タビスルムスメ

深町珠

文字の大きさ
上 下
124 / 361

KKR指宿

しおりを挟む
KKR指宿の、友里絵たちは・・・・。

「KokutetsuKyosaiResortか」と、由香が
テーブルにあったパンフレットを読んで。

「お、さーすが高卒。」と、友里絵がふざける。


由香は「まあ、専門卒ったってなぁ。専門バカっていうし」と。

友里絵は「バカとはなんだ」と、手元にあった紙切れを丸めて、投げた。


「やーったなぁ、このぉ」と、由香も、投げ返す。


菜由は「授業中によくやったね、こういうの」

愛紗も「ああ、男の子が」


由香は「男かい、あたしら」

友里絵は「男役」


由香「宝塚かいな」と、冗談。



友里絵は「そっちというか・・・あっち。」と、意味深。


由香は「ああ、あっちって。アレか。」


菜由は「女子高に多いよね。愛紗は女子高だったけど、あった?」


愛紗は「さあ・・・あんまり気にしてなかったけど・・・でも、バレンタインに
女の子同士でチョコあげてたりしてね、そういえば。」


のーんびりした田舎だったから、ちょっと友里絵たちとは
時代が違うかんじ。



菜由は「愛紗はあげなかったの?」


愛紗は「うん。貰ったこともなかった。あんまり友達って多くなかったし。」


友里絵は「なんか、タマちゃんと似てるもんね、愛紗って。品があるっていうか。」


由香は「それは思うね、なんとなく。」



愛紗は、友里絵が深町のようだと思っていたから「そうかなぁ。わたしは友里絵ちゃんが
似てると思ってたけど。」


友里絵が「あたし?」と、自分を指差して「どこが?」


菜由は「うーん、自由なとこは、確かに。」


「自由って言えばそうかもね。友里絵のはムチャクチャなだけだけど」と、由香は笑った。


友里絵は「無茶くちゃかいな」

由香は「そうだよ。だって、専門学校出たのに。犬の美容院辞めて
バス会社に来ちゃって。」


友里絵は「それは、あたしもちょっと気にしてるトコ。」



由香は「ちょっとかい。」



友里絵は「だって、あの店ってタマちゃんが探してくれたんだもん」



菜由は「へー。そんな事あったんだ。」



友里絵は「そう。一緒にバイトしてたコンビニが潰れちゃったんで。
みんな、行くとこなくなって。あたしはね、タマちゃんが店長、って言うか
経営者になってくれれば。
ずっとコンビニでもいいと思ってたんだけど。」


由香は「それで、コンビニの本部にそう言ったんだよね。でも、その時
タマちゃんに仕事の話が来て。」


菜由は「悲しいお別れになったんだ。」


友里絵は「うん、でも・・・・ちゃんと話してくれたんだ。
もともと繁盛していない店だから、経営をしてもいずれ潰れる。
あとに借金だけが残るから、止めたほうがいいって。
それはそうなんだけど・・・ね。」


「友里絵はそれでも良かったんだよね」と、由香。



菜由は「そっか、一緒にお店持ちたかったんだ。」


愛紗も「深いね、その気持。」

それで、泣いたんだ。瞼が腫れるまで。
なんとなく、気持がわかるような気がした。



友里絵は「それで、就職先を探してくれたけど。なんか淋しかったな。
あたしはさ、苦労したって一緒にいたかったんだ。」




由香も「そうだよね、そういうもんだよね・・・・でもさーあ。年が25も離れてるとさ。」
と、明るく。


友里絵は「なに?」



由香は「アレがダメになっちゃうんじゃない?先に。」


友里絵は「ははは、それはそうかもね。でも、若い奥さんだと
ずっと大丈夫みたいよ」

菜由は「それも良く聞くね」と、笑った。



由香は「飽きるかもしんないけどねー。」


菜由は「まあ、あの人ってあんまり、そっちの人じゃなさそうだけど」


友里絵は「そうだね。そう思う。あたしが抱きついても何もしなかったし」

「そういう人の方が安心だよ」と、菜由。

愛紗は「石川さんもそういう感じだね。自分に厳しい感じ、と言うか。」


菜由は「まあね」と、ちょっとテレ笑い。「さ、ぼちぼち寝ようか」


「洋間にする?和室?」この305号は、豪華にもベッドルームひとつ。和室ひとつ。

リビングひとつ。お風呂つき。台所があったら2DKである。


「国鉄っていいなあ、東山とはえらい違い」と、菜由。

「そりゃ、国営だもん。ここって、公務員も来る訳でしょ?
政府高官とか」と、由香。


「政府高官は来ないかもしれないけど、省庁のひとくらいは来るかもね」と、菜由。



「なーるほど。」と、友里絵。「愛紗さあ、やっぱ国鉄にしなよ。そうすればアタシたちも
また旅行できるもん。」


由香は「休めればね。」


友里絵は「そっかー。あたしらも国鉄にするか!」


由香は「入れてくれればね」


そうだよねー。と、友里絵も笑った。


向こうが選んでくれるかどうか?の問題である(笑)。



「じゃ、あたしらはベッドにしようかな」と、由香。

「屁するなよ」と、友里絵。


「するか!」と、由香。




菜由は「まあ、屁くらい」と。


愛紗は「それ、石川さんふう」


菜由は「なはは。あの人はでも、わたしの前ではしないけど。
仕事中はあるらしい。けど、つなぎだとガスがこもるから
中毒になるって」



友里絵は笑って「面白いね」

由香も「運転手さんも困るって言ってたな。後ろが座席だから。
横の窓開けると、ガスは出て行くんだって、吸われるから。
でも音がね」


「あーなるほどね。ガイドも困るもんね、あそこ。となりがドライバーだし。
音は聞こえなくても、ガスはねー。」と、友里絵。


「臭い仲になれるね」と、菜由。



ははは、と、みんな笑い「それで、ドライバーとガイドって仲いいのかな。」



由香が「だれだったかな、路線やってて。途中でお腹壊すと困るって。
駅に停まった時に「すみません!」って、お客さんに謝って
駅のトイレに駆け込んだんだって。」


由香「へー。」


友里絵「屁かいな」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

【完結】偽りの告白とオレとキミの十日間リフレイン

カムナ リオ
青春
八神斗哉は、友人との悪ふざけで罰ゲームを実行することになる。内容を決めるカードを二枚引くと、そこには『クラスの女子に告白する』、『キスをする』と書かれており、地味で冴えないクラスメイト・如月心乃香に嘘告白を仕掛けることが決まる。 自分より格下だから彼女には何をしても許されると八神は思っていたが、徐々に距離が縮まり……重なる事のなかった二人の運命と不思議が交差する。不器用で残酷な青春タイムリープラブ。

100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて

ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。

天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生

西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。 彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。 精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。 晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。 死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。 「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」 晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。

坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】

S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。 物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。

私の隣は、心が見えない男の子

舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。 隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。 二人はこの春から、同じクラスの高校生。 一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。 きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。

【一話完結】3分で読める背筋の凍る怖い話

冬一こもる
ホラー
本当に怖いのはありそうな恐怖。日常に潜むあり得る恐怖。 読者の日常に不安の種を植え付けます。 きっといつか不安の花は開く。

処理中です...