バス・ドライバー日記

深町珠

文字の大きさ
上 下
304 / 328

釣り釣り

しおりを挟む
「んで、なんの話だっけ」と、菜由。

「雨の旅」と、愛紗。

ああ、そうだったと菜由はいい「友里絵が居ると話にならん!」

「女はこれだから・・・なんて言うとさ」と友里絵。
「モリソーリみたいに首になる」と、由香。さらりと。

ゆかさーあ、ソーリじゃないって、と、菜由は笑う。

友里絵「じゃ、ゾーリ?」
由香「どっちかっていうと、ゲタだな」

友里絵「便所のゲタか。♪からーんころーん♪」

菜由「そうそう。小学校のそうだった。コンクリートの土間になってて。」と。

愛紗「木のゲタっていうか・・サンダルみたいなの。」


菜由「懐かしいね・・・って、これだからもう、女が居ると会議にならん!」

由香「会議かよ」(笑)。


愛紗「そうそう。雨だったらトンネル公園は止めて、そのまま下って行くと・・・
立野でSLに乗れるね。」


友里絵「あ、SL!のりたーい、のりたい!」と、はしゃぐ。

由香「ディズニーランド以来かな」

愛紗「じゃ、それにしよう。乗れると思うよ。木曜だし」

菜由「指定席だっけ?」

愛紗「そう」


友里絵「SLで、どこまで?」

愛紗「行き先は宮地まで」


友里絵「♪わたしーがーささーげーたぁー♪」

由香「おさむちゃんか」

友里絵「どうも、すんずれいしました」と、敬礼。



由香「カトちゃんね」と、笑う。


愛紗は「宮地で30分待ちで、特急で大分までだから・・・SLに乗らなければ
立野から特急で一本なの。
トンネル公園見ると、そのパターンだけど。
乗っているだけだと、楽だけど飽きちゃうでしょ」

菜由「愛紗ってさ、駅員よっか旅行センター向きかも」

愛紗「うん、でも、アレって売るんでしょ?ツアーを。
これは楽しむんだもん」


友里絵「まあ、商売商売!」

由香「あったな、そんなTV」

菜由「クイズ、世界はショーバイ・・」

愛紗「そうそう、あったねー、そんなの」

と、話は尽きない。

友里絵は「でも、大分まで戻ると・・・ついに終わっちゃうなって思う」

由香「うん、まだ二日あるから」

愛紗「そこから由布院に行って2泊。いいところよ、あのあたり」

友里絵「それで、帰りがまたブルートレイン」

菜由「帰りの夜行って、なんかもの哀しいんだよね」

愛紗「そうそう・・・また来れるかな、なんて思って。ああ、帰りたくないなー。」


友里絵「よく考えるとさ、あたしたちって帰らなくてもいいんだよね」
と、真髄を突く(^^)。


由香「どして?」

友里絵「だってさ、こっちで就職しちゃえば」

菜由「ま、あたしは帰るけどさ」

友里絵「まあ、こぶつきは別として」

愛紗「こぶって」(笑)。


友里絵「ちゃらーん!!」と、おどけた顔で

由香「それはこん平」

友里絵「どーもー、テレビ探偵団ですー」

菜由「それがこぶ平。なつかしいねぇ」

友里絵「ご冥福をお祈り」と、両手を合わせて


由香「まだ生きてるよ」

菜由「まだって」

愛紗「面白いね」


賑々しくも、KKR南阿蘇206号室・・・。

旅も終わりが近づいて、どこかうら淋しい。
そんな気持を吹き飛ばすみたいに、はしゃいでる・・・のかも。







「じゃ、寝るとするか」と、菜由。

「クリスマスの夜ってさ、寝るのが勿体無くて、寝なかったっけ」と、由香。

友里絵「そうそう。お正月とかも」

愛紗「楽しかったなーあの頃」

菜由は「だんだん、家族よっか友達の付き合いが増えて。クリスマスもお正月も」

友里絵「そうだねー。なんか。友達の家でパーティーしたり。」
由香「オマエんとこでやると「うるさい」って怒られたじゃん」

友里絵「そうそう!で、公民館でやろうか、とかさ」

愛紗「公民館」(笑)。

由香「でも、団地の公会堂もさ、騒ぐと結構響くじゃない、コンクリだから」

友里絵「それでダメになった」


菜由「うちらはないなー、そういうの。」

愛紗「そうだね。なんか。田舎だからかな」

友里絵「九州だと、あんまり騒ぎたいって思わないね」

由香「そうかーぁ、けっこう騒いでるけど」

友里絵「そっか、ハハハ」



「さ、寝よ寝よ」と、菜由。

愛紗「疲れた?」

菜由「疲れた、友里絵の相手してて。」

友里絵「おばさーん」

菜由「うるさい」

友里絵「ハハハ。でもさ、子供できたらあんなもんじゃすまないよね」

菜由「だから、広いとこがいいわけ」

愛紗「なるほど・・・広ければ、ほっぽっといていいもんね。
子供もストレスないし。それいいかもね」


友里絵は「だからさ、アイドルってみんな田舎の出でしょ?最近。
都会の生まれ育ちってほとんどいない」

由香「けっこう当たってるかも」


友里絵「あたしらのころは、まだ原っぱとかあったもんなぁ」
由香「そーだね。ゲームで遊んでる子なんてあんましいなくて」

菜由「それでね。もともと・・石川と結婚した時、いずれは戻ろうって
思ってたの。鹿児島に」

愛紗「それで
「鹿児島に新婚旅行に」
って言ったの?、深町さんに」

「その話ヤメヤメ」と、ちょっと菜由はテレる。


友里絵「まだオトメちゃんだったんだもんね」

由香「お姫さまドレス着て営業所に来たんでしょ?」

菜由「その話しもヤメヤメ」

愛紗「可愛かったなぁ、あの頃」

友里絵「いまはBBA」

愛紗「そんなこと言ってないって」


友里絵は「それみてタマちゃん、なんて言ったの?」

菜由は「かわいいよ」って。


愛紗「そう言ってくれただけで、嬉しいんだよね」


由香「うんうん・・・で、違うのが釣れた」

愛紗「釣れた」(笑)。


友里絵「でも良かったんじゃない?それで」

菜由「そうだよね・・・。そう思う」


友里絵「石川=外道説か」

ははは、とみんな笑う。

菜由「外道かい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

伝える前に振られてしまった私の恋

メカ喜楽直人
恋愛
第一部:アーリーンの恋 母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。 そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。 第二部:ジュディスの恋 王女がふたりいるフリーゼグリーン王国へ、十年ほど前に友好国となったコベット国から見合いの申し入れがあった。 周囲は皆、美しく愛らしい妹姫リリアーヌへのものだと思ったが、しかしそれは賢しらにも女性だてらに議会へ提案を申し入れるような姉姫ジュディスへのものであった。 「何故、私なのでしょうか。リリアーヌなら貴方の求婚に喜んで頷くでしょう」 誰よりもジュディスが一番、この求婚を訝しんでいた。 第三章:王太子の想い 友好国の王子からの求婚を受け入れ、そのまま攫われるようにしてコベット国へ移り住んで一年。 ジュディスはその手を取った選択は正しかったのか、揺れていた。 すれ違う婚約者同士の心が重なる日は来るのか。 コベット国のふたりの王子たちの恋模様

頬に触れた風の行く先に

Namuku
青春
高校2年生の羽那(はな)は、クラスでは影にいる静かなタイプで。中心にいる明るく人付き合いの上手い悠秋はそんな羽那にも分け隔てなく接する人気者で。 そんな二人の不器用な恋をお届けします! ※初投稿です。

恐喝されている女の子を助けたら学校で有名な学園三大姫の一人でした

恋狸
青春
 特殊な家系にある俺、こと狭山渚《さやまなぎさ》はある日、黒服の男に恐喝されていた白海花《しらみはな》を助ける。 しかし、白海は学園三大姫と呼ばれる有名美少女だった!?  さらには他の学園三大姫とも仲良くなり……?  主人公とヒロイン達が織り成すラブコメディ!  小説家になろう、カクヨムでも投稿しています。  カクヨムにて、月間3位

【ショートショート】乗り物のおはなし

樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
青春
車、電車、バスなどの乗り物が出てくる作品をまとめてみました。 声劇用だと1分〜5分ほど、黙読だと1分〜3分ほどで読みきれる作品が多めです。500文字を越える作品もいくつかございます。 ⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠ ・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します) ・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。 その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

汐留一家は私以外腐ってる!

折原さゆみ
青春
私、汐留喜咲(しおどめきさき)はいたって普通の高校生である。 それなのに、どうして家族はこうもおかしいのだろうか。 腐女子の母、母の影響で腐男子に目覚めた父、百合ものに目覚めた妹。 今時、LGBTが広まる中で、偏見などはしたくはないが、それでもそれ抜きに、私の家族はおかしいのだ。

放課後はネットで待ち合わせ

星名柚花(恋愛小説大賞参加中)
青春
【カクヨム×魔法のiらんどコンテスト特別賞受賞作】 高校入学を控えた前日、山科萌はいつものメンバーとオンラインゲームで遊んでいた。 何気なく「明日入学式だ」と言ったことから、ゲーム友達「ルビー」も同じ高校に通うことが判明。 翌日、萌はルビーと出会う。 女性アバターを使っていたルビーの正体は、ゲーム好きな美少年だった。 彼から女子避けのために「彼女のふりをしてほしい」と頼まれた萌。 初めはただのフリだったけれど、だんだん彼のことが気になるようになり…?

学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。

たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】 『み、見えるの?』 「見えるかと言われると……ギリ見えない……」 『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』  ◆◆◆  仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。  劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。  ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。  後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。  尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。    また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。  尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……    霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。  3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。  愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー! ※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。

処理中です...