1 / 361
寝台特急「富士」西鹿児島ゆき
しおりを挟む
愛紗は、研修を終えて
とりあえず、1週間の休暇。
後、転属先を探すつもりで
東京駅14番ホーム。
駅のアナウンスが入る。
土曜だけど、夕方なので
そんなに忙しくもない。
隣の新幹線ホームの方が、むしろ忙しそう。
駅のアナウンスが入る。
「まもなくー、14番線、寝台特急富士号、西鹿児島行きが参りますー。白線よりお下がり下さいー。」
16時。
30分発なのに、長く止まるのは
長距離列車だから。
愛紗は、しかし
大分のおばさんのところまでだから
12時少し前には着く。
列車はその先、午後4時まで走るのだが。
こんなのどかな列車が好きなのは、なぜか解らないけど
上京の時も、この列車で来た。
後ろ側に、入れ替え機関車の四角いEF65が連結されて。
先頭には、牽引する機関車が連結される。
先程より、有楽町側の線路に待機している。
EF66ー54と書かれた銀色のプレートが
先頭に付いている。
クリーム色と青の、ブルー・トレインに似合いの機関車。
「えーと、10号車はと」 愛紗は、さっきまで
東京駅の1階にある、日本食堂でご飯を食べていた。
列車食堂をしている会社のメニュー。
広い食堂は、のんびりしていて
食券を置いておくと、2回持ってきたりするところ。
そこで、ハッシュドビーフとか
軽いものを食べて。
「明日の朝は、瀬戸内で食堂車かなー」
朝の爽やかな風景を眺めて、揺られて頂く朝食なんて
とってもゴージャス。
「やっぱり、旅はこうでなくちゃ。」
今まで沈んでいた気持ちなんて、どうでも良くなったし
3年の間、縛っていた気持ちが
解けた。
そんな感じ。
無理しなくていいんだ。
そう思うと、さっぱりした。
それが、本当の自分。
そんな気がした。
結構なスピードで、列車が入ってくる。
少し伸びた髪は、今はそのまままとめずに流して。
少し大人っぽく見えるかな、なんて
車窓に写して楽しんだ。
10号車は、後ろの方。
星のマークがついた、個室寝台である。
割と人気があるが、そこそこ取れるのは
この車両を知っている人が少ないのもある。
紺色の車両。
窓の下にステンレスのストライプ。
大きな、星のマーク。
SOLO COMPARTMENT CAR
英語表記が、デザインを思わせる。
ドアが、折り戸で
空気が抜けて、ばたり、と開く。
階段はなぜか、手前がホームより低くなっていた。
昔は、ホームが低かったのだろう。
冷房が入っていて、驚くけど
窓が開かないから、そのくらいで普通。
観光バスを思い出すけど
もう、遠い思い出に感じられたのが
不思議。
この列車に、お風呂がないので
駅の北側にある、銭湯へ行ってきた。
その辺り、旅慣れたバスガイドの
経験。
もう、戻る気持ちも失せた。
そう思うと、いい思い出になった。
そんな気持ちでデッキを上り、硝子の扉に
星のマーク。
ウキウキと、ドアの下を踏むと
空気の動作で、ガラス扉が開く。
左手、海辺の方は大きな窓、右手は個室で
壁とドア。
明かり取りの丸い窓が、船のようで
クリーム色の壁は、ビニールっぽい。
10号室を探し、扉を開くと
紙片がはらり。
人が入ったと言う知らせの紙で
車掌さんがそれを見る、と言う
昔ながらの方法。
以前は、冷水機の折りたたみ紙コップを使っていたが
もったいないので(笑)
今はこんなの。
とりあえず、1週間の休暇。
後、転属先を探すつもりで
東京駅14番ホーム。
駅のアナウンスが入る。
土曜だけど、夕方なので
そんなに忙しくもない。
隣の新幹線ホームの方が、むしろ忙しそう。
駅のアナウンスが入る。
「まもなくー、14番線、寝台特急富士号、西鹿児島行きが参りますー。白線よりお下がり下さいー。」
16時。
30分発なのに、長く止まるのは
長距離列車だから。
愛紗は、しかし
大分のおばさんのところまでだから
12時少し前には着く。
列車はその先、午後4時まで走るのだが。
こんなのどかな列車が好きなのは、なぜか解らないけど
上京の時も、この列車で来た。
後ろ側に、入れ替え機関車の四角いEF65が連結されて。
先頭には、牽引する機関車が連結される。
先程より、有楽町側の線路に待機している。
EF66ー54と書かれた銀色のプレートが
先頭に付いている。
クリーム色と青の、ブルー・トレインに似合いの機関車。
「えーと、10号車はと」 愛紗は、さっきまで
東京駅の1階にある、日本食堂でご飯を食べていた。
列車食堂をしている会社のメニュー。
広い食堂は、のんびりしていて
食券を置いておくと、2回持ってきたりするところ。
そこで、ハッシュドビーフとか
軽いものを食べて。
「明日の朝は、瀬戸内で食堂車かなー」
朝の爽やかな風景を眺めて、揺られて頂く朝食なんて
とってもゴージャス。
「やっぱり、旅はこうでなくちゃ。」
今まで沈んでいた気持ちなんて、どうでも良くなったし
3年の間、縛っていた気持ちが
解けた。
そんな感じ。
無理しなくていいんだ。
そう思うと、さっぱりした。
それが、本当の自分。
そんな気がした。
結構なスピードで、列車が入ってくる。
少し伸びた髪は、今はそのまままとめずに流して。
少し大人っぽく見えるかな、なんて
車窓に写して楽しんだ。
10号車は、後ろの方。
星のマークがついた、個室寝台である。
割と人気があるが、そこそこ取れるのは
この車両を知っている人が少ないのもある。
紺色の車両。
窓の下にステンレスのストライプ。
大きな、星のマーク。
SOLO COMPARTMENT CAR
英語表記が、デザインを思わせる。
ドアが、折り戸で
空気が抜けて、ばたり、と開く。
階段はなぜか、手前がホームより低くなっていた。
昔は、ホームが低かったのだろう。
冷房が入っていて、驚くけど
窓が開かないから、そのくらいで普通。
観光バスを思い出すけど
もう、遠い思い出に感じられたのが
不思議。
この列車に、お風呂がないので
駅の北側にある、銭湯へ行ってきた。
その辺り、旅慣れたバスガイドの
経験。
もう、戻る気持ちも失せた。
そう思うと、いい思い出になった。
そんな気持ちでデッキを上り、硝子の扉に
星のマーク。
ウキウキと、ドアの下を踏むと
空気の動作で、ガラス扉が開く。
左手、海辺の方は大きな窓、右手は個室で
壁とドア。
明かり取りの丸い窓が、船のようで
クリーム色の壁は、ビニールっぽい。
10号室を探し、扉を開くと
紙片がはらり。
人が入ったと言う知らせの紙で
車掌さんがそれを見る、と言う
昔ながらの方法。
以前は、冷水機の折りたたみ紙コップを使っていたが
もったいないので(笑)
今はこんなの。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
男子高校生の休み時間
こへへい
青春
休み時間は10分。僅かな時間であっても、授業という試練の間隙に繰り広げられる会話は、他愛もなければ生産性もない。ただの無価値な会話である。小耳に挟む程度がちょうどいい、どうでもいいお話です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ほのぼの高校11HR-24HR
深町珠
青春
1977年、田舎の高校であった出来事を基にしたお話です。オートバイと、音楽、オーディオ、友達、恋愛、楽しい、優しい時間でした。
主人公は貧乏人高校生。
バイト先や、学校でいろんな人と触れ合いながら、生きていきます。
けど、昭和なので
のどかでした。
オートバイ、恋愛、バンド。いろいろです。
物理部のアオハル!!〜栄光と永幸の輝き〜
saiha
青春
近年、高校総体、甲子園と運動系の部活が学生を代表する花形とされている。そんな中、普通の青春を捨て、爪楊枝一本に命をかける集団、物理部。これは、普通ではいられない彼らの爆笑アオハル物語。
黄昏は悲しき堕天使達のシュプール
Mr.M
青春
『ほろ苦い青春と淡い初恋の思い出は・・
黄昏色に染まる校庭で沈みゆく太陽と共に
儚くも露と消えていく』
ある朝、
目を覚ますとそこは二十年前の世界だった。
小学校六年生に戻った俺を取り巻く
懐かしい顔ぶれ。
優しい先生。
いじめっ子のグループ。
クラスで一番美しい少女。
そして。
密かに想い続けていた初恋の少女。
この世界は嘘と欺瞞に満ちている。
愛を語るには幼過ぎる少女達と
愛を語るには汚れ過ぎた大人。
少女は天使の様な微笑みで嘘を吐き、
大人は平然と他人を騙す。
ある時、
俺は隣のクラスの一人の少女の名前を思い出した。
そしてそれは大きな謎と後悔を俺に残した。
夕日に少女の涙が落ちる時、
俺は彼女達の笑顔と
失われた真実を
取り戻すことができるのだろうか。
花
TEN-ent
青春
女子高生5人が
多くの苦難やイジメを受けながらも
ガールズバンドで成功していく物語
登場人物
ハナ 主人公
レイナ ハナの親友
エリ ハナの妹
しーちゃん 留学生
ミユ 同級生
マキ
あるグループの曲にリスペクトを込め作成
野球の王子様3 VS習志野・練習試合
ちんぽまんこのお年頃
青春
聖ミカエル青春学園野球部は習志野に遠征。昨年度の県内覇者との練習試合に臨むはずが、次々と予定外の展開に。相手方のマネージャーが嫌味な奴で・・・・愛菜と取っ組み合い?試合出来るの?
家政婦さんは同級生のメイド女子高生
coche
青春
祖母から習った家事で主婦力抜群の女子高生、彩香(さいか)。高校入学と同時に小説家の家で家政婦のアルバイトを始めた。実はその家は・・・彩香たちの成長を描く青春ラブコメです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる