162 / 328
201D,南鹿児島、定発!
しおりを挟む
快速「なのはな」号は、ディーゼル・エンジンだけど
トルク・コンバータ・クラッチだ。
しかし、変速機は機械式に切り替えである。
発進し、トルク・コンバータが滑り動作をする。油圧が上がる。
走り始める。
一定の回転から、上がらなくなると
そこで、ギアを変える。
ちょっとしたショックがあって。車体が少し揺れ、速度があがる。
2速に上がったのだ。
車上の愛紗は、その動作を感じ、連想する。
12mの観光バス、いすゞERGAの操作感覚。
2速から3速に上がる時、そういう感じだった。
軽いクラッチを切り、シフトノブを手前に引く。
完全にクラッチを切っていないと、警告ブザーと赤ランプが点く。
このあたりは機械式より不便である。
ーーーーー
なぜかと言うと、機械式シフトのバスなら、ギアを外す時はクラッチを踏まずに
動かせるから。
路線バスなど、クラッチを踏む回数が多いと、それだけでも楽が出来るからだ。
回送時など、遥か先で赤信号が点っている時、ニュートラルで転がすと楽なのだ。
ーーーーー
クラッチが切れている間に、軽いシフト・ノブを手前に引く。
ばねと空気の反動があり、ギアが変わる。
計器盤のシフト・インジケータが「3」になる。
ショックがないようにクラッチをつなぐ。減速しないようにアクセルに足を添えておく。
下り坂、登り坂、前方の状態を考えて。
アクセルを踏むと、車体が僅かに傾き、低いエンジン音と振動が伝わる。
回転計の針が、少し上がる。1000くらいだろうか。
エア・サスペンションだから、乗り心地は快適だ。
大きな硝子窓には、景色が一杯に映っている。
晴れの日なら青空。雨の日なら雨滴が流れていく。
「愛紗、何考えてるの?」と、菜由。
「え、あ。なんでもない。ごめん」と、愛紗。
友里絵は「オトメちゃんしてたの?かわいい。」
愛紗は少し恥かしくなった。「そうじゃないの。エンジンの音聞いてたらね。
バスの運転を思い出して。」
友里絵は「あ、いいよねー。大きい車って。動かすの。かっこいいし。」
愛紗は「そうね。」
とは言いながら、でもまあ、大きいとぶつけるし・・・・どこかにぶつけると事故だし。
なんて思ったりもする(^^)。
由香は「あたしも乗ってみたい。免許取って。」
菜由は「車の免許はあるんだっけ。」
由香も友里絵も「もってまーす。」
菜由は「じゃ、誕生日が来たら乗れるね。」
その間に、快速「なのはな」は、3速へ。
速度が少し上がる。
路盤が良くないので、速度は抑えてあるけれど
幹線なら、かなりの速度が出る車両だ。
車窓左手に見えていた路面電車も、終点を過ぎて
海岸の景色だけになった。
その頃、大岡山営業所では・・・・。
先輩のバス・ドライバー、美和が「あの子たち、どうしてるかな」
(美和は、ミュージシャンのMIWAに似ている。背格好もあのくらい。
快活なところも似ている。ちょっと年は上だが(^^)。因みに本名である)。
沖縄出身のドライバー、観光担当のベテラン、安里は
「楽しんでるだろな。いいなぁ若いのは。」
観光は、わりと時間には余裕がある。乗務外は、である。
美和は、特急バスの担当で観光は滅多に乗らない。
そのあたりは、運転指令の配慮である。
女子ドライバーだと、観光で泊まり勤務は・・・・ちょっと出来ない。
家庭を持っていても、そうだ。
乗務員休憩所は、そういう理由でいつも誰かが居て
のんびりしている場所だ。
営業所に、高速バスが一台、入ってくる。
4804号。深町と同期で入社した森下だ。
森下は腕が良く、他で貸切運転をしていたので
直ぐに高速の乗務になって。
今ではベテランの風格さえある。
美和は「森ちゃんかー。タマちゃんも、ずっと居たら
今頃高速かな」
安里は「タマか?あれは、今頃居たら指令か、運転課長補佐だよ。
