14 / 361
電鉄運転士
しおりを挟む
「まあ、でもいい所で。喜多見ってね。
修道院があったりして、緑豊かで。
車庫の上が緑地公園になってて。あれは驚いたな。中は暗いだろうに」
地下鉄の車庫だったかも、なんて
山岡は楽しそうだった。
「その時も、マニュアル読んで来たっぽい
型紙通りの人がいっぱいきたな。
声だけ元気だけど、なんか、気持ちが入ってないと言うか。叫んでるだけ。返事も。」
愛紗は、なんとなく分かる。
それでも入社したいから、演技してでも
入りたい。
「真剣じゃないんだね。演技って
見える。
本当に、入りたいんじゃなくて、
やりたくないんだけど、入れればいいんだよって
荒んだ声なのね。」
愛紗は、なんとなく
大岡山に居た流れ者ドライバで、事故を起こして辞めるタイプと似ている、と
思った。
嫌々やってるんだよ。
そういう気持ちに見える。
そう思ってないかもしれないけど、そう見える。
まあ、大岡山ではそういうドライバは
いつか居なくなるのだけど。
「人間ってそんなに利口じゃないからね。
自分のしたい事なんてわからないもの。
食べたいとか、そんな単純な事だって
どんなものを食べたいか、なんて
所までは、気持ちの中までわからないから。
若いうちは特にそうだね。
欲求>[気持ち 力>]>行動
だから。欲求なんて動物的だもの。
変にマニュアルなんて見ない方がいいんだよ。
」
山岡は「そこ行くと、岳南鉄道はよかったな。
こじんまりした事務所で。鉄道運転士候補を
募集してたっけ。
そこも30倍くらいだった。最終まで残ったんだけどね」
愛紗は「どうして入れなかったんですか?」
山岡は「うん、貨物のね、入れ替えがあるんだ。
貨車を一台で走らせて、連結する前に
連結係が飛び乗ってブレーキを掛ける。
それが年齢的に難しいと思われたらしい」
愛紗は「年齢は仕方ないですね」
山岡は「まあ、それで入ったらしい若い人も
運転士免許を取ったら辞めたらしいね。それ目的だったんだろう」
愛紗は「はい。」
感情的に怒るのは、女の子として
可愛いとは言えないし(笑)
恥ずかしいから、言わないけど
狡いと思うところもあった。
山岡は「まあ、費用を払う事になるんだろうけどね。700万円だったか。」
愛紗は「そんなに。」
それでも、普通は取れない免許だから。
しかし山岡は「業界は狭いから、前職で
そういう事をすると採用されない。それはそうだと思う。」
愛紗は、なんとなく記憶がある。
大岡山を辞めようとした、組合委員長は
山海バスを不合格になった。
そういう、会社同士の礼儀みたいなところもあったのだろう。
山岡は「他にもいろいろ行ったな。伊豆急行、東急、京急、相鉄、富士急、山海、東山」
愛紗は「東山にもいらしたんですか」
山岡は「はい。」
愛紗は「わたし、東山なんです」
と、余計な事を言ってしまったかな、と
後で後悔(笑)。
山岡は「そうですか。あそこはいい会社だ。
人を見ている。」
愛紗は、「ありがとうございます」と
なんとなくお礼。
こういう感覚も、最近はダサいんだそうだ。
自分だけ、利己がカッコイイ。
それはまあ、ポーズとしては
そうかもしれないが。
せいぜい中学生レベルと、愛紗でも思う。
でも、経験者ではないから解る訳もない。
やってみて、ダメっぽかったのかな、バスは。
修道院があったりして、緑豊かで。
車庫の上が緑地公園になってて。あれは驚いたな。中は暗いだろうに」
地下鉄の車庫だったかも、なんて
山岡は楽しそうだった。
「その時も、マニュアル読んで来たっぽい
型紙通りの人がいっぱいきたな。
声だけ元気だけど、なんか、気持ちが入ってないと言うか。叫んでるだけ。返事も。」
愛紗は、なんとなく分かる。
それでも入社したいから、演技してでも
入りたい。
「真剣じゃないんだね。演技って
見える。
本当に、入りたいんじゃなくて、
やりたくないんだけど、入れればいいんだよって
荒んだ声なのね。」
愛紗は、なんとなく
大岡山に居た流れ者ドライバで、事故を起こして辞めるタイプと似ている、と
思った。
嫌々やってるんだよ。
そういう気持ちに見える。
そう思ってないかもしれないけど、そう見える。
まあ、大岡山ではそういうドライバは
いつか居なくなるのだけど。
「人間ってそんなに利口じゃないからね。
自分のしたい事なんてわからないもの。
食べたいとか、そんな単純な事だって
どんなものを食べたいか、なんて
所までは、気持ちの中までわからないから。
若いうちは特にそうだね。
欲求>[気持ち 力>]>行動
だから。欲求なんて動物的だもの。
変にマニュアルなんて見ない方がいいんだよ。
」
山岡は「そこ行くと、岳南鉄道はよかったな。
こじんまりした事務所で。鉄道運転士候補を
募集してたっけ。
そこも30倍くらいだった。最終まで残ったんだけどね」
愛紗は「どうして入れなかったんですか?」
山岡は「うん、貨物のね、入れ替えがあるんだ。
貨車を一台で走らせて、連結する前に
連結係が飛び乗ってブレーキを掛ける。
それが年齢的に難しいと思われたらしい」
愛紗は「年齢は仕方ないですね」
山岡は「まあ、それで入ったらしい若い人も
運転士免許を取ったら辞めたらしいね。それ目的だったんだろう」
愛紗は「はい。」
感情的に怒るのは、女の子として
可愛いとは言えないし(笑)
恥ずかしいから、言わないけど
狡いと思うところもあった。
山岡は「まあ、費用を払う事になるんだろうけどね。700万円だったか。」
愛紗は「そんなに。」
それでも、普通は取れない免許だから。
しかし山岡は「業界は狭いから、前職で
そういう事をすると採用されない。それはそうだと思う。」
愛紗は、なんとなく記憶がある。
大岡山を辞めようとした、組合委員長は
山海バスを不合格になった。
そういう、会社同士の礼儀みたいなところもあったのだろう。
山岡は「他にもいろいろ行ったな。伊豆急行、東急、京急、相鉄、富士急、山海、東山」
愛紗は「東山にもいらしたんですか」
山岡は「はい。」
愛紗は「わたし、東山なんです」
と、余計な事を言ってしまったかな、と
後で後悔(笑)。
山岡は「そうですか。あそこはいい会社だ。
人を見ている。」
愛紗は、「ありがとうございます」と
なんとなくお礼。
こういう感覚も、最近はダサいんだそうだ。
自分だけ、利己がカッコイイ。
それはまあ、ポーズとしては
そうかもしれないが。
せいぜい中学生レベルと、愛紗でも思う。
でも、経験者ではないから解る訳もない。
やってみて、ダメっぽかったのかな、バスは。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
イラスト部(仮)の雨宮さんはペンが持てない!~スキンシップ多めの美少女幽霊と部活を立ち上げる話~
川上とむ
青春
内川護は高校の空き教室で、元気な幽霊の少女と出会う。
その幽霊少女は雨宮と名乗り、自分の代わりにイラスト部を復活させてほしいと頼み込んでくる。
彼女の押しに負けた護は部員の勧誘をはじめるが、入部してくるのは霊感持ちのクラス委員長や、ゆるふわな先輩といった一風変わった女生徒たち。
その一方で、雨宮はことあるごとに護と行動をともにするようになり、二人の距離は自然と近づいていく。
――スキンシップ過多の幽霊さんとスクールライフ、ここに開幕!
100000累計pt突破!アルファポリスの収益 確定スコア 見込みスコアについて
ちゃぼ茶
エッセイ・ノンフィクション
皆様が気になる(ちゃぼ茶も)収益や確定スコア、見込みスコアについてわかる範囲、推測や経験談も含めて記してみました。参考になれればと思います。
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
私の隣は、心が見えない男の子
舟渡あさひ
青春
人の心を五感で感じ取れる少女、人見一透。
隣の席の男子は九十九くん。一透は彼の心が上手く読み取れない。
二人はこの春から、同じクラスの高校生。
一透は九十九くんの心の様子が気になって、彼の観察を始めることにしました。
きっと彼が、私の求める答えを持っている。そう信じて。
晩夏光、忘却の日々
佐々森りろ
青春
【青春×ボカロPカップ】エントリー作品
夕空が、夜を連れて来るのが早くなった。
耳を塞ぎたくなるほどにうるさかった蝉の鳴く聲が、今はもう、しない。
夏休み直前、彼氏に別れを告げられた杉崎涼風は交通事故に遭う。
目が覚めると、学校の図書室に閉じ込められていた。
自分が生きているのか死んでいるのかも分からずにいると、クラスメイトの西澤大空が涼風の存在に気がついてくれた。
話をするうちにどうせ死んでいるならと、涼風は今まで誰にも見せてこなかった本音を吐き出す。
大空が涼風の事故のことを知ると、涼風は消えてしまった。
次に病院で目が覚めた涼風は、大空との図書室でのことを全く覚えていなかった……
孤独な涼風と諦めない大空の不思議で優しい、晩夏光に忘れた夏を取り戻す青春ラブストーリー☆*:.。.
坊主頭の絆:学校を変えた一歩【シリーズ】
S.H.L
青春
高校生のあかりとユイは、学校を襲う謎の病に立ち向かうため、伝説に基づく古い儀式に従い、坊主頭になる決断をします。この一見小さな行動は、学校全体に大きな影響を与え、生徒や教職員の間で新しい絆と理解を生み出します。
物語は、あかりとユイが学校の秘密を解き明かし、新しい伝統を築く過程を追いながら、彼女たちの内面の成長と変革の旅を描きます。彼女たちの行動は、生徒たちにインスピレーションを与え、更には教師にも影響を及ぼし、伝統的な教育コミュニティに新たな風を吹き込みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる