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コンビニ
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「土屋っておじいさんがね。友里恵のお尻触ったって」由香
友里恵「それをね、たまちゃんが、でも面白くてね
「あきまへんがなー。とし、かんがえやー」
って、上方の落語みたいに言ってくれて
土屋さんも照れ笑いでね。辞めたの。
」
愛紗は「ユーモアがあるのね」
由香「ミュージシャンってそうなのかもね。
なんか、尖んがってないって言うか。
変わった人ね、本当」
普通なら、怒って。と、思う所だけど。
怒っても、解決するとは限らない。
そう、愛紗は思う。
そういう大人っぽさが、今の世の中には
足りないのかな、なんて。
故郷の大人たちに比べると幼稚だと
大岡山の大人たちを見てそう思う。
「やっぱり、帰ろうかなー」愛紗は
ため息。
友里恵は「ああ、故郷へ。まあ、とりあえず里帰りしてさ、それからゆっくり考えれば
いいんじゃない?急がなくても。」
由香は「そうそう。おかげでアタシたちも
遊べるし。」
友里恵「それかい、結局。」
あはは、と、みんな笑った。
「楽しそうだね、お疲れ様」と
増田。
中堅の路線ドライバーで、担当は大岡山。
いすゞの4864に乗っている。堅実そうな
いい男。
園美といい感じらしいと女の子の噂。
「お疲れ様でーす」と、3人は声を交わす。
「研修、頑張ってね」と、増田。
友里恵は「アタシたちも後に続いてドライバー志望」と、言うと
増田は「ああ、いいんじゃない?高速とか特急とかに乗ってくれれば。路線が楽になるし。
」
女子ドライバーがそれを担当すれば
今、特急とか、高速に出ている男子が
路線に戻れる。
ドライバーの賃金は、普通は
時間、それと距離だけど
この当時は、運転時間と前後10分だけ、
それと距離。
だったから、高速とか特急みたいに
待機時間が長いとそんなに儲からない。
基本給だけでいい人はそれでいい。
普通、基本給と無事故手当だけで22万くらい。
後は、距離が8円/km。
高速は6円。貸し切りは4円。
そんな感じ。
時間賃金は、普通は正社員も
契約も同じで、月給。
一日7時間が基準。後は残業扱いだけど
前述、運転時間が短いので、13時間くらい拘束されても7時間と少し。
それなので、お金が欲しい人には
そんなに向かない路線ドライバーである。
「そうだねぇ、白井さんも男子ダイヤに入るとか」と、増田は
白井さん、と折り目正しく言うあたりが
紳士的。
「辛いですか」と、愛紗。
増田は「うん。家が近ければいいけどね、たまちゃんみたいに」と。
由香は「ああ、すぐそこで、それで大岡山にしたとか。山海バスも受かったけど」
増田は「え、それは初耳。なーんだ、山海の方がいいのに」
山海は、大手で
神奈川県の電鉄会社の系列に吸収されたが
元は
独立したバス会社二つだった。
100年の伝統がある、古い会社。
労働組合が強いので、契約社員でも
直ぐに組合員、と言う変わったところ。
東京まで電車に乗るのに、無料で乗れる
メリットもあった(笑)。
「眠れるからね。近い方がいい」と、増田。
「そんなに違いますか?」愛紗。
増田は頷く。「たまちゃんはそれで、楽だったんだろね。まあ、お母様の相手があるし」
由香「ああ、なんか、死んじゃったお父さんの代わり」
増田は「なんで?怪しいなー。付き合ってるの?」
由香は「それは友里恵。」と、ふざける。
