バス・ドライバー日記

深町珠

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黒湯

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「なんで疲れるのにするんだろね」と、友里絵。

菜由「それは・・・ねぇ。求められるから」
と、もじもじ。

友里絵「何を?」

菜由「結婚でしょ」

友里絵「ひっかからんなー。」

菜由「ふっふっふ。主婦を甘く見るな」

友里絵「ムネン」


由香「うーん。」

愛紗「That's the way of the worldね。」


真由美ちゃん「アース!」

友里絵「へー。音楽好きなの?」


真由美ちゃん「ハイ。このあたりはFENがよく入ります」


由香「いいね」

真由美ちゃん「えへへ」と、ちょっとはにかみ。「アースはいいですね。
優しくて、果てしないかんじ。」


友里絵は立ち上がり「ゴア、いくぞ!」

由香「マグマ大使ー」笛ふくまね(^^;


愛紗「懐かしすぎるかも。夕方やってたね」


真由美ちゃんは「ぼちぼち、ごはんかなー」

菜由は「真由美ちゃんも一緒に食べよ?」


真由美ちゃん「ハイ。おばあちゃんが作ってくれるって言ってたから」


菜由「じゃ、お風呂出ないと。」

友里絵「ハイハイ」


由香「ゆりえがふざけるから、なーんか長くなった」


真由美ちゃん「楽しかったです」


菜由「コント見れたし」


あはは、と・・・みんな笑う。


友里絵は「真由美ちゃん、泊まってきなよ」

真由美ちゃんは「え・・・さすがにそこまでは・・・。寝るとこないですし」


友里絵「一緒に寝よ?」


由香「あぶないなー。」


友里絵「ひっひっひ・・・おじさんにまかせなっさい」と、両手を出して。

由香「ドラキュラかいな」


友里絵「ちがーう。バンパイア」


由香「一緒じゃん」

友里絵「エトーランゼちゃん」

真由美ちゃん「見てました!かわいいですねー。あの音楽も」



菜由「誰だっけ、えーと、しゅんくんだっけ」

友里絵「そうそう。なんか、あんまり印象ないけど」

真由美ちゃん「ランゼちゃんがかわいくて」

愛紗「そうそう。」と、にこにこ。


友里絵は「真由美ちゃんも、前髪ぱっつんにすると似るかも」

真由美ちゃん「そうですか?」鏡見たりして。


友里絵は「うんうん。かわいいかわいい」

と、なでなで。


菜由「これで車掌さんの制服着るとね。強力ね。」


愛紗「いつもスラックスでしょ」


真由美ちゃん「はい。ちょっとスカートは動き難いですし。ワゴンは特にそうですね」



愛紗は「そう、わたしもそう。バスは、スカートじゃ運転できないし。」


真由美ちゃんは「そうなんですか?」


愛紗は「そう。ペダルが離れてるから。どうしても、ドジョウすくいみたいになるもの。
ハンドルも低いし」

友里絵は♪やすーきーぃー♪とか。歌いながら。
腰を下ろして、ふりふり。

ざるのかわりに、ラタンの脱衣かごをもって。
タオルでほっかむり。


「ほいほい♪」と、立ち上がって。


その時に、女湯の入り口の引き戸が
がらがらがら・・・・と。開いて。


国鉄職員らしい、おばさんたちが数人。

友里絵を見て「あーはっは!なに?宴会?」


友里絵「へへ、ウケちゃった」


おばさんのひとりが「あーら、真由美ちゃん。しばらくー。」

真由美ちゃんは身支度を整えて「ご無沙汰しておりますー。」



もうひとりのおばさん「車掌さんだって?えらいわー。」

真由美ちゃんは「いえ、まだ車掌補です」

3にんめのおばさん「女の子だから、ほどほどにね・・・いいお婿さんめっけて」


真由美ちゃんはちょっとうつむいて。はずかしそうに「はい。」


最初のおばさんは「お父さんも安心ね、後継ぎがいて」


真由美ちゃんは「父は、早く嫁に行けと言います」


さっきのおばさん「でもー、いざ出すと、泣くね。婿養子にする!とか言うんじゃない?」


おばさんたちは、じゃね、と
ハハハ、と笑いながら。



友里絵ちゃんは「いーもんね。お嫁なんかいかなくったって。かわいーもん」と。

真由美「かわいいうちですね」


菜由「鋭い」


由香「実感か」


愛紗は、声を出さずに笑う。

菜由「あんたも笑うことないでしょ」と、自分でもおかしい。



お風呂を上がると、そろそろ・・・おいしいご飯の匂いがしたり。
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