バス・ドライバー日記

深町珠

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さかまゆ

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そのうち・・・線路が行き止まりになって、行く手は笹が生えている。

友里絵は「あれ?行き止まりだよ?」


坂倉さんは、最後尾の展望室に入って。マイクを握り・・・観光案内。


ーー皆様がご覧になっている線路は、
スイッチバック、と言います。急坂を、線路を切り替えながら
列車は、阿蘇の外輪山を越えて行きます。
これから列車は、方向を変えて阿蘇方面へと向かいますーーー


と、車内に放送が流れる。


友里絵は「ガイドさんみたい」

由香「あんたもガイドさんじゃん」


友里絵「忘れてたね。(^^)。」


菜由は「鉄道のガイドさんってのもアリかもね」

愛紗「そうかも」



停止位置表示が、線路の脇に立っている。


友里絵は「機関車のところから見えないのにね、どうやって解るんだろ」

由香「なんか、坂道にあったみたいよ、目印。」


菜由「賢いなぁ」


車両の最後尾が、ガラス張りの展望室になっていて
観光の人は、自由に出入りできるようになっている。


木の内装は、どことなく懐かしい感じ。


坂倉さんは、車掌さんと一緒に。
停止位置確認、よし!。


ただ、なんとなくメイドさん風の服なので(^^)かわいい。


確認が終わると、車掌さんは肩から下げた列車無線で機関士に話す。

停止位置、確認。

機関士が、了解。と、無線でお返事。


機関室で、逆転器を回す。

前進位置に。

給排気位置を大きく取る。

 ぽ、と。短く汽笛。

機関助士は、投炭をしているが
この機関車は重油を併燃しているので、さほど忙しくはない。


機関士は、機関車単弁、と言うブレーキを緩めつつ
スロットルレバーを引く。

先ほどから、編成直通ブレーキ弁は解放してある。
連結器ばねを伸ばしておくためだ。

上り坂である。

機関車がゆっくり、前に出て行く。

蒸気が、シリンダに入り、出て行く。

しゅ、しゅ・・・。

結露した水を排出する、ドレインを開く。

線路に蒸気が、しゅー、と。出て行く。


シリンダ弁位置が最大なので、蒸気が多く入る。
力も大きい。


編成の前の方から、ゆっくり、ゆっくり・・・引かれていく。

電気機関車とは違う、ゆったりとした動き。


最後尾も動き始めた。


ゆる、ゆる・・・と、揺れながら。


友里絵は「なんか、いいね。のんびりしてて」
由香「ほんと」


菜由は、むかーし、子供の頃に乗ったな、と思う。

愛紗も、なんとなく、ふるさと日南を思い出す。

海沿い、森の中を走る列車に揺られて・・・どこかへ行ったっけ。


どこに行ったかは覚えて居ないけど。





友里絵のケータイに、まゆまゆ(^^)からメールの返信。

友里絵はすかさず「あそBOYでね、坂倉さんに会ったよー、「まゆまゆ」ちゃん(^^)」


と、返信。



吉松のまゆまゆはそれを見て、ニッコリ。

「さかまゆにあったんだー」

坂倉さんと、日光さんは同期。なので、仲良し。

まゆまゆ、さかまゆ、と、呼び合う(^^)。



由香は「偉い偉い、サイレントにしたね。」と、にこにこ。


友里絵は「うん!まゆまゆから。愛紗のオスカルみたーい、だって」


愛紗は「えー、あ。コラージュか」と、納得。

友里絵は「こらーじゅってなに?」


由香「なんだっけ?」


菜由「写真のモンタージュみたいなやつ」


友里絵「ああ、あの、刑事もので出てくる・・・犯人探しみたいな。愛紗が犯人?」


由香「じゃなくて、写真を切り貼り」

友里絵「ああ、なんだ、アイコラか」


由香「そうみたい」



列車は、ゆっくり、ゆっくり、急坂を登って行く・・・。

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