バス・ドライバー日記

深町珠

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馬さらみ

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「ごちそうさまでしたー」と、友里絵は
ウエイトレスさんたちに、ご挨拶。

「おいしかったですー。」と、由香。
かわいく。

菜由も、ご挨拶「ごちそうさまでした」

愛紗も、続いて「ありがとうございます」と、ご挨拶。


食堂を出た、右手には
おみやげものコーナー。

「あ、ちょっと見ていこ」と、友里絵。

とっとことっとこ・・・。


「馬の油だって」と。

シャンプーとか、クリームとか。

クリームのびんを開けてみると、白い。

「なんか、ふつうだね」と、匂い嗅いだり。

「犬だろやっぱ」と、由香(^^;


売店のおばちゃんが来て・・・。「荒れを防ぐのよ」


友里絵は「アレを防ぐ・・・うーん・・。塗るの、これ?」


おばちゃん、こくこく。


友里絵「ねー、試していい?」

おばちゃん、こくこく。


友里絵は指につけて・・・お股に塗ろうと、屈んで。

由香が「まてまて。どこに塗る気だ」


友里絵は「だって・・・アレを防ぐんでしょ?塗るならアソコ」


おばちゃんはげらげら「おもしろいねぇ、お嬢ちゃん。高校生?」

由香は「いえ、20です。頭の中身は幼児並み」

おばちゃんは、まだ笑っている。
日焼けの顔。にこにこ。パーマの頭。制服がモダーンで、なんかユニーク。


友里絵は、食べ物のコーナーへ。


干した大根とか・・・おもしろいものがある。
お味噌、お米。

「なんでもあるねー。あ、馬さらみだって」

ぶっとい、ソーセージ状の物体を右手で掴んで。

右手を前後に・・・ごしごし。


由香が「なんか怪しいなぁ」

友里絵「男の手仕事」


フロントマンも、笑っている。



愛紗は・・・・既に消えていた(笑)。


いないと思っていたら、ロビーの向こうにあるカフェ・バーに。


「高森神楽・・・・か」

秋に来ると、見れるんだな・・・・。なんて。


ホールは結構広いので、お神楽をしても賑わうだろう。


バーのコーナーは、シーズンなら賑わうだろうけど
オフシーズンの水曜とあって、静か。

そこがまた、旅情を誘う。



菜由が「なにしてるの?」と、とことこ。


愛紗が「うん、展示を見てたの」

菜由は「お神楽かー。あたし見たことあるよ」

愛紗「そう。どんな?」


菜由「うん、高千穂のと似てるけど、観客を襲う振りしたり。コミカルなの」



由香が来て「おー。此方は伝統芸能。友里絵は男の手仕事だもんなー。
やっぱ知能がなー。」

友里絵は「いいじゃん別に。


由香「まあ、いいならいいけどさ」


愛紗も思う。いいならいいんだ。

妙なところに同感する(笑)。自分の選択を、人と比べなくて、いいんだ。

そう、自分にも言いたいのだろう。









さて・・・かたや。人吉温泉芸者(笑)恵はと言うと・・・。

日光さんのお家の離れで、のーんびり。
ご飯食べて。「ごちそうさまでしたー」と。

真由美ちゃんはにっこり「はい。よく食べました」

恵は「なんか、その言い方、おばあちゃんみたい」

真由美ちゃんは「おばあちゃんがよく、こうして」

恵は「真由美ちゃんのおばあちゃんって・・・KKR人吉に居るって言う?」

真由美ちゃん、こくこく。頷く。

恵は「いいなー。ずっと、働いて来たんだね」

真由美ちゃんは「恵さんは・・働かないんですか?」

恵「だって、結婚して・・とか考えたらその後はムリでしょ、乗務員は」

真由美ちゃんは「まあ・・・車掌は無理かもしれないですね。駅員とかだったら。」

恵は「駅でもねー。・・・あ、ローカル線の小さな委託駅とかだったら。」

真由美ちゃんは「愛紗さんの伯母さんがしているそうです。久大線の庄内駅で」

恵は「へーぇ。そういうのってあるといいね。仕事のクチ。・・・でも、今は。列車に乗るの。」

真由美ちゃんは「そうですね。まだ若いし。」

恵「女ってメンドイよね。顔だってメークしないといけないとかさ。誰がきめたの?って
言いたくなる。しないで乗務していいのか、って言うと・・・。」

真由美ちゃんは「男の人でメークすると問題になるし」

恵「はは!そーだね」と、お膳を持って
この離れの台所に。


真由美ちゃんは「あ、いいです」

恵は「いいの。この位やらせて?お世話になったんだし。無理やり」


真由美ちゃん「無理やり・・・。」と言って、さっきのことを思い出して笑った。

「ホントにここに住むんですか?」


恵は「ま、現実には無理ね。」と、笑った。

真由美ちゃんは「はは」と、笑った。

・・・なーんだ、冗談か。


・・・・ホントに、お兄ちゃんの押しかけ女房(笑)になるかと心配だった。少しだけ。

でもまあ、他の人に取られるよりは・・・いいけど。
フクザツである。オトメこころは。
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