32 / 328
連帯保証人
しおりを挟む
「深町さんは、なぜ希望されたのですか?」愛紗。
有馬は「んー、あー。なんだったか。ああ、国鉄に入りたかったけど。歳が行ってしまって」
木滑は「ああ、なんかおじいちゃんが国鉄で、早くに死んじゃって。おじさんが
後継いだんだけどね。大学行けって
おじさんが言うんで。ちょっと、言葉に行き違いがあって、とか。」
「行き違い....」
木滑は「よくあるじゃない。17の少年だから。反抗期って言うか。レールに敷かれたくないとか。それで、おじさんが失望してね。
その後、おじさんが死んじゃって。」
「かわいそう。」と、愛紗。
野田は「この手の仕事、珍しくないね。
55くらいで死ぬのは。時間不規則だし。
睡眠不足だし。お肌に悪いでしょ」と
野田は明るい。
ははは、と。笑う。
愛紗も、つい笑う。それが野田の魅力だろうか。
「あの、かずよしさんね。あの人も
定年後にすぐ死んじゃって。たまちゃん、悲しんでたな。ああいう時は感情が出るんだね。」
と、木滑。
「あの位でないと、持たないね。運転は。」と、細川。
「まー、真似できないね。俺だって怒るもの。スクールバスとかで騒いでると。うるせー、静かにしろい!下ろすぞ!」って。
野田らしい。
「それでクレーム来るんよ」と、有馬。
「そうそう。ま、今はメールとかで
本社にね。陰険だよな、最近のガキ」と、細川。
愛紗「そうですか..。」
有馬は「だからね、ドライバーなんて
そういう人間がやるものなんだよ。コミュニティーバスとかね。観光でも上品な、ほら、はとバスみたいなの。ああいうのなら
女の子でもいいと思うけど。路線はね、本当に低俗だから。それこそ、ホームレスだって
乗るんだよ」
愛紗は、なんとなく
ふんわかしてた自分が、恥ずかしいと思った。
なんとなく、イメージがカッコイイとか
そんな感じでドライバーになりたかったのかな、
なんて、
野田は「だからね、もっと上等な仕事が出来るなら、そっちに行った方がいい。
たまもね、今大学に行ってるとかだから
俺達も呼ばないな。普通なら戻って来い!って
言うけどね」
愛紗「それで...。」
時々、深町が遊びに来ると
野田は決まって「お前はエンジニアでやれ」と
言う。
それは、本音だったんだ。
「まあ、たまはなんとなく、イメージで制服着たかったとか、そう言う感じで」と、細川。
愛紗は、自分に似てると思った。
でも、深町さんは
死んじゃったおじさんに申し訳ないと
思ったんだから。
それで、頑張れたのかな。
野田は「だから、会社はね、ドライバー歓迎って金のことを気にするけどね。俺達は
お前の事を考えてるんだよ。ドライバーは
大岡山じゃやらない方がいいって。もっと
ババアになってからでいいよ」わはは、って
笑う野田。
明るいので、怒る気にならない。
疲労で、緊張感のある明るい、だけど。
「今は?」愛紗。
有馬は「うん、君だっていつまで
かわいいお嬢さんじゃないでしょう。
歳取れば、慣れて来るし。」
細川は「ふてぶてしいばばあになるし」
木滑は「奥さんですか?」と
言って、みんな笑った。
「そうなってからでも出来るから、こんな仕事、無理しなくていいよ。」と、野田。
有馬は「それとね、これは契約の問題でね。
ドライバーの場合だと、収入のある連帯保証人が二人必要なんだな。まあ、形だけだけど。
」
愛紗「それって」
野田「うん、万一大事故を起こして、保険で
賄えない事になったら、財産が取られちゃうって事。」
愛紗は思う。
死亡事故を起こすと、それで自殺するドライバーが。
でも、本人がそうなっても、保証人が払う事になる。
細川は「まあ、人を轢いたくらいじゃならないね。沢山被害があれば別だけど」
木滑は「俺だってバス一台壊したけど」
野田は「あれは大変だったなーははは」と。
明るい。
でも、愛紗は、現実を思い知る。
「わかりました。少し考えたいと思います。
とりあえず。」
有馬が、簡単に休暇をくれた理由は
こんな辺りだった。
何も考えていないようで、そうでもない
有馬は、さすが課長だと
愛紗は思う。
有馬は「んー、あー。なんだったか。ああ、国鉄に入りたかったけど。歳が行ってしまって」
木滑は「ああ、なんかおじいちゃんが国鉄で、早くに死んじゃって。おじさんが
後継いだんだけどね。大学行けって
おじさんが言うんで。ちょっと、言葉に行き違いがあって、とか。」
「行き違い....」
木滑は「よくあるじゃない。17の少年だから。反抗期って言うか。レールに敷かれたくないとか。それで、おじさんが失望してね。
その後、おじさんが死んじゃって。」
「かわいそう。」と、愛紗。
野田は「この手の仕事、珍しくないね。
55くらいで死ぬのは。時間不規則だし。
睡眠不足だし。お肌に悪いでしょ」と
野田は明るい。
ははは、と。笑う。
愛紗も、つい笑う。それが野田の魅力だろうか。
「あの、かずよしさんね。あの人も
定年後にすぐ死んじゃって。たまちゃん、悲しんでたな。ああいう時は感情が出るんだね。」
と、木滑。
「あの位でないと、持たないね。運転は。」と、細川。
「まー、真似できないね。俺だって怒るもの。スクールバスとかで騒いでると。うるせー、静かにしろい!下ろすぞ!」って。
野田らしい。
「それでクレーム来るんよ」と、有馬。
「そうそう。ま、今はメールとかで
本社にね。陰険だよな、最近のガキ」と、細川。
愛紗「そうですか..。」
有馬は「だからね、ドライバーなんて
そういう人間がやるものなんだよ。コミュニティーバスとかね。観光でも上品な、ほら、はとバスみたいなの。ああいうのなら
女の子でもいいと思うけど。路線はね、本当に低俗だから。それこそ、ホームレスだって
乗るんだよ」
愛紗は、なんとなく
ふんわかしてた自分が、恥ずかしいと思った。
なんとなく、イメージがカッコイイとか
そんな感じでドライバーになりたかったのかな、
なんて、
野田は「だからね、もっと上等な仕事が出来るなら、そっちに行った方がいい。
たまもね、今大学に行ってるとかだから
俺達も呼ばないな。普通なら戻って来い!って
言うけどね」
愛紗「それで...。」
時々、深町が遊びに来ると
野田は決まって「お前はエンジニアでやれ」と
言う。
それは、本音だったんだ。
「まあ、たまはなんとなく、イメージで制服着たかったとか、そう言う感じで」と、細川。
愛紗は、自分に似てると思った。
でも、深町さんは
死んじゃったおじさんに申し訳ないと
思ったんだから。
それで、頑張れたのかな。
野田は「だから、会社はね、ドライバー歓迎って金のことを気にするけどね。俺達は
お前の事を考えてるんだよ。ドライバーは
大岡山じゃやらない方がいいって。もっと
ババアになってからでいいよ」わはは、って
笑う野田。
明るいので、怒る気にならない。
疲労で、緊張感のある明るい、だけど。
「今は?」愛紗。
有馬は「うん、君だっていつまで
かわいいお嬢さんじゃないでしょう。
歳取れば、慣れて来るし。」
細川は「ふてぶてしいばばあになるし」
木滑は「奥さんですか?」と
言って、みんな笑った。
「そうなってからでも出来るから、こんな仕事、無理しなくていいよ。」と、野田。
有馬は「それとね、これは契約の問題でね。
ドライバーの場合だと、収入のある連帯保証人が二人必要なんだな。まあ、形だけだけど。
」
愛紗「それって」
野田「うん、万一大事故を起こして、保険で
賄えない事になったら、財産が取られちゃうって事。」
愛紗は思う。
死亡事故を起こすと、それで自殺するドライバーが。
でも、本人がそうなっても、保証人が払う事になる。
細川は「まあ、人を轢いたくらいじゃならないね。沢山被害があれば別だけど」
木滑は「俺だってバス一台壊したけど」
野田は「あれは大変だったなーははは」と。
明るい。
でも、愛紗は、現実を思い知る。
「わかりました。少し考えたいと思います。
とりあえず。」
有馬が、簡単に休暇をくれた理由は
こんな辺りだった。
何も考えていないようで、そうでもない
有馬は、さすが課長だと
愛紗は思う。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

妹は双子、カノジョである。~双子がダブるってマ!?~
沢鴨ゆうま
青春
兄・彼氏・同級生……オレってどれ!?
知らない人はいない程に綺麗な双子の妹と、男女問わず惹かれる美人な弟。
そいつらの兄がこのオレ、藍原サダメ。
そんな中、兄であるオレは海外での仕事で不在な両親の代わりをすることに。
弟妹はめっちゃモテる!
日中、高校生であるオレが中学生である弟妹を守ることは不可能。
心配し過ぎて神経をすり減らし、授業を受けるのもやっとということもよくある。
でも、帰宅すれば三人から愛の剛速球を受け取れる、と思いたいのだけど。
家では疲労が癒されるや否や、三人から愛の応酬、愛・愛・愛――――
オレとしては癒される程度の愛が欲しいんだ。
それなのにアイツらったら……。
シスコン&ブラコンな藍原家を中心に描かれるイチャラブコメディ。
(小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+にも投稿中)
※この作品は全てフィクションです。それを前提にお読みくださいませ。
© 2019 沢鴨ゆうま All Rights Reserved.
転載、複製、自作発言、webへのアップロードを一切禁止します
タグ: 日常 高校生 血縁 姉妹 兄弟 ほのぼの キス ホームコメディ 学園 同級生 ヤンデレ メンヘラ
シスコン ブラコン 中学生 学校 溺愛

春はあじ
えすかるご
青春
自然と食べ物が豊富な米馬町に住む女の子の優瓜(ゆうり)と米馬町にやってきた菊乃(きくの)が米馬町で初の子ども食堂の開催を目指す物語。
1章4話(各800字程)×6章予定。
毎週火曜日20時1話更新。
初投稿なので、ご意見ご指摘していただけると嬉しいです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男性向けフリー台本集
氷元一
恋愛
思いついたときに書いた男性向けのフリー台本です。ご自由にどうぞ。使用報告は自由ですが連絡くださると僕が喜びます。
※言い回しなどアレンジは可。
Twitter:https://twitter.com/mayoi_himoto
YouTube:https://www.youtube.com/c/%E8%BF%B7%E3%81%84%E4%BA%BA%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%8B%E3%83%83%E3%82%AF%E6%B0%B7%E5%85%83%E4%B8%80/featured?view_as=subscriber
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる