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深町珠

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あしたの

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珠子が、「働こう」と思うのは自然な感情である。
野生の頃の人間は、食べ物を探して歩かないと
死んでしまうので、そういう風に出来ている。

ここ一万年くらいは、社会のおかげで誰かが取ってくれた
食べ物を買えるから
その代わりに、何かをしてお金を貰う、と言うスタイルの生き方が多い。

絶対ではないが。

つまり

原始時代

原野=>食べ物=>人間
           <=探す
現代

社会=>食べ物=>人間
          <=働く

こんな感じになっているので

人間の中で「食べるために働く」のは
同じである。

ただ、貨幣の得方が違う人も居て
珠子たちのような、商家に育った子は

日々、モノを作ってお金が入ってくる。
モノが売れれば、沢山入るし
お客さんが来てくれて、モノも売れる。


そういう、社会の中に居る実感がある。

神流のような研究員は

モノではなくて、研究を売っている。
結果は論理的だが、お金が沢山かどうかは
時価である。

例えば、AIなどは大昔からある概念だが
流行っていなかった時はお金にならなかった。

今は、お金になる。流行だからである。

そんなもので、結構研究と言うのも
人気商売、タレントのようなところもある。


結局、社会に生きているのだけれども

珠子のような仕事は、それを目で見て実感できるし
お互い様で生きている、と言う事が子供にも判るから
優しい心遣いをする。

神流のような仕事は、それが実感しにくい。
結果として神流の研究で、誰かが喜んでくれたり
報酬が増えたり減ったり。

そういう事は、研究をする人には
見え難いところもあるけれど

結局は、社会に生きているという事なのだから
同じ、ではある。





「朝、神流ちゃんは何時頃行くの」と、珠子。

「何時でもいいんだけど、だいたい8時くらい。」と、神流。
研究員はそんなもので、成果が得られれば時間は不問と言うところが多い。
その成果が、理論的であるから問題は少ない。

珠子は「じゃ、朝ごはんつくるね。」と。
神流は「いえいえ、お気遣いなく」と、にっこり。

ナーヴが戻ってきて「研究所に食堂があるのです」

珠子は、振り向いて「ナーヴちゃん、大丈夫?お風呂が良くなかったのかな、ごめんね。
わたしが誘ったから」と。

ナーヴは「いえ、お風呂のせいではないです」と。
本当は、いろいろ調べ過ぎて電力不足になった、放熱が不足した。
そういう辺りらしい。

fuel cellは、発熱があるので結構制御が難しいのである。


神流は「そうそう、いつもは早く出てね。研究所の食堂はいつも開いているので。
宿泊施設もあるので、住んでいる人もいますね」と。


「すごいね。そんな風に研究に打ち込んでるなんて。」と、珠子が言うと

神流は「珠ちゃんだって、お店に住んでるから同じです」と。

珠子は、あ、そうか、と笑った。

みんな、笑った。

自分の事はよく判らないものである。 (笑)
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