ・ソフトクリーム。南阿蘇牛乳の。

美味しそう。



「ああ、なんか・・・来るとき言ってたね」と、由香。
辛子明太子・ミント(?)。どういう味なんだろ。


「はい。今だと・・・・09:00熊本発ですね。宮地行きです。」と
真由美ちゃん。


友里絵は「さすがは現役」と、にっこり。

噴水の脇にある、井戸水の蛇口を開いて。掌をかざして。
「温いよ」と。


菜由は「ほんじゃさ、コンビニで氷買ってきて、氷水にすれば」


友里絵「ほー、アッタマいいー。」と、即座に駅前のコンビニに行って・・・・。

買ってきたのは板氷(^^)。

由香が「どーやって割るんだよ」


友里絵「でもさー、長持ちすると思って」


由香「割れなきゃ食えないじゃん」

友里絵「空手で」と・・・・。手刀で。「アチョ!」


まったく割れず(笑)「いててて・・。」


菜由「ははは」

真由美ちゃん「大丈夫ですか?」


由香「平気平気。頑丈にできてるから。バカは」


愛紗は「目があるから、そこを叩けば割れそう・・・。」と、氷を日にかざして。

友里絵「そう?」と、見てみる・・・。

由香は「ビニール袋の上にさ、コンビニ袋をかぶして。なんか硬いもんで」

友里絵「硬いもの・・・・。」

由香「オマエの頭は?」

友里絵「やわらかのーみそ」


由香「だよなー。ハハハ。」


愛紗は「氷の袋に、井戸水いれて、冷えたの飲めば?」

菜由「それが無難か」と。


友里絵「ちょっと試す」と、いちごミントのジェラート。それのカップに注いで・・・。


「冷たいけど、いちごミント味」(^^;

わはは、と・・・みんな、笑う。


由香が「そうそう、ラーメン」と、さっき言ったことを思い出して。


菜由は「太平燕は?」と。

由香「ああ、なんだっけ・・・春雨のちゃんぽん」

友里絵は「仕事もちゃんぽん」

由香「それは友里絵」

ははは、と・・・・。楽しく笑いながら。

折角だから、少し観光がてら・・・と。

駅前から、市電に乗って・・・熊本城の前にあるレストランで頂く事に。

真由美ちゃんは「お城、見たことありますか?」


菜由は「あたしは、何度か」
愛紗は「はい。わたしも」

友里絵は「あたしは・・・・ないけど。タマちゃんに話は聞いてる。」
由香「あ、来たことあるんだ」


友里絵「そう、熊本も時々来るんだって。お城も行って。
緑深くて、いいとこだって」

真由美ちゃんは「はい。お山みたいなところですし」


と・・・言う事で。

駅前にある、綺麗な電停から
路面電車に乗って。
結構な坂道だけれども、路面電車は力強く登る。
床下のモーターが、歯車にかみ合う音が
ぐいーん・・・・と。


空いている車内。
長いベンチのようなシートに座って。

菜由は「お兄ちゃんはさ、いつも帰ってこないの?」

真由美ちゃんは「いつもは、大抵・・・夜行の仕事があるのです。貨物は。
明けー公休ー公休、なんて時は帰ってきますけど、大抵は
機関区のそばの寮に居ます」


友里絵は「それじゃ、結婚はまだまだ難しいかなー。」
と、マジメに。


由香「押しかけんなよ、メーワクだから」と、にこにこ。

友里絵「まあ、寮じゃねぇ。・・・あたしらと一緒だ」


真由美ちゃんは「寮ですか?お住まい」


友里絵は「いえいえ。みんな、自分の家から」


真由美ちゃんは「そうですね。乗務員は、時間が不規則ですから」


菜由「お国の為とか」

友里絵「ああ、お兄様」と、膝まづいて、両手を合わせて。

菜由「なんか危なくなってきたなぁ」

由香「くりーむなんとかだろ」

愛紗「シェークスピアかな」


友里絵「やっぱ、言う事が違うよなー。かたや、シェークスピアー。
ゆかはくりーむなんとかだもんなぁ」


由香は「ははは」


菜由は「笑ってごまかしたか」


真由美ちゃんは「くりーむなんとか?って、なんですか?」


菜由は「あ、さっき食べたでしょ。あんなの。」と、ごまかす。


真由美ちゃん「???・・・・お兄さんと?・・・
あ、着きますよー、お城、見えるでしょ?」と。
結構なビル街の中に、お城が大きく。

不思議な光景。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

イラスト部(仮)の雨宮さんはペンが持てない!~スキンシップ多めの美少女幽霊と部活を立ち上げる話~

川上とむ
青春
内川護は高校の空き教室で、元気な幽霊の少女と出会う。 その幽霊少女は雨宮と名乗り、自分の代わりにイラスト部を復活させてほしいと頼み込んでくる。 彼女の押しに負けた護は部員の勧誘をはじめるが、入部してくるのは霊感持ちのクラス委員長や、ゆるふわな先輩といった一風変わった女生徒たち。 その一方で、雨宮はことあるごとに護と行動をともにするようになり、二人の距離は自然と近づいていく。 ――スキンシップ過多の幽霊さんとスクールライフ、ここに開幕!

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス

R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。 そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。 最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。 そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。 ※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】

S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。 物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。

晩夏光、忘却の日々

佐々森りろ
青春
【青春×ボカロPカップ】エントリー作品  夕空が、夜を連れて来るのが早くなった。  耳を塞ぎたくなるほどにうるさかった蝉の鳴く聲が、今はもう、しない。  夏休み直前、彼氏に別れを告げられた杉崎涼風は交通事故に遭う。  目が覚めると、学校の図書室に閉じ込められていた。  自分が生きているのか死んでいるのかも分からずにいると、クラスメイトの西澤大空が涼風の存在に気がついてくれた。  話をするうちにどうせ死んでいるならと、涼風は今まで誰にも見せてこなかった本音を吐き出す。  大空が涼風の事故のことを知ると、涼風は消えてしまった。  次に病院で目が覚めた涼風は、大空との図書室でのことを全く覚えていなかった……  孤独な涼風と諦めない大空の不思議で優しい、晩夏光に忘れた夏を取り戻す青春ラブストーリー☆*:.。.

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

処理中です...