関東電力殺人事件

深町珠

文字の大きさ
上 下
143 / 187

少年の恋

しおりを挟む
そんな輝彦と友里恵を、遠巻きに
みんなは見守っていた。

どこでもそういうものだけど、と
輝彦は遠い、少年時代を思いだし
和んだ。

タイム・スリップしたように
この店にいると、自分が18歳に
戻ったような、そんな気もしていた。


店の仲間のひとりに、中卒で
料理人を目指し、料理店で虐められて
飛び出してきた少年が居た。

目つきが鋭く、背が高くて粗暴な感じだったが
仁義を弁えて、礼儀正しい
さっぱりとしたいい奴だった。

秋頃、輝彦と友里恵が
この店で出会った後に、バイトを始めた彼だったが

どことなく、友里恵に恋心を抱いているかの
ようでもあった。


でも、年頃の少年らしく
友里恵には言葉も掛けられない。

それは輝彦にもよく分かる。

想いが強すぎて、何も言えなくなってしまうのだ。

輝彦自身、今でも本気で誰かを
好きになってしまえば、そうなるかもしれない。


そう思うと、彼の気持ちはよく分かる。


友里恵の居ない所で、彼女の事を語る
彼はとても楽しそうに、話すのだ。



でも。


友里恵が輝彦に密着(笑)するのを
彼は淋しそうに見ていた。


彼女が、そうしているのだから
何も言えない。



いたたまれなくなったのか、突然彼は
バイトに出なくなって。


「どーしちゃったんだろ。」と
友里恵はあっけらかんとしているが


その理由を告げる事もできず。

ただ輝彦は、彼の幸せを祈るばかりだった。




正月が過ぎた1月、チェーン本部から依頼。
輝彦を、本部契約で
この店の店長候補として採用したいと
いう申し出であった。

輝彦は勿論、丁重にお断りを述べた。
友里恵や麻美、ゆう子や舞、由香たちの
居場所がなくなるのは淋しいが

ライター、と言う気軽な立場で居たかった。

それで、アルバイトなら、と言う返事をしたのだが
本部は「あなたの希望、と伺っておりました」との返事。

どこから聞いたのか知らないが
そんな事は言ってないと、輝彦は返答。


本部は、この店を
閉店する予定、との事。


それが友里恵に伝わり「店長候補います!」と
輝彦の事を彼女は告げたらしい。

その気持ちはよく分かる。
今、楽しいフィールドがなくなってしまうのは
淋しいだろう。


でも。
今でも赤字のこの店を
経営する手腕は、輝彦にも
友里恵にも、無かった。


にこにこして駆け寄ってきた友里恵に
それを告げると...

「断っちゃったのー。...そっか。でも
フリーライター、だっけ。あなたが
したいことしてくれるのが、わたしは嬉しいから。
」と、明るい声で言うが....。
表情は曇っていた。


どう感じているか分からないが。
好きな人と一緒に店をしたいと言うのは
たぶん、友里恵の夢だったのだろう。

それが叶うかもしれないと思った時、
足下から崩れてしまった、そんな感じだろうか。


でも、この店はいずれ、潰れるだろうし
友里恵だってさ、他に好きな人できるかも...。

そう思ったが、言えなかった輝彦だった。


しぼんだ気持ちを足取りに残し、友里恵は店を出て行った。








それから、しばらく

友里恵はアルバイトに来なくなり、2月。

誕生日を迎えて18歳になった。



でも、ずっと会えないので

誕生祝い、などと言い出す事も出来ず



店には、重苦しい空気が漂った。





麻美も、由香も、舞も、ゆう子も、遥も

康夫たちも。



友里恵が居なくなると、火が消えたような店で

ただ、黙って仕事をした。





そんな頃、輝彦に次の仕事の話がやってきた。



長期契約で、旅行雑誌の紀行、だった。





それで、アルバイトを辞める、と

本部に告げたところ



「それでは、店は閉店ですね」と。

告げられた。





残念だが、仕方ない。

でも、友里恵の事が気になったので



輝彦は、ペット・トリマーの専門学校に通いながら

バイトするのによさそうな店を探した。





雑誌社のつて、で



女性トリマー、コンテストでよく入賞している人が

開いている店、そこに話をしてみると

優しそうでいい人だったし、良さそうな印象だった。







それを伝えたくて、友里恵の携帯電話に

掛けた。だが



電源が切られていて、通話ができなかった。





「学校も、もう休みだしねー・」と。由香は言う。





それにしても気になる。と、

輝彦は、友里恵の住む団地、海沿いのそこに

車を走らせた。





団地は広くて、どこだか分からなかった。

夜になってしまい、途方に暮れていると

海沿いの松林の方から、見覚えのある小柄で

長い髪の少女。



友里恵だった。





瞼にガーゼを貼りつけて。頬は赤い。



輝彦に気づき、彼女は踵を返して駆けだし

松林の方へ。





走り、追いかけて。



背中からhug.



