バス・ドライバー日記

深町珠

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かわいいお友達

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慣性があるので、ブレーキ圧をだんだん弱めて行って止める。
これも、新しい電車なら自動なのだけれども
旧式のディーゼル・カーは勘で行う。
手練の技だ。

愛紗は、そのブレーキの掛け方で
バスのドライブを思い出す。

空車に近い状態だと、効き過ぎるので
乗用車のように踏むと急停止になるけれど
人が沢山乗っていると、いくら踏んでも全然効かない。

それで、リターダーが重要になるワケだ。





停止してから、常用最大位置にブレーキハンドルを送る。

停止位置、よし!



運転士は、ドアを開く。



小さな子供たちは、楽しそうに乗ってきた。
空気ばねで、ゆらゆら揺れるのも、楽しそう。
揺れに合わせて、からだを、ゆらゆら。


ちいさな子たちで、車内は一杯になった。


「遠足?」と、友里絵は
近くの男の子に聞く。

男の子は、丸坊主の頭で、ほっぺた、まっか。
黄色い帽子が少し大きい。


「うん、行ってきたの」と、にこにこ。

由香も「よかったねー、お天気で」

近くに居た子が「うん!おやま、きれいだった」と。


「電車で行くんですね」と、愛紗は

お姉さん先生に言うと「はい。丁度いい場所に駅があるので」

目的地のそばに駅がある。風光明媚なローカル線らしいお話。


真由美ちゃんは「かわいい」と、にこにこ。
お絵かきノートを見せて貰っていたり。


菜由は、なぜか人気で
いろんな子が、そばによってきて
わいわい。


「子供に懐かれるもんね」と、愛紗。

ツアーバスでも、そういうタイプだった。


友里絵は「どんぶらこー、すっこっこー」と。手漕ぎの真似をして
男の子たちを笑わせている。

「昔々、あるところにー。おじいさんとおばあさんがおりました。
おじいさんは、川へ芝刈りに」と、由香。

男の子が「ちがうよー」と、笑う。


「アレそうだっけ?」と、由香。

友里絵は「山へ洗濯にいきました」


子供達は笑っている。「山で洗濯しないよー」


こどものお笑いコンビ(^^)。




ディーゼルカー、ローカル線とはいえ
鉄道は早い。


次の駅に着いて。子供達は「ばいばーい」と
手を振って。

引率の、優しそうなおばさんは、丁寧にお辞儀をして。

お姉さん先生たちも「よかったねー。ありがとうって言ってね」と。


子供達は「ありがとー」と、大きな声で言って。

列車を降りていった。

野武士のような運転士も、笑顔がこぼれる。



「かわいーね」と、友里絵。
「うん」と、由香。
「このあたりにしようかなあ」と、菜由。
「ああ、ひっこし?」と、愛紗。
「お引越しなさるんですか?」と、真由美ちゃん。


菜由は「ああ、子供を育てるなら、ひろーいところがいいなぁって
前から思っていて。
わたし、郷里が鹿児島だし」


真由美ちゃんは「はい。いいところですね。このあたり。のんびりできますし。
今は、割とお買い物もインターネットとかで出来ますし・・・。」


友里絵「あたしもやってるー。ちょこちょこ」

由香「見て歩く暇、ないし」


真由美ちゃん「はい。わたしは、まあ・・・折り返し時間に見たりもしますけど。
駅ビルとか、物資部とか」


愛紗「国鉄物資部にもあるの?」


真由美ちゃん「はい。大きな駅にはありますね。熊本、鹿児島。」



菜由「新幹線に乗るようになると、博多とか、小倉とか。
小倉の駅ビルは大きいものね」


真由美ちゃん「小倉はまだ、行った事はないですけど・・・・
門司港とか、大分とか。駅市場は広いそうですね」

愛紗は「うん、大分の駅市場はもともと、物資部だったところだし」


友里絵「そうなんだ。」



真由美ちゃん「愛紗さんは大分ですか?」


愛紗は「宮崎なの。伯母が大分に居て。よく行くの。この旅行も
伯母の家からね・・・庄内なんだけど。そこから来たの」



真由美ちゃんは「わぁ、大旅行ですね!」と、にこにこ。

愛紗は、その旅行の意味を思い出したけど
でも、真由美ちゃんが居ると、明るくなれる。

可愛い子には、笑顔のお話しがいいものね。
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