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深町珠

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いつ戻れるの?

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「なに、今の。なに?!」と、碧は狼狽。

珠子自身にも、よく判らない・・・・。

神流は、明るい所ではっきり現象を見たので
なんとなく理解した。

「珠ちゃん・・・・。お母さんが居なくなった時も、あの感じ、ありませんでした?」


珠子は、怖くなって少し涙。「よく、覚えてない。小さかったから。」


碧は「怖いこと言うの、やめて!」と。



神流は「ごめんなさい。でも、ひょっとすると・・・・。神隠しは
避けられるかもしれません。」



珠子は涙を拭いながら「どういう事?」


はい。と神流は仮説を述べる。

「重力場が、見かけ上のものであったと言う説があります。
例えば地球を突き抜ける超光速粒子が、その時に
物質が受ける力が、重力に見えると言う仮説です。
ニュートリノにも質量が見られた事から、おそらく正しいと言われています。」


詩織は「そのお話は読んだ事、あるわ。」


碧は「よくわからないよ。」


神流は「例えば、ここのフラスコが地球だったとすると・・・・。
全方向から粒子が突き抜けると、多少、エネルギーを受けて
中心に向かう力が生じます。それが重力に見える。地上では。」

詩織は頷く。「新雪の中を歩こうとすると、靴が埋まってしまうみたいな感じね。
雪がわたしたち、靴が・・・粒子だとすると。」

珠子は「お餅を杵で突く、みたいな?」


神流は頷く。「もし、さっきの空間が揺らいだように見えたのが
それだとすると。その辺りがひとつの時空間として
移動可能なのかもしれません。揺らいだ所は、その粒子が当たっていた訳ですね。」



詩織は「すると・・・・。空間ごと飛び去る。」

碧は「それで、どうなっちゃうの?」


ここからは空想です、と神流は前置いて

「並列した時空間。0次元と看做せるでしょう。
私達ひとりひとりが、こうして隣り合って座っているように、
それぞれが、球状の空間にあったら。
超光速移動すると、飛び越えて別の時空間に移れるでしょう。」


詩織は「ジェット機で海外旅行すると、日付が戻ったり、進んだりするように?」

神流は「はい。おそらく・・・・。珠乃家のお曾祖母様、お祖母様、珠ちゃんのお母様は
似たくらいの年齢で居なくなった筈です。」

その年齢に、珠子も居なくなる。その仮定を神流は言わなかった。

碧は「そんなの、知らないよ!わかんないよ!。」と。泣いた。

珠子自身は意外と冷静で「いつ、戻れるの?」


詩織は黙っていた。目を伏せて。

神流は「それは、判らないけど・・・。珠ちゃん自身として戻ってくるかは
判らないです。でも、珠乃家のお曾祖母様と、お母様の近似性が証明されれば
珠ちゃんと、お祖母様が生まれ変わりだと推定出来ますから
そのくらいの間隔だと思われます。」
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