185 / 361
7236D,湯前、定着!
しおりを挟む
次の駅の駅前には・・・ブルー・トレインが一両、あって。
最後尾車両なので「はやぶさ」と、テールサインが表示されている。
真由美ちゃんは「列車のお宿、なんです。走っているのと同じ」
菜由は「来る時に乗ってきたの、この子たちは」
真由美ちゃんは「菜由さんは乗らなかったのですか?」
菜由は「はい。わたしは飛行機で。ほんとはね・・・友里絵と由香も
そのはずだったんだけどネ」
由香は「雨が強かったから、飛行機飛ばないかと思って。無理して
寝台に乗ってきちゃったの。」
友里絵は「まあ・・・早く遊びたかったのもある」
みんな、ははは、と笑って。
「休み、なかなか合わないし、友達と。
週末は大抵仕事だし」と、由香。
「わたしも、そうなんです。だから、今日はね。ひさしぶりに
お休みの日に、遊べるなーって思って。」と、真由美ちゃん。
愛紗も「勤務の都合でね、どうしても、ひとりになっちゃう」
菜由も「それで、ボーイフレンドも社内になっちゃうし」
愛紗「菜由みたいに」
菜由は笑って「そうそう」
列車には、誰もいなくなったので・・・・
気兼ねなく女子会(^^;
運転士さんは、硝子の扉の向こうなので
そんなに煩くもないだろう。
友里絵は「真由美ちゃんはかわいいからさ・・・ワゴンサービスしてるときに
お客さんにナンパされたりするでしょ」
真由美ちゃんは「いえいえ・・・あ、でも。息子の嫁に、と言う
お父さんとか、そういう人はいましたね」
菜由「うんうん。わかるわかる。お父さんから見ても可愛いもんね」
友里絵は「お父さんが可愛がりたいのね」
真由美ちゃんは「いえ、そんな・・・そう見えるのかもしれませんけど。
そんなにおとなしくもないです」と、きっぱり。
「ほんとなら、役場の事務員とか・・・そういうお仕事を薦められたのですけど。
学校の先生からは」
菜由「よし!それで安心した。薩摩おごじょだね。」
真由美ちゃんはにっこり。
列車は、勾配がすこし急になった斜面を、ゆっくり登っている。
しかし、変速段ではなく固定2段である。
周囲には、そろそろ林が増えてきたり
切り通しの築堤、鉄橋。
山岳鉄道のようになってきて。
この本線と直交する線路も見えたり。
「あれは、何線?」と、愛紗。
真由美ちゃんは「あれは、工事用のトロッコを退避する線路です。」
友里絵は「よく知ってるね」
真由美ちゃんはにっこり「はい。観光案内もお仕事です」
由香「そーだよねー。友里絵ったらね。お客さんに「あの山は、なんていう山ですか」
と、聞かれて・・。」
友里絵「あ、えー、と、山です」
みんな、笑う。そりゃそうだ。
友里絵「わかんないんだもん、みんな一緒に見えるし」
真由美ちゃん「楽しいガイドさんですね」
友里絵「そっかな。ははは」
由香「笑ってていいのか?見習え、少し」
友里絵「いーんだもん。あたしはあたし。」
愛紗は思う。
・・・あたしはあたし、と言い切れる友里絵ちゃんは、いいなぁ。
強いなぁ、と思う。
真由美ちゃんも、見かけ、かわいい子なのにしっかりと自分を持っている。
なんでなのかな、なんて・・・思ったり。
列車は、やがて・・・・終点。湯前駅に近づく。
♪ぴんぽん♪
チャイムが鳴り
優しい女声で
ーーー間もなく、終点、湯前ですーーーー。
降り口は左側、一番乗り場に着きます。
この列車は、折り返し、人吉行きになります。
友里絵は「あ、終点だって。結構乗った気がするなー。」
由香「降りてみよ」
菜由「降りるしかないでしょ」
由香「そっか」
愛紗は「機関車が置いてあって、公園になってるくらいね。
駅前は長閑なとこで・・・・。」
ディーゼル・エンジンは、がらがらがら・・・と、アイドリングで回っている。
慣性で登ってきて、停止位置付近でブレーキ・ハンドルを少し手前に。
しゅー、と言う
空気の抜ける音が聞こえるのが面白い。
ききき・・・・と、摩擦ブレーキが掛かる。ほんの少し。
停止位置にぴったり。
愛紗は「さすが。バスでもああはいかないのに。こんなに重い車両で」
友里絵「そうなの?」
愛紗は「そう。最初に練習するのね。バス停に合わせるの。
立ってるお客さんが居ると、急ブレーキは掛けられないから
すーっと、一定の減速度で、って言われるんだけど。
難しいよ。重さは違うし」
菜由は「そうなんだ。ブレーキの利きも違うしね。車両で」
「ご乗車お疲れ様でした、終点です」と、運転士が
簡素にマイクでご挨拶。
ドアが開く。
「あー、着いた着いた!」と、友里絵は
ドアから降りて。伸びをして。
空気が綺麗、と。
由香も「ほんと。静か」
菜由は「あれか、機関車」
すこし細身のシルエットで、煙突が長く見える。
黒く塗装されていて、レールの上に固定されているけれど
レールが、駅の中だから。すぐにでも走り出しそうな、そんなふうに見える。
愛紗は「この機関車だったか、覚えてないけど。蒸気機関車だったな、前」
真由美ちゃんは「なんとなく、覚えています。朝、早くに汽笛が鳴るんですね。
駅の近くに住んでると、石炭の燃える香ばしさが漂って」
友里絵「いいなぁ」
真由美ちゃんは「でも、風向きによっては洗濯物が真っ黒に」
みんな、ははは、と笑う。
運転士さんは「ご苦労様。この列車、折り返しが30分だから」
と。
真由美ちゃんは「はい。ありがとうございます」
最後尾車両なので「はやぶさ」と、テールサインが表示されている。
真由美ちゃんは「列車のお宿、なんです。走っているのと同じ」
菜由は「来る時に乗ってきたの、この子たちは」
真由美ちゃんは「菜由さんは乗らなかったのですか?」
菜由は「はい。わたしは飛行機で。ほんとはね・・・友里絵と由香も
そのはずだったんだけどネ」
由香は「雨が強かったから、飛行機飛ばないかと思って。無理して
寝台に乗ってきちゃったの。」
友里絵は「まあ・・・早く遊びたかったのもある」
みんな、ははは、と笑って。
「休み、なかなか合わないし、友達と。
週末は大抵仕事だし」と、由香。
「わたしも、そうなんです。だから、今日はね。ひさしぶりに
お休みの日に、遊べるなーって思って。」と、真由美ちゃん。
愛紗も「勤務の都合でね、どうしても、ひとりになっちゃう」
菜由も「それで、ボーイフレンドも社内になっちゃうし」
愛紗「菜由みたいに」
菜由は笑って「そうそう」
列車には、誰もいなくなったので・・・・
気兼ねなく女子会(^^;
運転士さんは、硝子の扉の向こうなので
そんなに煩くもないだろう。
友里絵は「真由美ちゃんはかわいいからさ・・・ワゴンサービスしてるときに
お客さんにナンパされたりするでしょ」
真由美ちゃんは「いえいえ・・・あ、でも。息子の嫁に、と言う
お父さんとか、そういう人はいましたね」
菜由「うんうん。わかるわかる。お父さんから見ても可愛いもんね」
友里絵は「お父さんが可愛がりたいのね」
真由美ちゃんは「いえ、そんな・・・そう見えるのかもしれませんけど。
そんなにおとなしくもないです」と、きっぱり。
「ほんとなら、役場の事務員とか・・・そういうお仕事を薦められたのですけど。
学校の先生からは」
菜由「よし!それで安心した。薩摩おごじょだね。」
真由美ちゃんはにっこり。
列車は、勾配がすこし急になった斜面を、ゆっくり登っている。
しかし、変速段ではなく固定2段である。
周囲には、そろそろ林が増えてきたり
切り通しの築堤、鉄橋。
山岳鉄道のようになってきて。
この本線と直交する線路も見えたり。
「あれは、何線?」と、愛紗。
真由美ちゃんは「あれは、工事用のトロッコを退避する線路です。」
