関東電力殺人事件

深町珠

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長い夢

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輝彦は、事件を記憶のなかで反芻した。

「今回は・・・まず池田湖。」


池田湖ー 替え玉。だが、本物として処理されている。母親らしき人物も偽証。




「その前に、勝又・志水殺人の犯人が、池田湖事件の被害者か?」


勝又・志水(替え玉の公算大)=>本物は海外逃亡=>暗殺



池田湖ー 替え玉



・・・・実行可能。動機?

・・・実の娘なら、替え玉を誤って殺害する可能性は低い。だが・・・
毒殺であれば、有り得る。



・・・本物が逃げた事を知らず。




「しかし、毒物の入手ルートが、ない。池田湖で殺害されたなら・・・誰が?
また、海外で本物(らしき)人物を殺したのは、偶然のテロだったのだろうか?




・・・動機らしきもの。



数年前、反原発の闘士の娘、関東電力女性幹部変死事件。

夜の接待をしていた、とする・・・。

その相手だったとして、外国人が投獄されたが
民主政権下、冤罪として釈放・・・。


真犯人?


その女性幹部の上司は、勝又だった。


志水の年齢差婚の相手は、勝又の娘である。

それは・・・娘本人の意思では、勿論、ない。





俯瞰すれば。


時系列に沿うと・・・。


OL殺人(冤罪ー>釈放。真犯人不明)

原発事故

社長・会長(替え玉)殺人

令嬢(替え玉)殺人

社長・会長(本物)海外暗殺


である。この、全てで利益がある者は・・・。


OL殺人  (真犯人)。志水?右派政権時には隠蔽。

原発事故  (事故?杜撰な管理をしたのは右派政権)

社長・会長(替え玉)殺人 (責任糾弾を反らす、新事実の隠蔽=>右派政権)

令嬢(替え玉)殺人 (事実隠蔽?遺産継承者の抹消=>夫人らしき人物)

社長・会長(本物)海外暗殺 (事実隠蔽?あるいは思想犯?)。



となる。大きな損失を、国民負担で乗り切ろうとしているのは右派政権である。
左派政権時、起きてしまった(とされるが、管理が杜撰だった)。
国境紛争などを企てた。


結果的に政権は、右派に戻った・・・・。




ナゾなのは、令嬢殺人である。意味が無いのだ。
何か秘密を知っていたのだろうか。



政権奪取程度で、大掛かりな替え玉殺人を企てるとも思えない。

何れ、長くは持たない左派政権だったのだから。


そのために原発事故を起こしたとも考え難い。



何かが、ある。そう思わざるを得ないが・・・。



見方を変えれば・・・・。

「人間の群れにとって、不要なものを排除した」とも言える。


原発 <=一部の富裕層のため

電力利権<=一部の富裕層のため

電力会社社長、会長<=一部の富裕層


である。ただ・・・・電力会社の社長・会長の意志ではなく。


当時の政治判断<=一部の富裕層のため


であった、と言う事だ。


従って、一連の殺人事件は

単なる粉飾工作<=一部の富裕層のため

であろうと推理できる。


その「富裕層」は、全世界で3%ほどの人数で
世界資産の70%を保持していると言われる。




「とりあえず、地道に当たってみる他なさそうだ」と、輝彦は考えた・・・。


そのうちに眠ってしまっていて、夢をみていたらしい。


・・・・なんだか、楽しい夢だった。

そう、友里絵と由香。
正義感溢れる女子高校生のふたり。



正義感。

それが、この事件解決に必要なのだ。
損得じゃない、善悪なんだ。


それで、彼女たちの真っ直ぐな気持に感銘したことを
連想したのだろうか・・・と。輝彦は思った。

まだ、夜半・・・。

寝台特急サンライズ瀬戸・出雲号は、軽快に東海道本線を走行している。


ベッドサイドのデジタルクロックは、午前0時過ぎを示している。


「大阪あたりだろうか」

ラジオをつけてみる。
FM放送は、落ち着いた音楽と語りの
深夜に相応しいプログラムが流れている。





ウォーム・トーンの電球色蛍光灯が、深夜の目に優しい。



・・・・あの子たちに、助手を頼んでみようかな。などと思いながら
洗面所に向かった。
二階建てなので、不思議に広い空間のある寝台。
廊下は、やや天井が低く感じられるが、非日常的でそれも、また愉悦しい。


引き戸式の扉を開き、バスローブのような寝巻きを着たまま。
茶色いスリッパ、JR,と書かれているそれを履き、廊下に出た。

廊下は絨毯が敷かれており、清掃は手間だろう。
しかし、乗客の快適性を鑑みそれを採用したJR西日本・東海。

一見、利益主義の権化のように思われている会社でも、そうではない事を
示す好例だと輝彦は思った。

LEDマトリクス表示で、11、と車両番号が記されている。

この285系電車は、淘汰される存在だと評された寝台特急でも
考え方ひとつで利益を生む事が出来ると言う実例である。

利益。その為であっても。

論理的に正しいものならば、民衆の支持を得られるのだ。

では・・・直面している事件は何が間違っていたのだろう?


それは、やはり・・・・私利私欲、だったのではないだろうか?



何れにせよ、ひとつひとつの事件の証拠を手繰っていけば
真実に帰結する筈だ。


そうおもいつつ、廊下を歩き、階段を下る。
平屋部分にも左右に、二段ベッド式の寝台個室があり
この日は空いていた。


「ひとりで、ここを取るのもいいな」と、微笑む輝彦である・・・・・・。










 
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