会社もそのつもりだったんだ。」
3年居ると、そんな風に進路が決まる。
深町は、2年10ヶ月で辞めたので、そうはならなかった。
だから、今でも会社は「戻って来い」と言うのだそうだ。
そこに、細川が入ってきた。
名前の通り細身で、ユーモラスな細川は
指令である。
「なーんの話しー。」
美和が「タマちゃんのはーなーし。」
細川が「ああ、タマか、元気だってな。東大とかで。いつだったか、俺が
ここでオマエとふざけてて
「おい、タマ、美和のパンツ脱がしていいぞ」って言ったけど
タマはさ、にっこりして。
「後でね」って。 言ったっけ。
後で脱がされたか?」
美和が「まさか」といいながら手を振る。
安里も笑う。
日やけした顔で笑うと、シーサーのようだ(笑)。
トルク・コンバータ・クラッチだ。
しかし、変速機は機械式に切り替えである。
発進し、トルク・コンバータが滑り動作をする。油圧が上がる。
走り始める。
一定の回転から、上がらなくなると
そこで、ギアを変える。
ちょっとしたショックがあって。車体が少し揺れ、速度があがる。
2速に上がったのだ。
車上の愛紗は、その動作を感じ、連想する。
12mの観光バス、いすゞERGAの操作感覚。
2速から3速に上がる時、そういう感じだった。
軽いクラッチを切り、シフトノブを手前に引く。
完全にクラッチを切っていないと、警告ブザーと赤ランプが点く。
このあたりは機械式より不便である。
ーーーーー
なぜかと言うと、機械式シフトのバスなら、ギアを外す時はクラッチを踏まずに
動かせるから。
路線バスなど、クラッチを踏む回数が多いと、それだけでも楽が出来るからだ。
回送時など、遥か先で赤信号が点っている時、ニュートラルで転がすと楽なのだ。
ーーーーー
クラッチが切れている間に、軽いシフト・ノブを手前に引く。
ばねと空気の反動があり、ギアが変わる。
計器盤のシフト・インジケータが「3」になる。
ショックがないようにクラッチをつなぐ。減速しないようにアクセルに足を添えておく。
下り坂、登り坂、前方の状態を考えて。
アクセルを踏むと、車体が僅かに傾き、低いエンジン音と振動が伝わる。
回転計の針が、少し上がる。1000くらいだろうか。
エア・サスペンションだから、乗り心地は快適だ。
大きな硝子窓には、景色が一杯に映っている。
晴れの日なら青空。雨の日なら雨滴が流れていく。
「愛紗、何考えてるの?」と、菜由。
「え、あ。なんでもない。ごめん」と、愛紗。
友里絵は「オトメちゃんしてたの?かわいい。」
愛紗は少し恥かしくなった。「そうじゃないの。エンジンの音聞いてたらね。
バスの運転を思い出して。」
友里絵は「あ、いいよねー。大きい車って。動かすの。かっこいいし。」
愛紗は「そうね。」
とは言いながら、でもまあ、大きいとぶつけるし・・・・どこかにぶつけると事故だし。
なんて思ったりもする(^^)。
由香は「あたしも乗ってみたい。免許取って。」
菜由は「車の免許はあるんだっけ。」
由香も友里絵も「もってまーす。」
菜由は「じゃ、誕生日が来たら乗れるね。」
その間に、快速「なのはな」は、3速へ。
速度が少し上がる。
路盤が良くないので、速度は抑えてあるけれど
幹線なら、かなりの速度が出る車両だ。
車窓左手に見えていた路面電車も、終点を過ぎて
海岸の景色だけになった。
その頃、大岡山営業所では・・・・。
先輩のバス・ドライバー、美和が「あの子たち、どうしてるかな」
(美和は、ミュージシャンのMIWAに似ている。背格好もあのくらい。
快活なところも似ている。ちょっと年は上だが(^^)。因みに本名である)。
沖縄出身のドライバー、観光担当のベテラン、安里は
「楽しんでるだろな。いいなぁ若いのは。」
観光は、わりと時間には余裕がある。乗務外は、である。
美和は、特急バスの担当で観光は滅多に乗らない。
そのあたりは、運転指令の配慮である。
女子ドライバーだと、観光で泊まり勤務は・・・・ちょっと出来ない。
家庭を持っていても、そうだ。
乗務員休憩所は、そういう理由でいつも誰かが居て
のんびりしている場所だ。
営業所に、高速バスが一台、入ってくる。
4804号。深町と同期で入社した森下だ。
森下は腕が良く、他で貸切運転をしていたので
直ぐに高速の乗務になって。
今ではベテランの風格さえある。
美和は「森ちゃんかー。タマちゃんも、ずっと居たら
今頃高速かな」
安里は「タマか?あれは、今頃居たら指令か、運転課長補佐だよ。
会社もそのつもりだったんだ。」
3年居ると、そんな風に進路が決まる。
深町は、2年10ヶ月で辞めたので、そうはならなかった。
だから、今でも会社は「戻って来い」と言うのだそうだ。
そこに、細川が入ってきた。
名前の通り細身で、ユーモラスな細川は
指令である。
「なーんの話しー。」
美和が「タマちゃんのはーなーし。」
細川が「ああ、タマか、元気だってな。東大とかで。いつだったか、俺が
ここでオマエとふざけてて
「おい、タマ、美和のパンツ脱がしていいぞ」って言ったけど
タマはさ、にっこりして。
「後でね」って。 言ったっけ。
後で脱がされたか?」
美和が「まさか」といいながら手を振る。
安里も笑う。
日やけした顔で笑うと、シーサーのようだ(笑)。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
DiaryRZV500
深町珠
青春
俺:23歳。CBX750F改で峠を飛ばす人。
Y:27歳。MV750ss、Motoguzzi850,RZ350などを持っていた熱血正義漢。熱血過ぎて社会に馴染めず、浪人中。代々続く水戸藩御見医の家のドラ息子(^^:。
Nし山:当時17歳。RZ250。峠仲間。
などなど。オートバイをめぐる人々のお話。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
タビスルムスメ
深町珠
青春
乗務員の手記を元にした、楽しい作品です。
現在、九州の旅をしています。現地取材を元にしている、ドキュメントふうのところもあります。
旅先で、いろんな人と出会います。
職業柄、鉄道乗務員ともお友達になります。
出会って、別れます。旅ですね。
日生愛紗:21歳。飫肥出身。バスガイド=>運転士。
石川菜由:21歳。鹿児島出身。元バスガイド。
青島由香:20歳。神奈川出身。バスガイド。
藤野友里恵:20歳。神奈川出身。バスガイド。
日光真由美:19歳。人吉在住。国鉄人吉車掌区、車掌補。
荻恵:21歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌。
坂倉真由美:19歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌補。
三芳らら:15歳。立野在住。熊本高校の学生、猫が好き。
鈴木朋恵:19歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌補。
板倉裕子:20歳。熊本在住。国鉄熊本車掌区、車掌。
日高パトリシアかずみ:18歳。大分在住。国鉄大分車掌区、客室乗務員。
坂倉奈緒美:16歳。熊本在住。熊本高校の学生、三芳ららの友達・坂倉真由美の妹。
橋本理沙:25歳。大分在住。国鉄大分機関区、機関士。
三井洋子:21歳。大分在住。国鉄大分車掌区。車掌。
松井文子:18歳。大分在住。国鉄大分車掌区。客室乗務員。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる