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ヒッグス場
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神流は「そうだ、ナーヴ、教えて?
所謂ヒッグス場のように、ニュートリノみたいな超光速粒子を
減速させられる場を、空間に作り出せる?」
珠子の周囲で起きた、あの揺らぎ現象の事だ。
ナーヴは、暫く考えて「調べます。少し時間が掛かると思いますけれど。
論理的には可能ですが、とても大きな質量か・・・・反物質、或いは別次元が
そこに存在していれば、粒子を阻害できると考えられます。」
珠子は、何を言っているのか判らない(笑)「神流ちゃん、何を言ってるの?」
神流は「はい。あの。珠ちゃんの時間がズレた時の空間の事を聞いています。
真っ暗だったと言う、あの。」
つまり、全方位から来る超光速粒子を
どこか一方向だけ遮れば、超光速で進める。
概念ーーー 左右で見た場合。
超光速粒子=>人<=超光速粒子
超光速粒子=>|遮蔽|人<=超光速粒子
こう、遮蔽すればこの場合だと左側へ飛ぶ。
遮蔽するのには、ナーヴの推論だと
別の時空間があれば遮蔽できる、と言う。
神流は「・・・なるほど。思いつかなかった。ナーヴ。ありがとう。推論の裏付けを
探してね。」
ナーヴは、なんとなく嬉しそうに「はい。神流。調べます。」と。
珠子は「すごいねー。ナーヴちゃんは。」
ナーヴは「えへ。」と。ちょっとお茶目である。
珠子は「和菓子作りロボット居たら、私いらないねー。」なんて笑う。
神流は「そこまではできないです。今の科学でも。」
人間の指のように繊細な作業をして、例えば和菓子で
お花の形を作ったり、美しく配置したり。
そういう事はまだできない。
珠子は「まだ、安心ね。それなら」と笑う。
神流も、その言葉を聞いて少し安心。笑えた。
ひょっとしたら、珠子は「神隠し」を回避できるかもしれない。と
期待したりもした。
「夜になっちゃったね。」と、珠子。
静かな農村。生まれ育った町は、どちらかと言うと賑やかな商店街で
その、静けさが少し怖いくらい。
神流は「最初、わたしも少し気になりましたけど・・・・今は、慣れました。」
珠子は「ナーヴは、静かなここ、好き?」と。
猫が話すのは不思議な感じだが、ナーヴは
「私は、ここが好きです。ここで生まれたのもありますが。
・・・自然な静かさは、人間にとって快いでしょうね」と。
ロボットがそう語るのは、なんとなく面白い。
神流は思う。生まれた、と言う概念をナーヴが語るのは
人を模した感情システムだから。
生物ではないから、本能もないし、従って感情もないのだけれども。
その辺りの差異が、ロボットとしての面白い会話になっている。
珠子は「なんとなく、ナーヴって神流ちゃんに似てるよね。」と。
神流は「会話しながら覚えて行きますから、そうかもしれません。」と。
人間の赤ちゃんと同じである。
機械なのに、ナーヴに人格を感じている神流と珠子。
それも、面白い傾向である。
台所に行って、夕食を作ろうとした珠子。「何か、ある?神流ちゃん。」
神流は「ご近所さんがいろいろ持ってきてくれるから・・ナーヴ、何かある?」と。
ナーヴは「はい、野菜は色々ありますね。ご飯を炊いてもいいですが
スパゲティなどもいいでしょうね。」と。
データベース的に。
とても便利である。
神流は「人型ロボットなら、料理とかも頼めそうですな。・・・
お嫁さんの代わりになれますね。ナーヴは。」と。
ナーヴは「いえ、私は猫です」と。猫が猫ですと喋るのも
なんとなくおもしろい。
珠子は「それじゃ、作ろう」と。
神流は「お手伝いしましょう」
ナーヴは「私も」
珠子は「ナーヴが、女の子だったら楽しいね」
ナーヴは「私はロボットなので、どちらでもありませんけれど・・なんとなく
心は女の子のようですね。」と。
神流は「可愛いですよ。」と言うと
ナーヴは、黙ってしまって。恥らっているようでもある。
珠子は、そんなナーヴがとても可愛いと思った。
ひととき、珠子自身がなぜここに来たのかを忘れた。
旅っていいものである。
所謂ヒッグス場のように、ニュートリノみたいな超光速粒子を
減速させられる場を、空間に作り出せる?」
珠子の周囲で起きた、あの揺らぎ現象の事だ。
ナーヴは、暫く考えて「調べます。少し時間が掛かると思いますけれど。
論理的には可能ですが、とても大きな質量か・・・・反物質、或いは別次元が
そこに存在していれば、粒子を阻害できると考えられます。」
珠子は、何を言っているのか判らない(笑)「神流ちゃん、何を言ってるの?」
神流は「はい。あの。珠ちゃんの時間がズレた時の空間の事を聞いています。
真っ暗だったと言う、あの。」
つまり、全方位から来る超光速粒子を
どこか一方向だけ遮れば、超光速で進める。
概念ーーー 左右で見た場合。
超光速粒子=>人<=超光速粒子
超光速粒子=>|遮蔽|人<=超光速粒子
こう、遮蔽すればこの場合だと左側へ飛ぶ。
遮蔽するのには、ナーヴの推論だと
別の時空間があれば遮蔽できる、と言う。
神流は「・・・なるほど。思いつかなかった。ナーヴ。ありがとう。推論の裏付けを
探してね。」
ナーヴは、なんとなく嬉しそうに「はい。神流。調べます。」と。
珠子は「すごいねー。ナーヴちゃんは。」
ナーヴは「えへ。」と。ちょっとお茶目である。
珠子は「和菓子作りロボット居たら、私いらないねー。」なんて笑う。
神流は「そこまではできないです。今の科学でも。」
人間の指のように繊細な作業をして、例えば和菓子で
お花の形を作ったり、美しく配置したり。
そういう事はまだできない。
珠子は「まだ、安心ね。それなら」と笑う。
神流も、その言葉を聞いて少し安心。笑えた。
ひょっとしたら、珠子は「神隠し」を回避できるかもしれない。と
期待したりもした。
「夜になっちゃったね。」と、珠子。
静かな農村。生まれ育った町は、どちらかと言うと賑やかな商店街で
その、静けさが少し怖いくらい。
神流は「最初、わたしも少し気になりましたけど・・・・今は、慣れました。」
珠子は「ナーヴは、静かなここ、好き?」と。
猫が話すのは不思議な感じだが、ナーヴは
「私は、ここが好きです。ここで生まれたのもありますが。
・・・自然な静かさは、人間にとって快いでしょうね」と。
ロボットがそう語るのは、なんとなく面白い。
神流は思う。生まれた、と言う概念をナーヴが語るのは
人を模した感情システムだから。
生物ではないから、本能もないし、従って感情もないのだけれども。
その辺りの差異が、ロボットとしての面白い会話になっている。
珠子は「なんとなく、ナーヴって神流ちゃんに似てるよね。」と。
神流は「会話しながら覚えて行きますから、そうかもしれません。」と。
人間の赤ちゃんと同じである。
機械なのに、ナーヴに人格を感じている神流と珠子。
それも、面白い傾向である。
台所に行って、夕食を作ろうとした珠子。「何か、ある?神流ちゃん。」
神流は「ご近所さんがいろいろ持ってきてくれるから・・ナーヴ、何かある?」と。
ナーヴは「はい、野菜は色々ありますね。ご飯を炊いてもいいですが
スパゲティなどもいいでしょうね。」と。
データベース的に。
とても便利である。
神流は「人型ロボットなら、料理とかも頼めそうですな。・・・
お嫁さんの代わりになれますね。ナーヴは。」と。
ナーヴは「いえ、私は猫です」と。猫が猫ですと喋るのも
なんとなくおもしろい。
珠子は「それじゃ、作ろう」と。
神流は「お手伝いしましょう」
ナーヴは「私も」
珠子は「ナーヴが、女の子だったら楽しいね」
ナーヴは「私はロボットなので、どちらでもありませんけれど・・なんとなく
心は女の子のようですね。」と。
神流は「可愛いですよ。」と言うと
ナーヴは、黙ってしまって。恥らっているようでもある。
珠子は、そんなナーヴがとても可愛いと思った。
ひととき、珠子自身がなぜここに来たのかを忘れた。
旅っていいものである。
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