バス・ドライバー日記

深町珠

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霧の阿蘇山

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友里絵が起きた時は・・・既に7時を回っていて。

お風呂に入っている時間はなく・・・。

のーんびり、温泉で温まってきた愛紗たちは
友里絵たちを起こさないように、と。
2Fのロビーで、のんびりしてから。

マッサージ椅子にもたれたりして
雨の阿蘇山を眺めて。

「のんびりできていいなぁ」と、愛紗。
「ほんと」と、菜由。
「何してるんだろ、あたし」と、愛紗。

菜由は「・・・なんだっけ?」と。笑った。
愛紗も笑った。


それから・・・・
そーっと。206号室に戻った。

友里絵は起きていて、半分寝ている。
爆発アタマ(^^)。

窓際のスツール、籐のそれに座って。
足を組んでいて「マダーム、芋煮えーる」と。

浴衣の前がはだけて。おちちがゆらゆら。
かわいいんだけど、ちょっとエロティック。
菜由は「芋、煮えたか?」と、おちちに触って。

友里絵は「いやっ!乙女の大切なところに」と、ふざける。

由香は後ろから「大切ならしまっとけ!オトメちゃん」と、頭をなでなで。

友里絵は「あ、起きたの?おはよー」

由香は窓の外を見て「雨だな」

友里絵は「うん」


愛紗は「長い旅だと一日くらいはあるね。」
菜由「落ち着いていいね。なんとなく」

「雨って、情緒があるね」と、友里絵。

由香「情緒なんて言葉が出るとは・・・」と、ちょいおどろき。

友里絵「そんなに驚かなくてもさ」と、笑う。


ハハハと、みんな笑う。


それから・・・。

「ごはん♪ごはん♪」と、友里絵。

歯ブラシ、しゃごしゃご。

斜めに咥えて。髪を1:9に「だーいたいやねーぇ」
顔真似。

菜由は「なんだっけそれ?竹本孝之?」と、笑顔。

友里絵「ノンノン」

由香「ノンノンはムーミン」

友里絵「ユーミンは布団屋さん」

愛紗「あれ?そうだっけ」

菜由「ノンノンも、ほんとはフラーレンって名前だとか」

由香「おー、アッタマイーい」と、茶化す(^^)。

友里絵「なおきしょー。」

由香「象印賞ー。」

愛紗「懐かしいな。それ」

友里絵「一週間のご無沙汰でした。タマオキです」と、股間に手を置いて


由香「アホ」と笑う。

菜由「なんかそっちがスキだな」

友里絵「欲求不マンだ」

由香「マンが不満な」

菜由「ははは、じゃ、男はさー」


友里絵「不チンか。あ”-あ”-、日本は不チン空母です」

由香「それはさすがに古すぎるだろ、誰もわからんな」

菜由「さ、メシメシ。ふざけてるとバスに乗り遅れる」

友里絵「バス何時だっけ」


愛紗「10時8分」


友里絵「あ、じゃー結構あるね。まだ8時前だよ」


由香「でもさーぁ、友里絵ががつがつ食うから。1時間は掛かる。」


友里絵「ハハハ」

菜由「まあ、食えるうちはいいさ。」

由香「おおきくなれよー」


友里絵「はいりはいりうえはいりおー」

由香「それは流石に誰も・・・。」

友里絵「わんぱくでもいい、たくましくそだってほしい」

由香「どこが?」

友里絵「マルダイウィンナー」

菜由「ウィンナーはちっちゃいなぁ」

友里絵「石川さんのは馬さらみ」

菜由「ははは!そんな」


友里絵「写真見せて」


菜由「撮ってないよ、そんなの」

友里絵「ひっひっひー、おじょーさん、写真撮って」と、危ない顔。


由香「メシメシ」

菜由「そだね」


206から出て行く。

友里絵「置いてかないデー」



愛紗「だいじょうぶだよ」

友里絵「愛紗はやさしいなぁ」


とてとて・・と、部屋から出て行った。


エレベータの前の2Fロビー。木曜とあって人はいない。


大きなガラス窓に、阿蘇山が霧に煙って。

「綺麗ね」と、愛紗。


「うん」と、友里絵。「ねぇ、ホントに九州に帰るつもり?」


愛紗は「・・・だって、大岡山に居てもドライバーは続けられないし。
ガイドに戻るのも・・・なんかね」


友里絵「そっか。」

それだけだった。


とことこ・・・と、友里絵はスリッパで降りていく。









人吉の真由美ちゃん。今日の仕事は、観光列車で吉松まで。
折り返しで人吉。そこから、特急乗務で熊本まで。

ワゴンの荷物は熊本で積み込むので、人吉では交替だけ。
熊本に着いた時に補充する。

観光ガイドもするので、CA、と言う職名に一番近い。


制服の上着は、新幹線に乗務する人と同じ。
黒が基調で、スマートに見える。

そのあたりが気に入っている。


スカートでなく、スラックスをはいてもいいので
普段は専ら、スラックスだった。

動き易いし、機能的だ。


乗務する列車を、ホームで待った。
編成最後尾から、きょうは乗り込む。

グリーン車があったり、食堂車がある場合は
そのあたりにワゴンの基地があったりする。
車掌室の近くに、ワゴンを収納する場所と、倉庫が付いていて。
新しいデザイナーズ・トレインは、そういうところもよく考えられていた。


「今日、熊本でお兄ちゃんに会えないかなー。」
なんて、思う真由美ちゃんだった。

縁談ゲーム(?)を、お母さんが考えてるなら。
お兄ちゃんの気持を聞いておきたいなぁ、なんて・・・
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