arcadia

深町珠

文字の大きさ
上 下
41 / 93

電気

しおりを挟む
「珠ちゃんって前向きだから。元気だからでしょうか」と、神流は
微笑んで。

いつも、なーんとなくのんびりしているように見える神流は
研究が好きなので、つい、夜遅くまで。
それも、まあ、「脳」の中の空想に「体」が従ってしまう例である。
判断が誤っているのだが、それを「空想」、つまり希望が
目的にするから、なのだが。

そこを理論的に判断すれば、この世の中の不都合はほぼ、無くなる。

珠子の場合は、その空想が過剰だったので・・・。
かえって、これでよかったのかもしれない。


珠子は回想する。「わたし、お母さんが居なくなった時の事は覚えていないの。
でも、双葉のおかげかな。前向きになれたのは。」


優しい子で、女の子みたいに可愛らしい子だった。
ずっと姉妹みたいに過ごしていたから、男の子とは思っていなかった。

「高校の時に、ラブレターを書いた人ですね。珠ちゃんに。」と、神流はにこにこ。
あの時は碧ちゃんが、守護神のように立ち塞がって。勇ましかったですね、と。


珠子も思い出して「そうそう。碧ちゃんって面白いね。」と。笑顔になる。


「双葉さんは、首都にいるんですね。確か。」と、神流。


珠子は「そうそう。確か・・・まだ大学に残ってるとか。」と、国立だとか、と。

「留年ですか」と。神流はのんびりと言う。

「私もそう言ったら、そうじゃなくて仕事があって就職したとか。」と。珠子。

「詩織ちゃんと一緒ですね。」と、神流。

珠子は「・・・そうなのかな?そうだね。きっと。」よくわからないので (笑)。

大学の人がなにをして食べていけるのか、和菓子職人の珠子には
よくわからないのが正直なところ。

難しいこと考えてる、くらい。

詩織ちゃんは、まだクラゲを飼ってるから、そのために居るのは
判るけど・・・。


「双葉さん、なにしてるんでしょうね。大学で」と。神流は思う。
ひょっとしたら、詩織ちゃんみたいに・・・。とも期待して。


「わかんない。あっちについたら聞いてみようよ。電話で」と。珠子。
電話番号くらいは知っている。幼馴染だし。



もう少しで、到着する。「早いね。新幹線」と。珠子。

神流は「そうですね。電磁気力の。」と、いいかけて

「・・・いえ、趣味の話しですね」と。笑う。



電子は、右回転しているから、右回りに磁気が発生するのである
なぜ右回りなのかはよくわかっていない (笑)。

それで、電流が起こると右回りの磁界が出来るから
コイルを作ると電磁石になるという、単純なお話なのだが

電子そのものはそんなに早く移動出来ないのは、よく知られている。
つまり、電流は電子の流れ、と言う概念で考えると、現実とは異なった認識になってしまう

のだが。

概念と言うのはそのようなもので、よく知られているお話としては

+=>- と、電流が流れるとされているが

実際には電子の動きは

ー=>+ である辺りもそうなのだが、これは仕方ない。
古き良き時代の定めである。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

未来への転送

廣瀬純一
SF
未来に転送された男女の体が入れ替わる話

交換日記

奈落
SF
「交換日記」 手渡した時点で僕は「君」になり、君は「僕」になる…

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

処理中です...