友里絵は「よく知ってるね」
真由美ちゃんはにっこり「はい。観光案内もお仕事です」
由香「そーだよねー。友里絵ったらね。お客さんに「あの山は、なんていう山ですか」
と、聞かれて・・。」
友里絵「あ、えー、と、山です」
みんな、笑う。そりゃそうだ。
友里絵「わかんないんだもん、みんな一緒に見えるし」
真由美ちゃん「楽しいガイドさんですね」
友里絵「そっかな。ははは」
由香「笑ってていいのか?見習え、少し」
友里絵「いーんだもん。あたしはあたし。」
愛紗は思う。
・・・あたしはあたし、と言い切れる友里絵ちゃんは、いいなぁ。
強いなぁ、と思う。
真由美ちゃんも、見かけ、かわいい子なのにしっかりと自分を持っている。
なんでなのかな、なんて・・・思ったり。
列車は、やがて・・・・終点。湯前駅に近づく。
♪ぴんぽん♪
チャイムが鳴り
優しい女声で
ーーー間もなく、終点、湯前ですーーーー。
降り口は左側、一番乗り場に着きます。
この列車は、折り返し、人吉行きになります。
友里絵は「あ、終点だって。結構乗った気がするなー。」
由香「降りてみよ」
菜由「降りるしかないでしょ」
由香「そっか」
愛紗は「機関車が置いてあって、公園になってるくらいね。
駅前は長閑なとこで・・・・。」
ディーゼル・エンジンは、がらがらがら・・・と、アイドリングで回っている。
慣性で登ってきて、停止位置付近でブレーキ・ハンドルを少し手前に。
しゅー、と言う
空気の抜ける音が聞こえるのが面白い。
ききき・・・・と、摩擦ブレーキが掛かる。ほんの少し。
停止位置にぴったり。
愛紗は「さすが。バスでもああはいかないのに。こんなに重い車両で」
友里絵「そうなの?」
愛紗は「そう。最初に練習するのね。バス停に合わせるの。
立ってるお客さんが居ると、急ブレーキは掛けられないから
すーっと、一定の減速度で、って言われるんだけど。
難しいよ。重さは違うし」
菜由は「そうなんだ。ブレーキの利きも違うしね。車両で」
「ご乗車お疲れ様でした、終点です」と、運転士が
簡素にマイクでご挨拶。
ドアが開く。
「あー、着いた着いた!」と、友里絵は
ドアから降りて。伸びをして。
空気が綺麗、と。
由香も「ほんと。静か」
菜由は「あれか、機関車」
すこし細身のシルエットで、煙突が長く見える。
黒く塗装されていて、レールの上に固定されているけれど
レールが、駅の中だから。すぐにでも走り出しそうな、そんなふうに見える。
愛紗は「この機関車だったか、覚えてないけど。蒸気機関車だったな、前」
真由美ちゃんは「なんとなく、覚えています。朝、早くに汽笛が鳴るんですね。
駅の近くに住んでると、石炭の燃える香ばしさが漂って」
友里絵「いいなぁ」
真由美ちゃんは「でも、風向きによっては洗濯物が真っ黒に」
みんな、ははは、と笑う。
運転士さんは「ご苦労様。この列車、折り返しが30分だから」
と。
真由美ちゃんは「はい。ありがとうございます」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
マドンナからの愛と恋
山田森湖
恋愛
水泳部のマドンナ、レナに片思いしていた高校生・コウジ。
卒業後、平凡でぐうたらな会社員生活を送る33歳の彼の前に、街コンで偶然、あのレナが現れる。
かつて声もかけられなかった彼女は、結婚や挫折を経て少し変わっていたけれど、笑顔や優しさは昔のまま。
大人になった二人の再会は、懐かしさとドキドキの入り混じる時間。
焼肉を囲んだ小さな食卓で、コウジの心に再び火が灯る——。
甘くほろ苦い青春の残り香と、今だからこそ芽生える大人の恋心を描いた、再会ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる