タビスルムスメ

深町珠

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ふんわり

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妹のいない友里絵にとって、愛らしい女の子と
寄り添って眠るのは、初めての体験だった。
密やかな息遣い、温もり。
いい香り。

ふんわりしている真由美ちゃんは、とてもやわらかだ。

なでなで、してあげたいけど・・・・起きちゃうね。

そんなふうに思いながら、友里絵も、いつしか眠りに・・・。


真由美も、やはり姉はいないから・・・・。
一度に、4人もお姉さんが出来て。
可愛がってくれて。

とても嬉しい一日だった。

眠ってしまうと・・・明日が来てしまう。

そうすると、お別れ・・・・・なの。

そう思うと、淋しくなって
泣いてしまいそうになるけれど・・・・。

友里絵の温もりを感じながら、眠りに・・・・。


静かな山郷に、川のせせらぎだけが響く・・・・。



・・・そんな、夜半。



ふと、友里絵は
真由美ちゃんの温もりが感じられない事に気づく。


・・・・あれ?

掌で探ってみたけれど。


月明かりに目がなれてから・・・。

・・・いないねぇ。


・・・・おしっこかな(^^;


なーんて思ってると、友里絵も行きたくなった。


・・・・連れション、連れション(^^;


友里絵も、そーっと寝床を抜け出して。
部屋のスリッパを履いて、ドアを静かに開けて。
廊下に出て、そーっと閉じた。


薄暗い廊下に、非常口の緑の表示だけが光る。


「便所、便所」(^^;と、友里絵はスリッパで歩いて。

廊下の端っこの、トイレに。


♪じょぼじょぼじょぼ、じょぼ♪(^^;

「はー。カイカンカイカン」


個室から出てきて。

廊下に戻る。



廊下の向こう、川の方の角の窓辺に
浴衣のシルエット。


・・・・・幽霊かな・・・・?(^^;


と、友里絵はしずかーに歩いて。


近くまで行くと・・・・真由美ちゃんだった。



静かに。静かに・・・・。そばまで行って。

背中をつっついた(^^;

「きゃっ!」と、真由美ちゃんが驚いて声を上げたので


友里絵は、唇に人差し指をあてて「しー・・・。」

真由美ちゃんも同じ仕草をして。にっこり。



「眠れない?」と、友里絵は優しい声で。

真由美ちゃんはにっこり。かぶりを振って。
月明かりに、瞳が輝いて。
とても愛らしい。

唇が、とても柔らかそう。いちごみたい。
そんなふうに、友里絵は思った。


「眠っちゃうと・・・朝がきちゃう」と、真由美ちゃん。


友里絵は「よしよし」と、頭を撫でて、優しく抱いた。

「かわいいかわいい」

真由美ちゃんは、ぽろぽろ、と・・・涙をこぼして。

友里絵は、その頬にkissした。

「いい子だね。真由美ちゃん。あたし、きっと帰ってくるから」



そんな予定は無かったけど・・・そう言わないと。そう思ったりして。

真由美ちゃんは、友里絵に向き直って、抱きついた。

ふわふわの真由美ちゃんなので、温かく、柔らかかった。
真由美ちゃんの涙が、友里絵の浴衣に、ぽつり、ぽつり・・・。

友里絵も、なぜか落涙していた。

淋しい・・・のかな?。よくわからなかった。







しばらく、そうしていて・・・。


「もう少し、寝よ?」と、友里絵。

「はい」と、真由美ちゃん。



しずかに、しずかーに・・・・。

お部屋に戻って。友里絵が先に。
お布団のところに入ろうか・・・と思ったけど。

どこだか、わからない(^^;




「ま、いっか。この辺だろう」と・・・適当なところにもぐりこむと
由香の足があったので、足で押し返して(笑)。


寝た。


真由美ちゃんは、友里絵の隣に。しずかに、しずかーに・・・。






そうして、また、静かに眠りについた。











夜が白み始める前に、一番列車の音が聞こえて。
愛紗は気づいた。


・・・・かたかたん・・・・かたかたん・・・・。



その響きのほかには、何も聞こえない。


小鳥も、まだ目覚めていない、早い朝・・・と言うか、まだ夜だ。



九州らしい感覚である。



「もすこし、寝ましょ」と、愛紗はまた、瞳を閉じた・・・。







次に、気がついたのは・・・。
明るくなってからだった。


・・・・何時かな?と、菜由は、部屋の掛け時計を見た。


・・・7時半か・・・・。



「まあ、予定のある旅でもなし」と、のーんびり。

今日の夕方までに、南阿蘇?だっけ。あそこまで行けばいいのだし。


きょうは水曜日。「長い旅だなぁ」と、思う。
「でも、半分きちゃったなあ」と・・・・ちょっと旅愁に駈られたり。

金曜 「富士」号、車内泊

土曜 庄内、日野さんの家

日曜 KKR指宿

月曜 KKR指宿

火曜 KKR人吉

水曜 KKR南阿蘇  ・・・の、予定。

真由美ちゃんは、まだ眠っている。


・・・・天使の休息、ね。

と、愛らしい、瞳を閉じた真由美ちゃんを
菜由は、そんなふうに思った。
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