友里恵は「そーなの。あたしのもんだもーん」
と、にこにこ。
増田も「そーだったのかー。」と、笑う。
まあ、おまけダイヤもそれで免除と
結構妬む奴もいた、と増田。
「おまけダイヤ?」と、由香。
増田は「ああ、普通ABとかだと、中番くっつけるの。違法だけどね」
それは、人手不足で仕方ない。(現在は出来ない)
運休にはできないから。
そういう時、事情がある人は免除される。
例えば、母親を病院に連れてったり
自分が病気とか。
坂江あたりでも、病院に行きながら
運転したり。
そういう職業である。
そんな訳なので、サラリーマン感覚で
入社してもすぐ辞めるのが現実。
遊びたいとか、バスの他に
趣味がある人なんかは、まず無理。
それもこれも、規制緩和のせいで
格安ツアーバスや、観光バスが
激安になったせいだった。
大事故が起き、見直される傾向ではある。
「みんな、所帯持ちは子供のPTAとか、子供会とか、自治会とか。そんな理由を付けてるみたいね。」と、増田。
友里恵は「コンビニのバイトもそうだったっけ」
嫌な仕事は逃げたいのは、誰でもそうだ。
それで、坂江みたいな責任感がある人は
定年を過ぎても、アルバイトでバスを
走らせたりしている。
「たまちゃんは違って、自治会を断って
乗務してたな。法律に詳しいっていいね」と、増田。
愛紗は「どういうことですか?」
増田は「うん、元々自治会って任意参加でいいの。それが国の法律で決まってるけど、
意地の悪い人が居て、順番だから、って
面倒な役を押し付けるのね。どこでもあるけど。まあ、子供の運動会とか、夏祭とか
どうでもいい仕事しかないんだけど。
威張りたい人っているな。どこにも」
子供がいない人や、深町のように独身、
高齢者なんかはしなくてもいいのである。
(地方自治法260条ー2 地縁団体の
任意参加、市長による認証、不利益取扱禁止
民法90条、自力救済禁止。
刑法266条 強要の禁止)。
由香「あーるねー。コンビニでも
パートのおばさんがゴミ掃除新人にさせたりとか」
増田は「そうそう。コンビニが言ってないのに
勝手にパートさんが命令しちゃう。自治会もそうで、それで、たまちゃんは法律上変だと
市役所に言ったら、イジメだったって解った。
自治会はなんにも言ってなくて、意地悪なばばあが勝手になりすましてた。まあ、日本は民主主義だから、そもそもおかしいだけど。」
友里恵「そういうの許せないね。嘘じゃん」
なんとなく、変態教師が教職を悪用した怒りも
少しは混じっているかのようだ。
それは正義だ。
「まあ、大岡山でもね。人を増やせって
組合が言って。求人するけど
来ても、それだから辞める。
若いのが来ると、狡い年寄りが
辛いダイヤを代われとか言ったり。」 と、増田。
愛紗「そんなことが」
野田の心配はそのあたりにもある。
増田は「うん。不条理な事はしない。それでいいんだね。」
どこか、増田は深町に似てると愛紗は思った。
それは、紳士、って事かもしれない。
増田は、じゃ、乗務。と言って自分のバスに乗る。
これは新しいタイプで、非常コックを使わなくても
観光バスのように、ドアスイッチで開く。
由香は「園美さんって、なんかたまちゃんに
少し好きって感じだったけど。そーか。増田さ似てるもんね」
友里恵は「ま、アタシのもんだし。」と、笑う。
愛紗も笑う。「約束したの?」
そんな事ないだろうけど。
友里恵は「うん、アタシね、家出してて不良だけど、こんなアタシをどう思う?って聞いたら、たまちゃんは
いいんじゃない?
可愛いし。
って。」
愛紗「それだけ?」
由香「あはは。まあ、その後抱き合ったもんねぇ」
友里恵「はぐしただけだって」
由香「でも、そのまましてもよかったじゃん」
愛紗は少し恥ずかしくなって。
周りの誰かに聞こえないかと見回した。
友里恵は「それで、あの西の森コンビニが潰れて、みんなバラバラ。その時ね、たまちゃんに仕事の依頼が来て。」
愛紗「仕事?大学の?」
友里恵「なんか、その時はコンサルタントとか言ってた。それで。一緒に居られないから
淋しくて、泣いたのね。アタシ。
ずーーーっと。」
由香「まぶた、腫れてたもんね。ガーゼ貼って。」
友里恵「それで泣いたら、すっきりした。
うん、好きにさせてあげよう。って。
それも愛よ」と。
由香「そう。カッコイイよね。友里恵。」
友里恵は笑って。
「でも、まあ、バスに乗ってるって知ってここにも来たな。運転させて貰ったりして」友里恵は笑う。
愛紗「運転出来たの?」
友里恵は「まー、怖かったけど。駐車場だけだよ。それでも」
愛紗「そうだよね。怖いよ。鉄だもん。当たると痛いだろうし」
昼間見た事を思い出す。
友里恵「それをね、たまちゃんが、でも面白くてね
「あきまへんがなー。とし、かんがえやー」
って、上方の落語みたいに言ってくれて
土屋さんも照れ笑いでね。辞めたの。
」
愛紗は「ユーモアがあるのね」
由香「ミュージシャンってそうなのかもね。
なんか、尖んがってないって言うか。
変わった人ね、本当」
普通なら、怒って。と、思う所だけど。
怒っても、解決するとは限らない。
そう、愛紗は思う。
そういう大人っぽさが、今の世の中には
足りないのかな、なんて。
故郷の大人たちに比べると幼稚だと
大岡山の大人たちを見てそう思う。
「やっぱり、帰ろうかなー」愛紗は
ため息。
友里恵は「ああ、故郷へ。まあ、とりあえず里帰りしてさ、それからゆっくり考えれば
いいんじゃない?急がなくても。」
由香は「そうそう。おかげでアタシたちも
遊べるし。」
友里恵「それかい、結局。」
あはは、と、みんな笑った。
「楽しそうだね、お疲れ様」と
増田。
中堅の路線ドライバーで、担当は大岡山。
いすゞの4864に乗っている。堅実そうな
いい男。
園美といい感じらしいと女の子の噂。
「お疲れ様でーす」と、3人は声を交わす。
「研修、頑張ってね」と、増田。
友里恵は「アタシたちも後に続いてドライバー志望」と、言うと
増田は「ああ、いいんじゃない?高速とか特急とかに乗ってくれれば。路線が楽になるし。
」
女子ドライバーがそれを担当すれば
今、特急とか、高速に出ている男子が
路線に戻れる。
ドライバーの賃金は、普通は
時間、それと距離だけど
この当時は、運転時間と前後10分だけ、
それと距離。
だったから、高速とか特急みたいに
待機時間が長いとそんなに儲からない。
基本給だけでいい人はそれでいい。
普通、基本給と無事故手当だけで22万くらい。
後は、距離が8円/km。
高速は6円。貸し切りは4円。
そんな感じ。
時間賃金は、普通は正社員も
契約も同じで、月給。
一日7時間が基準。後は残業扱いだけど
前述、運転時間が短いので、13時間くらい拘束されても7時間と少し。
それなので、お金が欲しい人には
そんなに向かない路線ドライバーである。
「そうだねぇ、白井さんも男子ダイヤに入るとか」と、増田は
白井さん、と折り目正しく言うあたりが
紳士的。
「辛いですか」と、愛紗。
増田は「うん。家が近ければいいけどね、たまちゃんみたいに」と。
由香は「ああ、すぐそこで、それで大岡山にしたとか。山海バスも受かったけど」
増田は「え、それは初耳。なーんだ、山海の方がいいのに」
山海は、大手で
神奈川県の電鉄会社の系列に吸収されたが
元は
独立したバス会社二つだった。
100年の伝統がある、古い会社。
労働組合が強いので、契約社員でも
直ぐに組合員、と言う変わったところ。
東京まで電車に乗るのに、無料で乗れる
メリットもあった(笑)。
「眠れるからね。近い方がいい」と、増田。
「そんなに違いますか?」愛紗。
増田は頷く。「たまちゃんはそれで、楽だったんだろね。まあ、お母様の相手があるし」
由香「ああ、なんか、死んじゃったお父さんの代わり」
増田は「なんで?怪しいなー。付き合ってるの?」
由香は「それは友里恵。」と、ふざける。
友里恵は「そーなの。あたしのもんだもーん」
と、にこにこ。
増田も「そーだったのかー。」と、笑う。
まあ、おまけダイヤもそれで免除と
結構妬む奴もいた、と増田。
「おまけダイヤ?」と、由香。
