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深町珠

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これを図にすると簡単だが
空想は見えないので、ややこしく感じる。

一見面倒に思えても、客観視できるので
ふつうはそうする。

詩織はまだ若いので、そういう経験が無かった。


准教授の図示はこんな感じ。い


遺伝情報



×
珠子

この場合は親子ではない(母と近似な可能性は有るが、未調査)

これだけならよくある事だが

*珠子の細胞は老化が少ない
*放射線被曝量が、現代の人とは異なる


「つまり、コウノトリが運んできた赤ちゃん、かな。」と、准教授は
可愛らしいことを言った。

詩織は、そのユーモアに和んだ。

もうひとつの結果だと・・・



遺伝情報




珠子

この場合は親子である

が。

*珠子の細胞は老化が少ない
*放射線被曝量が、現代の人とは異なる


「まあ、特異体質だと言う事になるね。
不老不死の仙人・・・と言うか
1000年女王みたいな。まあ、ありえない事でもないね。
女王蜂は寿命が長かったりするし。
人間でも長生きするでしょ。おばあちゃんの方が。
あれは、まあ元々生物の雄も
選択される為の者だから、短命なんだし。
それと似てるね。」


詩織も、それは知っている。

単為生殖だと、同じ遺伝子ばかりになるので
環境変化に弱い。
遺伝子の特徴を受け継ぐから、特定の病気にかかりやすい。

そんな理由で、雄と言うものが生まれたのだが
自然と言うのは創造的なものである。



そんな事を回想していた。


准教授は「まあ、結果を見てから考えよう。あれこれ空想しても
無駄だし。いろいろ調べてみるとか。

新しい情報を加えないと、発展しないしね。」


理知的である。その辺りは医学に携わる者らしい。
病気は待ってはくれないのだ。


詩織も「はい。ありがとうございます。」と、礼を述べて。


医学部を後にした。








「おはようございまーす。」碧は、珠乃家を訪れた。

朝7時。


お菓子を作っていた珠子の祖父が、穏やかに「おや、碧さん。こんなに早く。
どうしたのですか」


碧は、快活に「はい。あたし、珠子の代わりにお店を手伝いたいと思ってきました。」

さっぱりとした表情。短い髪にお似合いである。


珠子の祖父は「いやいや、お気持は大変有難いけれど。
お店は大丈夫ですよ。そんなに忙しくならないし。」

実際、沢山作らなければ売り切れで店仕舞い。

そういう店も多い。

ここの商店街でもそんな感じで
のんびり仕事している。


お金をどこかから借りている訳でもないので
余計に働かなくていいのだ。


ふつうは、借りて、利子をつけて返すから
その分、余計に働くし、期日がある。



お金    =>借りる
お金+利子<=返す

なので、その分疲れるわけ。

そんなにお金が要らなければ、頑張らなくてもいい。

この商店街でも、そんな風に暮しているから
みんなは平和だ。
争う事もない。

それは癖のようなもので、普段慣れている考えを人間は好む。
それだけなのだが。

平和が好きな人もいるのだろう。



碧は、なんとなくつまらない。
自分では役に立てないのかな、とも感じる。
その辺りは、高校生の頃と変わっていない。
若々しい。すこし尖がった感じもあるが
それも若さ故。


珠子のお祖父ちゃんは、穏やかに「昨日、話してくれたら
良かったのですね。」


碧は、急に思いついたのだった。昨夜。
そんな辺りも若々しい。

碧は「ごめんなさい。迷惑でしたか?」と、自分の身勝手に気づいた。

珠子のおじいちゃんは「いやいや。お気持は大変ありがたいです。
珠子を気遣ってくださって。でも、あなたにも生活があるでしょう。
会社に行って、あなたを待っている人の為に働かないと。」

碧は、そこでも思う。自分は勝手だったなぁ、と。
会社でも、碧がするべき仕事はあるのだ。

碧が「こうしたい」と言う気持もいいけれど。
その前に、する仕事があった。


碧は、礼を言って「そうでした。ありがとうございます!お休みの日に来ます!」と
踵を返して駆け出して行った。

「それは、ほんとうにいいんです」と、おじいちゃんは言ったが
聞こえていない。

やっぱり、気持が走る子である。碧。
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