バス・ドライバー日記

深町珠

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ひつじがいっぴき

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友里絵は「タマちゃんの仕事なんて、みんな知り合いからのツテなんだって。
仕事が難しいから、経験者、できる人を探すんだって。」

菜由「それで東大か。」

由香「すごいよね。」

友里絵「そうでもないって言ってるけど。『入学する訳じゃないから』だって。
国鉄の就職も一緒じゃない?
お金を扱う仕事だし、経験、と言うかさ。家族が鉄道員なら安心だし。上の人も。」

愛紗「そうだよね、たぶん」


菜由「じゃ、そうする?」


愛紗「そうね・・・なんか、ほんと。わたしってダメね。」


友里絵「優柔普段。」


由香「字が違うって」


友里絵「漢字苦手だー。」

由香「じゃ、あんたは落第!」


友里絵「ひえー。」


由香「だってさ、車掌さんが字が書けないんじゃ切符売れないジャン。
おつり間違えたら懲戒だってさ。国鉄は」


友里絵「えーほんとー。」

愛紗「それは知ってる。自分のお財布は持っていかない。
公金は、一円でも間違えたら始末書だって。」


菜由「今は、携帯端末があるけどね。」


友里絵「それじゃーさぁ。ワゴンサービスも怖いなー。間違えそう。」


由香「じゃ、駅員さんかな。」


友里絵「そーいえば、路線バスもそうだもんね。一万円出されると困るって」


菜由「ああ、あったってね。石川が言ってた。料金箱が壊れると
お釣が出ないから、大変だったって。今はSUICAが殆どだからいいけど。」


友里絵「そうそう。それで、乗務の途中で料金箱、お釣が出なくなると
ほんとに困るんだって。」


愛紗「そういう時は、どうするの?」


友里絵「うん。指令に聞くのがいいんだって。それでね、タマちゃんが
無線で指令に聞いたら・・・・。


「料金箱に入れないで、お釣として渡しなさい」と、無線で言われて。
その通りにしたの。そしたら、お客の一人が

嘘の電話掛けてきて。

「運転手が料金を着服している」って。



由香「ひどいねー」


菜由「それで、どうしたの?」


友里絵「うん。指令が無線で言ったから、みんな聞いてたんで
無罪だった。けどね、いるんだって。お釣を着服しちゃう人。」


由香「そんな人いるんだ。」



友里絵「うん。お釣の出る穴にね、粘土を詰めて
「あ、故障ですね、すみません」と言って。

未払い証明を書いて。

お客さんは、お釣の分を駅で返してもらえる。


で・・・・。後で。

粘土を取ると、1000円儲かる」

由香「セコイ」


愛紗も「そんな人いるんだ。」



菜由「1000円ぽっちで」



友里絵「金額じゃないのかな。万引きみたいなもので。」



菜由「うーん。」



友里絵「だから、信用が第一なんだって。バスも電車も」


愛紗「なるほど・・・・わたしん家は、国鉄、多いものね。」


友里絵「そういうことみたいよ。東山でも縁故って多いじゃない。
滝さんとか、佐藤さんとか。」


愛紗「そっか。」


菜由「でも、したい仕事がどっちか、なんて・・・わかんないよね。
わたしもガイドしたくて選んだって言うよりは、家から出たかったし。
どちらか選ぶのなら、条件がいい方でいいんじゃない?」



愛紗「そうかもね」


由香「ミッション・インポシブル!」

友里絵「インポ渋る?」


由香「へんな読み方するな!」と。


友里絵「ははは。でもインポはまずいなー。」



由香「タマちゃんインポ説があってさー。」


菜由「ああ、女を寄せ付けないから?」



友里絵「でも大丈夫みたいだったし。」


由香「そりゃ、相手によるんじゃない?有賀の話って、あのゴジラだし。
あれじゃねー。あたしでも立たないよ。」


友里絵「立つんかい!」


由香「立て、立つんだジョー!」


友里絵「何言ってんだか。寝よ」



菜由「そだね。」


愛紗「あしたも旅だし」









局長さんは、寝ながら・・・・思い出していた。

思い出せないと、なんとなく・・・気になる(^^)。

それはそうで。



記憶を反芻。



日生、日生・・・・と。

でも、どうも思い出せない(笑)。


ひつじがいっぴき、ひつじがにひき・・・みたいになってきて。


寝た(笑)。








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