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きゃー、へんたーい!
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愛紗は、真面目な表情で
「お心遣い、嬉しいです。私が気がかりなのは・・・
縁故で就職すると、試験を受けて入れる筈の人が
入れなくなってしまうのではないか、と言う事なのですけれど・・。」
局長は、にっこり
「いや、国鉄の試験は、落とす試験ではないです。
向き不向きを見ているんですね。国民の為の鉄道ですから
なによりも、思い遣りのある人がいいんです。
試験は形式なんですね。中学卒業程度の学力があれば十分です。
あとは心ですけど・・・これが試験では解らないし、入ってからも変わってしまう。
ひとはそういうものです。
毎日、疲れると心も疲れることもあるから、そういう時に
思い遣りを持てる人が、いいんですね。」
区長「はい。ですから、皆さんは合格ですね。
学力が中学卒業程度あれば」
友里絵は「うわー、ダメだーぁ」と言うので
みんな笑った。
局長は「東山に入れたなら大丈夫ですよ」と、にこにこ。
由香「そっか、良かったー。」と、にこにこ「ゆりえが落ちたらかわいそうだもん」
友里絵「ゆかは落ちないのかよー。」
由香「あ、そっか。ははは」と、笑った。
局長は「まあ、もし来られるなら、のお話ですから。
そういう生き方もあるという事です。
関東で国鉄に入るのとは、違うんですね。
若い人が少ないですから、そもそも。こちらは。
そうそう。有馬さんは知り合いですから、上手くお話も出来ます。私から」
区長「なんか試験みたいになっちゃたね。ごめんなさい。どうも、いかんですね。
じいさんは」と、笑った。「さ、楽しくやりましょう」。
・
・
・
「よかったね。」
「うん」
菜由は、愛紗に話し掛けながら。
「いやー面白かった」
「いいね、みんな一緒なら」
由香は、友里絵に。
各々、話しながら。「さくら」の間から3階へと
階段を昇っていく。
「友里絵はさーぁ、タマちゃんに会いたくて大岡山に入ったの?」と、菜由。
友里絵は、ちょっと間をおいて「そーかなぁ。そうかもしれないけど。
もう居ないし。あの人はやっぱりバスの運転手さん向きじゃないよね。
だから、戻ってこなくていいの。」
由香「あたしはさ、就職無かったんだ。ほんとに。派遣の事務員くらいしか。
それで、友里絵が誘ってくれて。」
愛紗「友里絵ちゃんって優しいから。由香ちゃんの為でもあったのね。」
友里絵「そうじゃないけどー。」と、言って、にこにこ。
「やっぱ、一緒がいいじゃん。友達と。それにね・・・・
ペットの仕事って言うのも結構3Kだし。可愛がってるだけの方が楽しいもの。」
菜由「そうだよねー。趣味で見てるのと、仕事って違うよ。」
友里絵は、思い出して「タマちゃんもね、音楽もそうだって言ってたな。
売るためだと、聞く人が楽しいものを作らないといけないから
自分が演奏してて楽しくないこともあるけど、でも、嫌いでもない。」
由香「なるほどねー。鉄道ファンが鉄道員になっても続かないって言うものね。」
愛紗「そうなの?」
由香「うん。接客業だもん。基本。」
菜由「なるほどねぇ。石川なんて整備士だから、無愛想でもいいから
持ってるけど。」
友里絵「タマちゃんは褒めてたよ。技術は凄いし、謙虚だって。
タマちゃんもほら、自動車会社に居たから。」
菜由「うん、石川も言われたって言ってたな。深町さんに。
『俺なんかまだまだですよ』って答えたって。
あの頃ね。私がまだガイドだった頃。」
由香「カップルだった頃ね」
菜由「いやいや、そんな」と、俯く。手を振る。
友里絵「今もカップルじゃん」
由香「あっそーか。」
階段を上がって、305号室へ。
シリンダー錠を開けて。
かちゃり。
「なんか、ここはホテルっぽくないね」と、友里絵。
菜由「あのオートロックって、なんかね。」
由香「かぎ忘れて出たり」
友里絵「そう。酔っ払って表へ出て。
「アレ?」なんて振り返ったら
ドアがばたーっ!」
由香「ははは。」
友里絵「その人ね、パンツしかはいてなかったんだって。」
菜由「わはは」
由香「ゆりえだろ、それ」
友里絵「んな訳ないじゃん。いちおー女だし」
由香「いちおーな。じゃ、カレシか。」
友里絵「そんなんいないって。由香も知ってるじゃん。」
由香「そうだけどさ」
菜由「それで、どうしたわけ?」
友里絵「しかたないから、エレベータホールの前に電話があって。
それでフロント呼んだんだって。その間にエレベータのドアが開いて。」
由香「わはは!『きゃー、ヘンターい』」
友里絵「そうそう!」
菜由「ガードマンが飛んできた」
愛紗「ははは」
「お心遣い、嬉しいです。私が気がかりなのは・・・
縁故で就職すると、試験を受けて入れる筈の人が
入れなくなってしまうのではないか、と言う事なのですけれど・・。」
局長は、にっこり
「いや、国鉄の試験は、落とす試験ではないです。
向き不向きを見ているんですね。国民の為の鉄道ですから
なによりも、思い遣りのある人がいいんです。
試験は形式なんですね。中学卒業程度の学力があれば十分です。
あとは心ですけど・・・これが試験では解らないし、入ってからも変わってしまう。
ひとはそういうものです。
毎日、疲れると心も疲れることもあるから、そういう時に
思い遣りを持てる人が、いいんですね。」
区長「はい。ですから、皆さんは合格ですね。
学力が中学卒業程度あれば」
友里絵は「うわー、ダメだーぁ」と言うので
みんな笑った。
局長は「東山に入れたなら大丈夫ですよ」と、にこにこ。
由香「そっか、良かったー。」と、にこにこ「ゆりえが落ちたらかわいそうだもん」
友里絵「ゆかは落ちないのかよー。」
由香「あ、そっか。ははは」と、笑った。
局長は「まあ、もし来られるなら、のお話ですから。
そういう生き方もあるという事です。
関東で国鉄に入るのとは、違うんですね。
若い人が少ないですから、そもそも。こちらは。
そうそう。有馬さんは知り合いですから、上手くお話も出来ます。私から」
区長「なんか試験みたいになっちゃたね。ごめんなさい。どうも、いかんですね。
じいさんは」と、笑った。「さ、楽しくやりましょう」。
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「よかったね。」
「うん」
菜由は、愛紗に話し掛けながら。
「いやー面白かった」
「いいね、みんな一緒なら」
由香は、友里絵に。
各々、話しながら。「さくら」の間から3階へと
階段を昇っていく。
「友里絵はさーぁ、タマちゃんに会いたくて大岡山に入ったの?」と、菜由。
友里絵は、ちょっと間をおいて「そーかなぁ。そうかもしれないけど。
もう居ないし。あの人はやっぱりバスの運転手さん向きじゃないよね。
だから、戻ってこなくていいの。」
由香「あたしはさ、就職無かったんだ。ほんとに。派遣の事務員くらいしか。
それで、友里絵が誘ってくれて。」
愛紗「友里絵ちゃんって優しいから。由香ちゃんの為でもあったのね。」
友里絵「そうじゃないけどー。」と、言って、にこにこ。
「やっぱ、一緒がいいじゃん。友達と。それにね・・・・
ペットの仕事って言うのも結構3Kだし。可愛がってるだけの方が楽しいもの。」
菜由「そうだよねー。趣味で見てるのと、仕事って違うよ。」
友里絵は、思い出して「タマちゃんもね、音楽もそうだって言ってたな。
売るためだと、聞く人が楽しいものを作らないといけないから
自分が演奏してて楽しくないこともあるけど、でも、嫌いでもない。」
由香「なるほどねー。鉄道ファンが鉄道員になっても続かないって言うものね。」
愛紗「そうなの?」
由香「うん。接客業だもん。基本。」
菜由「なるほどねぇ。石川なんて整備士だから、無愛想でもいいから
持ってるけど。」
友里絵「タマちゃんは褒めてたよ。技術は凄いし、謙虚だって。
タマちゃんもほら、自動車会社に居たから。」
菜由「うん、石川も言われたって言ってたな。深町さんに。
『俺なんかまだまだですよ』って答えたって。
あの頃ね。私がまだガイドだった頃。」
由香「カップルだった頃ね」
菜由「いやいや、そんな」と、俯く。手を振る。
友里絵「今もカップルじゃん」
由香「あっそーか。」
階段を上がって、305号室へ。
シリンダー錠を開けて。
かちゃり。
「なんか、ここはホテルっぽくないね」と、友里絵。
菜由「あのオートロックって、なんかね。」
由香「かぎ忘れて出たり」
友里絵「そう。酔っ払って表へ出て。
「アレ?」なんて振り返ったら
ドアがばたーっ!」
由香「ははは。」
友里絵「その人ね、パンツしかはいてなかったんだって。」
菜由「わはは」
由香「ゆりえだろ、それ」
友里絵「んな訳ないじゃん。いちおー女だし」
由香「いちおーな。じゃ、カレシか。」
友里絵「そんなんいないって。由香も知ってるじゃん。」
由香「そうだけどさ」
菜由「それで、どうしたわけ?」
友里絵「しかたないから、エレベータホールの前に電話があって。
それでフロント呼んだんだって。その間にエレベータのドアが開いて。」
由香「わはは!『きゃー、ヘンターい』」
友里絵「そうそう!」
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愛紗「ははは」
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