増田は「ああ、普通ABとかだと、中番くっつけるの。違法だけどね」
それは、人手不足で仕方ない。(現在は出来ない)
運休にはできないから。
そういう時、事情がある人は免除される。
例えば、母親を病院に連れてったり
自分が病気とか。
坂江あたりでも、病院に行きながら
運転したり。
そういう職業である。
そんな訳なので、サラリーマン感覚で
入社してもすぐ辞めるのが現実。
遊びたいとか、バスの他に
趣味がある人なんかは、まず無理。
それもこれも、規制緩和のせいで
格安ツアーバスや、観光バスが
激安になったせいだった。
大事故が起き、見直される傾向ではある。
「みんな、所帯持ちは子供のPTAとか、子供会とか、自治会とか。そんな理由を付けてるみたいね。」と、増田。
友里恵は「コンビニのバイトもそうだったっけ」
嫌な仕事は逃げたいのは、誰でもそうだ。
それで、坂江みたいな責任感がある人は
定年を過ぎても、アルバイトでバスを
走らせたりしている。
「たまちゃんは違って、自治会を断って
乗務してたな。法律に詳しいっていいね」と、増田。
愛紗は「どういうことですか?」
増田は「うん、元々自治会って任意参加でいいの。それが国の法律で決まってるけど、
意地の悪い人が居て、順番だから、って
面倒な役を押し付けるのね。どこでもあるけど。まあ、子供の運動会とか、夏祭とか
どうでもいい仕事しかないんだけど。
威張りたい人っているな。どこにも」
子供がいない人や、深町のように独身、
高齢者なんかはしなくてもいいのである。
(地方自治法260条ー2 地縁団体の
任意参加、市長による認証、不利益取扱禁止
民法90条、自力救済禁止。
刑法266条 強要の禁止)。
由香「あーるねー。コンビニでも
パートのおばさんがゴミ掃除新人にさせたりとか」
増田は「そうそう。コンビニが言ってないのに
勝手にパートさんが命令しちゃう。自治会もそうで、それで、たまちゃんは法律上変だと
市役所に言ったら、イジメだったって解った。
自治会はなんにも言ってなくて、意地悪なばばあが勝手になりすましてた。まあ、日本は民主主義だから、そもそもおかしいだけど。」
友里恵「そういうの許せないね。嘘じゃん」
なんとなく、変態教師が教職を悪用した怒りも
少しは混じっているかのようだ。
それは正義だ。
「まあ、大岡山でもね。人を増やせって
組合が言って。求人するけど
来ても、それだから辞める。
若いのが来ると、狡い年寄りが
辛いダイヤを代われとか言ったり。」 と、増田。
愛紗「そんなことが」
野田の心配はそのあたりにもある。
増田は「うん。不条理な事はしない。それでいいんだね。」
どこか、増田は深町に似てると愛紗は思った。
それは、紳士、って事かもしれない。
増田は、じゃ、乗務。と言って自分のバスに乗る。
これは新しいタイプで、非常コックを使わなくても
観光バスのように、ドアスイッチで開く。
由香は「園美さんって、なんかたまちゃんに
少し好きって感じだったけど。そーか。増田さ似てるもんね」
友里恵は「ま、アタシのもんだし。」と、笑う。
愛紗も笑う。「約束したの?」
そんな事ないだろうけど。
友里恵は「うん、アタシね、家出してて不良だけど、こんなアタシをどう思う?って聞いたら、たまちゃんは
いいんじゃない?
可愛いし。
って。」
愛紗「それだけ?」
由香「あはは。まあ、その後抱き合ったもんねぇ」
友里恵「はぐしただけだって」
由香「でも、そのまましてもよかったじゃん」
愛紗は少し恥ずかしくなって。
周りの誰かに聞こえないかと見回した。
友里恵は「それで、あの西の森コンビニが潰れて、みんなバラバラ。その時ね、たまちゃんに仕事の依頼が来て。」
愛紗「仕事?大学の?」
友里恵「なんか、その時はコンサルタントとか言ってた。それで。一緒に居られないから
淋しくて、泣いたのね。アタシ。
ずーーーっと。」
由香「まぶた、腫れてたもんね。ガーゼ貼って。」
友里恵「それで泣いたら、すっきりした。
うん、好きにさせてあげよう。って。
それも愛よ」と。
由香「そう。カッコイイよね。友里恵。」
友里恵は笑って。
「でも、まあ、バスに乗ってるって知ってここにも来たな。運転させて貰ったりして」友里恵は笑う。
愛紗「運転出来たの?」
友里恵は「まー、怖かったけど。駐車場だけだよ。それでも」
愛紗「そうだよね。怖いよ。鉄だもん。当たると痛いだろうし」
昼間見た事を思い出す。
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