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深町珠

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幼馴染

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可愛がられて育ったから、可愛がってくれた人が
喜んでくれるように....。と
自然に思ってしまう。

それは、そういうものだけど。
可愛がってくれたお母さんがいないから、珠子の心にある
お母さんのイメージが、喜んでくれるような事をしよう。

そう、思ってしまう。

ひとは面白い生き物で、「脳」と言う器官が作る

イメージに従ってしまう。
脳や体に悪い行動だったとしても。

嗜好などもそうである。

元々は、生存の為の機能であったから
自然の中なら、体に悪い事などは
そうあるものではないので

その機能で問題がなかった筈である。


知的に高等だとされる、類人猿などの方が
むしろ、下等なはずの動物よりも
例えば、同じ種同士で争いを起こすなど
おかしな行動を取るのも、そんな理由である。

そのドメインが段々狭まり、種=>家族になって人類が興ったとされている。



その家族の為に、珠子はずっと無理をしてきたのだろうから

古都を離れるのは、いい事かもしれないと詩織は思う。



「身の回りのものだけでいいね、珠子」と、碧は
実務的である。

「うん、なんだか旅行みたい。」と珠子は意外と楽しそう。


内心は、お店を何れ経営するなど
荷が重かったのかもしれないから・・・・。

そう思うと、このまま失踪させた方が幸せだったのかもしれないな、と
神流は思ったりする。

神様が、その為に珠子を失踪させて・・・
お母さんの生まれ変わりを、この家に?と、考えて
神流はちょっと、気になった。

元々は珠乃家の人ではないのだから、ここに生まれ変わるのは
何故だろう、と。



「誰か、男の子が生まれれば良かったのにね。」と詩織。
「お婿さん貰えば?」などと碧は、さっきまでの話を忘れて。


「そういえば、居ましたね珠ちゃん。ラブレターくれた男の子とか」と
神流は、ユーモラスに。


珠子は思い出す。
いつも、そういう事があると碧が守ってくれて。

ホントのところ、男の子ってニガテだったから。

でも・・。


「あ、あいつ首都の大学行ったんじゃなかったっけ。」碧。


「誰?」珠子は思い出せない。


「あ、珠ちゃんの幼馴染の。」と。神流

珠子は思い出す。ああ。いたね。
同じ町内の、和菓子屋さんの。

「双葉」。


優しい人で。あの人なら、珠乃家を継げるかもしれないね。
なんて、ふと珠子は思った。


「あっちで、神流、会わなかった?あいつに。」と、碧。

神流は「いいえ。」と、かぶりを振る。

会う理由もないしーーー。

珠子がもし、好意を少しでも持っていたら、と
そういうところに気を使う、神流である。

 
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