タビスルムスメ

深町珠

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日光仮面

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日光さんは、愛嬌のある雰囲気で
男子に人気ありそう。

友里絵は「モテるでしょ?」

日光さんは「そんなことないですよー。」と、口調が砕ける。


由香「かわいいもんね」


日光さんは、すこし俯いて首を振る。ちょっとほっぺたが赤い。
「ほんとダメですー。」



菜由は「運転士さんが恋人とか」


日光さんはいえいえ、と手を振って「そんな人、いないですー。
制服はかっこいいけど」



友里絵「そーだよね。あの紺色の服着て、制帽。白い手袋で指差し確認。
なーんか、ね」


日光さん「わたしも、それに憧れて乗務員になりました」



由香「じゃー、夢叶ったんだ、良かったね。」



日光さんは笑顔で頷き「はい!」



菜由は「運転手さんになるの?」


日光さんは「いえいえ・・・ちょっと怖いです。こんなに大きな列車を動かすの。
人が一杯乗るし。」


友里絵は、愛紗をさして「この子、バス・ドライバーなの」


日光さんは「わー、すごいですね。あんなに大きなバスを。レールが無いのに
真っ直ぐ走れるなんて」


愛紗はにこにこ「いえいえ、まだ始めたばかり」


由香「確かに、そういえばそうかも。」


友里絵「そだね。真っ直ぐ走るのも不思議だ」



日光さんは「あ、出発の準備しないと。行きます。わたし」

と、にこにこ。


友里絵「がんばってー」

日光さんは「はーい」と、にこにこ。



菜由は「かわいい子ね」

愛紗「うん」



由香「いくつくらいかなぁ」


友里絵「あたしたちより少し下じゃない?」




菜由「なんか、年の差を感じるなぁ」


愛紗「おばさんかぁ、もう」


友里絵は「♪おばん、おばーん♪」と言う、変な歌を歌って。
ボサノバのリズム。軽快なメロディ。

由香「あんたにしちゃ、いい選曲」


友里絵「タマちゃんの趣味」


由香「そーだろうと思った」



菜由「どういう意味?」

友里絵「さあ」


みんな、笑う。「わかんないで歌ってるの?」


友里絵は「いーんだって。それで。外国語なんて色々だもん。
音楽は楽しけりゃいいんだ。」


由香「それもタマちゃん説?」

友里絵「そう」


菜由「あの人自由だもんね」


愛紗「それで、新婚旅行に誘った」

菜由「古い話をまた・・・。」


由香「え、石川さんは2番手だったのか」



菜由「そんな事ないって。」



友里絵・由香「いーってやろ、いってやろ」


菜由「違うってば」


友里絵・由香「キミの秘密は握ったんだ。ふふふ。ラスボスの言うことを聞きたまえ」


菜由「石川は知ってるもん」


愛紗「そうなの?」


菜由「なんとなく、解るんじゃない?同じ職場に居れば。最初にあたしが
気にしてたのは石川じゃないし」


愛紗「二級天使か・・・。」



友里絵「言う事が違うなー、やっぱ。高学歴芸人!」


由香「芸人じゃないってば」


友里絵「だーって、あたしならさ、アッシーくんとか、キープくんとか。」



由香「なつかしいな、それ」


愛紗「いまは言わないね。」


友里絵「でもさーぁ、石川さんはさ・・・・
最初の頃の菜由をさ、どう見てたんだろね。」


菜由「知らない」



由香「気にならない?」


菜由「別に」



友里絵「落ち着いてるなあ、いいなぁ」


菜由「ふてぶてしいとも言う」


みんな、わはは、と笑い

友里絵は「そんなこと言ってないって」


列車は、停車時間が終わり・・・・・。

日光さんのアナウンスで「人吉ゆき、間もなく発車です。
ご乗車のお客様は、お急ぎ下さい」


かわいい声。


友里絵「あの子は絶対、モテるよね」

由香「カレシが居るんじゃない?、居なかったとしてもさ、片想いされてるとか
片想いしてるとか。」



愛紗「かわいいものね」



友里絵「かわいいと想われてるのかなぁ?」


由香「そうじゃない?想われてなくても想ってると、可愛いじゃん」



友里絵「あたしもかわいい?」


由香「エロかわな」


菜由「なんか、どっかにいたなあ、そういうの」


友里絵「けっこう仮面!」


由香「日光さんも仇名があったりして」


友里絵「けっこう仮面?、あー、密かに呼ばれてたりして。男子に」


菜由「わー、かわいそ」



愛紗「そんなこと言われてない感じ」



友里絵「そーだねぇ。神奈川と違うもんね」




由香「やっぱいいねぇ。九州。どっか違うよね。大岡山と。」


友里絵「そりゃー、こんなに広いんだし。ちまちました事しないよね。男子だって。
表でわーっ、って騒げるし。」


菜由「なーるほど。そりゃそうだ。鹿児島でもそうだった。」
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