いつかと同じ香り。





友里恵は、黙って固くなっていた。





ごめん、と

輝彦が謝ると、「なんで謝るの」と

静かに友里恵は答えた。





それは....と、返答に窮していると

物わかりのいい友里恵は、いつかのように

振り向いた。



でも、瞼は腫れて赤くなっていた。



ずっと泣いていたのだろう。





「アタシね、頭では分かってる。どうしようもないって。

でもね、でもね....」と、語りながら

友里恵の頬を涙が伝う。



愛おしくて。



友里恵を抱きしめると、あの時と同じ

やわらかな、意外に女らしい友里恵だった。





「でも、お別れって訳じゃないよ」と輝彦は告げる。





「ホントに?」と、友里恵は涙声で。



「,,,あのね、...お店なくなっちゃうと...会えなくなっちゃうから...ずっと不安だったの。....だって、だって...」







「だいじょうぶ。

いつか、お店持とうね。」と、輝彦が言うと

友里恵は黙って頷いた。







松林と砂浜と。

渚、細波。







月明かりは、あたたかく。





訴えるように愛くるしい瞳が

痛々しくガーゼに包まれていると

かわいそうで、どうして泣かせちゃったのだろうと

そう思っていると、友里恵は瞳を閉じた。
かたちのよい、ちいさな唇にふれると

友里恵は、草原の子鹿が物音に驚くように

すこし、ふるえる。
ずっと、愛し愛される事を夢に見てきたのだろうか

まるい頬を、透明な涙が伝った。
やわらかく、漂うように

すべてをゆだねて浮遊する。
舞い降りた天使、のようだと

輝彦は思った。










月明かりの中、松林を歩くと

火照った頬に渚風が心地よかった。
波打ち際を歩きながら、いろいろと話した。

これからの暮らし、学校、などなど。
もともと従順な子なので、無理強いをしてはいけないと

輝彦は思った。
それで、提案、と言う感じで

ペットサロンのこと、コンビニのこと。
いろいろ話した。
「うん、わたし、ひとり暮らしをしてみたかったけど

ひとりはちょっと怖かったから」
ペットサロンの2階が、住居になっていて

そこでよければ使って良いけど、ひとりはちょっと怖くない?と

サロンの主人、愛(めぐみ)は、そう言うのだ。


「それと」

コンビニを引き受けるのは、今は控えた方が...と、輝彦が言うと
「うん、わかってたんだけど」と、友里恵はぽつりと。

幼い頃から夢みてきた、自分のお店。

だったから、ちょっとがっかりだった、と。
「いずれ、あの店は閉店だもの」輝彦が

そういうと、友里恵は
「現実は、厳しいね。でも、わたしも学校に行って資格を取ってから

の方がいいかな、と思ってはいたの」




賢い子だな、と輝彦は感心する。

反面、子供らしくはのびのびとさせてあげたいな、なんて

思ったりもする。
そういう友里恵は、とてもかわいい。






-----------*--------------------------






それから、しばらくして

友里恵のまぶたも綺麗に直った頃

友里恵は、アルバイトに復帰した。
とはいえ、友里恵も4月、進学までの間である。
友里恵自身の心配が失せたからか、以前よりもっと元気になった。


楽しく、明るい、JKらしい友里恵を見るのももう最後かなと

輝彦はちょっと淋しく思った。
コンビニを辞めてしまえば、約束なしに会う事もなくなる...けれどまあ

友里恵の新しいバイト先に行けばいいのかな(笑)。

でも、もう仲間じゃないから

その、清々しい日々は懐かしい思い出を辿るしかない。
けれども、これから先の方が楽しい、思い出が出来るだろう。
輝彦の最後の出勤日、友里恵はシフトの都合で店に出る日ではなかったから

麻美や舞、遥や由香たちが「残念だ」と言っていた。
友里恵から話は伝わっているだろうけれど。
「友里恵ちゃんとお幸せに」と、麻美。


いや、お幸せに....ったってねぇ、と輝彦は思ったが

敢えて何も語らなかった。







そう、友里恵ちゃんが
それを望むなら、輝彦は
ずっと、愛し続けようと思った。

なんとなく、若い友里恵の気持ちが
変わるのではないかと
そんな風に思っていた。

それは、根拠のない怖れのような物で
例えば、友里恵がいつも
スカートをはかない、と言うのと
似たような物だ。


でも。


3月になって、友里恵たちの高校でも
卒業式があって。

何故か輝彦も呼ばれた。

父兄、と言う事だが
若干後ろめたいような輝彦である(笑)


父でも兄でもないし
ひょっとすると、青少年健全育成条例違反で
逮捕されるかもしれない(笑)危うい父兄だ。

教師たち、特に女教師の視線が冷たいような
友里恵のじゃれっぷりは、いつもの
コンビニでの様子と同じで

父兄に見えるかなぁ(笑)とやや心配な輝彦だったが
友里恵のいでたちは、他の生徒のように
制服で、スカートの下にジャージなどは
はいていなかった。

さすがに、ミニスカートにはしていなかったが
帰ってそれがかわいらしかった。


あの夜、海岸で抱きしめた友里恵と
おなじ人かな?、と
思うくらい、元気にはしゃぐ友里恵は
由香や遥たちと、楽しげに記念撮影をしたり。

あっさりとしてるものだな、と
思った。


「卒業式って、泣いたりしないのかなぁ」と
輝彦が言うと

「そういう子もいるねー」と
友里恵は楽しそう。

「あんまり学校に思い出、ないし」



そんなものかもしれない。
中学でロリコン教師にセクハラ(笑)いやいや
愛されちゃった友里恵としては

高校は尚更、男の教師は怖かっただろう。


だいたい、バイト先の店ですら
50代の店員からセクハラ(笑)いやいや
デートに誘われたりしたのだし。

この、幼気な子に
どうしてそんなに魅力があるんだろな、と
輝彦は考えた(笑)


自分はと言うと、なんとなく引き込まれて
愛くるしく訴えられるので、ずるずると(笑)

そんな事言うと怒るかな。


学校のパーキングに止めてある
輝彦の車に、アタリマエに乗り込もうとする
友里恵。

「まずいんじゃない」と、輝彦が言うと、友里恵は

「だいじょぶ、父兄だもーん」と。

こんなペースでずっと、僕は引きずられるんだろうか(笑)

と、輝彦は車をスタートさせた。

白いシトロエン・エクザンティアは
空気バネなので、ふんわりとした
高級な乗り心地。

それを、友里恵は気に入ってた。

「車の免許、取ったら大きい車、ほしいなー。
これでもいいけど。運転させて?」


初心者マークのエクザンティア(笑)

見たことはないが、それ以前に
友里恵の運転では怖いような気もする(笑)


「こないだの、お店の呪いは、どうなったの」と友里恵。

忘れた頃になにを言い出すかと思えば、と
輝彦は思った。

「呪いかどうかは分からないけどね。
自殺か事件かも」と、輝彦。


「なんか、すっきりしないな。つきとめようよ、探偵さん」と
友里恵は楽しそう。


「秘密探偵JKか」と、輝彦が言うと

なにそれー、と友里恵は笑う。
もうJKじゃないもん、とか言ったり。

「でもまあ、31日まではJKだよ、法律上も」と
輝彦が言うと
あ、そっか、と友里恵は笑った。

パセンジャーシートで、普段は日の目を見ない
友里恵の白い脚が目映い。


「春休みの間、探偵ごっこでもしようか」と
輝彦はおどけて言う。


友里恵は楽しそう。
うん、するするー、っていいながら
脚をぱたぱたさせる。

スカートをはき慣れないせいか。
そういう事をすると、パンツ丸見え(笑)幼児みたいだなと
輝彦は笑う。

「見たなー、こら!」と友里恵はおどけて
怒ったふり。


見せたんじゃないの(笑)と輝彦もおどけると


「見ていいのよ、あ・な・た」と
友里恵はふざけてスカートを持ち上げるので

輝彦は信号無視をしそうになった(笑)。



「はしたないなぁ」なんて、輝彦は笑う。
「んー、あなただけなんだから。」と、友里恵は冗談半分。

でも、目が少し怖い(笑)。
最初に会った頃、そういえば「早く結婚したい」なんて言ってたっけなと

輝彦は回想。


あの頃はまだ17歳で、ちょっと荒んだ雰囲気で。

でも、なぜか輝彦とふたりきりの時は、甘えてて。
結婚かぁ。
あの時のコトバは、「あなたと結婚したい」って事だったのかな。




そういえば、おふくろも、早くお嫁さんをもらいなさい、なんて言うけど....。と

輝彦は母の顔を回想。


....なんとなく、友里恵ちゃんに似てるなぁ(笑)。


ちょっと強引にペースに巻き込むとこ、とか(笑)。


年取るとああなるのかな、なんて微笑みながら

輝彦はシトローエンのハンドルを切る。
カーブを切っても全く傾かないのは、ハイドロ・ニューマティック・サスペンションの

美点である。
それでいてふわふわの乗り心地だ。




「あ、また笑ってるー」と友里恵が半分怒ったように(笑)


「いやいや、そうじゃなくて。友里恵ちゃんとね、おふくろが

なんか似てるな、って思ったの。」と輝彦が言う。すると友里恵は
「お母さんに似てる人に惹かれるって言うから。」なんて言うので

輝彦は、もっと可笑しくなった(笑)。直後、「お家に連れてってよ」なんて言う

友里恵にどっきりするのだけど。


「どうして?」と輝彦は尋ねる。すると、当然、と言う顔で
「そのうち、お嫁さんになるんだもん。お母さんにも会っておかないと」なーんて....。

どこまで分かってるんだか、友里恵ちゃん。(笑)


そういうところは、とってもかわいい。
まあ、母に会わせたとしても本気にはしないだろう(笑)と、輝彦。






ところが。




お部屋に連れてって、と駄々をこねる友里恵に閉口して

仕方なく家に連れてきた。


古臭い(笑)旧家の門構えにも怯まない友里絵。

流石は、13歳でロリコン教師をやっつけた(笑)だけの度胸だと

輝彦はヘンに感心した。




シトロエンのドアを開け
友里恵は、深見家の門、木造の旧家のそれの
潜り戸を開ければいいのに(笑)

門を叩いて。

こんこん。「頼もうー!」

輝彦はずっこけてしまった。「それは、道場破り。」


そっかぁ、と振り向いて舌を出す友里恵。
えへへ、と苦笑い。

潜り戸を開けて、お手伝いさん登場。

「あら、坊ちゃま。お帰りですか。」

友里恵を見てどっきり。
卒業直後、とはいえ
制服のJKである。

「ご依頼主さまですか?」と聞くので、友里恵は
茶目っ気で「いいえ、婚約者です。」と


「こ、こ、こんやくしゃーーー!」と驚く。

お手伝いさんは、母上を呼び叫ぶ(笑)

「奥様ー、おおおくさまぁー!」(笑)



輝彦は、困る。
騒ぎになっちゃったなぁ。





入っていいよ、と輝彦が手招きして

友里恵を庭へ。

離れの輝彦の部屋へ招こうとすると
背後より、「輝彦さん!」

はいー、(笑)と、輝彦。

振り返る。


母上である。ちょっと怖い顔だけど
そりゃ当然だ(笑)。


こちらの方は?と、聞かれ
輝彦が返答を考えていると

「はじめまして。加賀野友里恵ともうします。輝彦さんのフィアンセです」(笑)と
冗談半分で言うので、輝彦が

よせ、よせ、冗談は通じないぞ、と手を振ると

母上は、ちょっと険しい表情「輝彦さん!どういう事ですか。」



そりゃそうだ。相手はJKである。
警察官僚の弟が、青少年健全育成条例違反で逮捕(笑)
なんて、新聞種だ。

「いえいえ、母上、誤解です」と
輝彦が言うと、友里恵が

「何が誤解よーー!乙女の純潔を汚しておいてーー!」と、嘘泣き(笑)

やめろって、と輝彦は手を振りながら「お、お母様、誤解です。ちょっと、あの」


母の顔が怖い、本当に友里恵そっくりに見える。
女は鬼だ(笑)。


本当に友里恵を嫁にしたら、鬼ふたりだなこりゃ(笑)と
輝彦は笑った。





それでも、女同士似たもの同士(笑)
シンパシーがあるのか。


友里恵と母は意気投合(笑)。


「わかりました。輝彦は不埒な気持ちで
友里恵さんに近づいていない、と。」
母は、何か誤解しているが。


まあいいか(笑)。


と、輝彦は安堵。


いつでもいらっしゃい。きょうは、ゆっくりしていって、と
母上。


「はい、お母様」と、友里恵は丁寧に母に挨拶。
振り向いて、輝彦ににっこり、ウインク、赤い舌ぺろり(笑)。


輝彦も、笑うしかない(笑)。


誤解(笑?)は解けたようだし。




輝彦の部屋、離れの二階に
友里恵を招き入れながら
不思議に、母上が訝しがる事なく
友里恵を受け入れ、部屋に入れた事が
なんとなく、不思議(笑)なので
友里恵に尋ねて見る。

「母に、何を言ったのですか」

友里恵は、かぶりを振り「何も?乙女の純潔を汚したので仕方ないと思われたのかしら」
母の口調が移っている(笑)

輝彦は(笑)「乙女の純潔ってなんだよ、それ」

友里恵は、真剣な顔で「キスしたじゃない。」


輝彦は、どっきり(笑)「それは、そうだけど」


「ファーストキッスだったんだから。好きな人に
あげられてよかったけど。でも、あなたってマザコンなのかしら」と、友里恵は
夢見る18歳(笑)
でも、コミカルだ。

輝彦は、おなじノリで
「マザコンじゃーないけどさ。ロリコンでもないし。
そういえば、最初逢った頃、13で家出して不登校だった
アタシをどう思う?って聞いたよね。あれって
Will you love me って事だったの?」


友里恵は、ちょっと恥ずかしそうに頷き「うん。最初から
あなたと結婚したい、って感じた。だから
イヤだったけど、過去も全部話した。」


やっぱりそうなのか。と輝彦は感激した。
ちゃんとしてるんだな、大切な事を
誤魔化したりしないで。

そこで、ふと「あ、じゃあその中学の先生って。」


友里恵は、笑顔で「うん、あの人も悪い人じゃないの。
好きだって言ってくれたけど、でも
変な事しようとしたから、蹴っ飛ばしてやった(笑)」

へぇ、と輝彦は感心。
おとなしそうだけど、潔いなぁ。と

そのあたりも、なんとなく母に似ている。

と、思ったけど、ちょっとおどけて
「蹴っ飛ばしたって、どこを?」


友里恵は、吹き出しそうになりながら「玉。」


たまか(笑)それは痛いかな。

「でも、イケメンで若いんだろ、彼」と
輝彦が言うと


「でも、見かけじゃないよ男は。なんか、心が
老いてるって言うか。その割に玉ばっかり元気だし。
今の男ってみんなそう。若いのも年寄りも。
でも、あなたは違ってた。お父さんみたいな優しさで。
誰にも優しいし。エッチじゃないし。」



そうなのかな、と輝彦。
僕は変なんだろうか(笑)




別に、輝彦の玉(笑)が元気がない訳ではなくて

ただ、無闇に欲情しないのは

女の子、も人間だから

嫌がる事はしたくない、と

思っているだけ、だ。



友里恵のように、

真っ直ぐな子だと

殊更、大切にしなくちゃと

そう思うだけで。



エロティックな部分に反応したとしても

それは動物的な事で

人間、として愛を感じていれば



その子の幸せを考えると

思う、それだけ。



なので、友里恵を

押し倒そうとした

中学教師の事は、ちょっと

許せないと思う。



まして、13歳の子供に。




「でも僕だって、友里絵ちゃんにHな気持ちを感じない訳じゃないさ」

と輝彦は。

正直な友里絵に、嘘をついてはいけないと思ったから

敢えてそれを告げる。
「うん。」と友里絵は俯きながらそう答え

だって、最初にキッチンでわたしを抱きしめた時に、元気だったもん。と

ちょっと、頬赤らめて。
「元気って、ああ....棒か。」(笑)と輝彦がユーモアを交えて言うと
友里絵もユーモアを理解して。そうそう、とうなづいたけど

どことなくぎこちない。

それはやっぱり、18歳になったばかりの女の子だ。


「そう、だからね。あたしって魅力ないのかなーって淋しくて。

泣いちゃった。他の男は襲ってくるのに。なんで好きな人は

そうじゃないんだろ、って」
それで泣いたのか、と

輝彦は、友里絵を愛おしく感じる。
そう感じると、「棒」が元気になってしまって困るので(笑)

考えを逸らした。


すると、友里絵は「だから、早く結婚しよーよ。

かわいい赤ちゃん欲しいもん。」
と、ますます困った事を言う(笑)
でもそれは、無邪気な女の子の夢、のコトバだ。






-----------------

sent from W-ZERO3


そうだな、結婚ってのも
こういう子ならいいかも。なんて
輝彦は思う。

そんな事考えてると、ヘンな気持ちになるから(笑)

窓の外、青空を見た。

白い雲はたよりなく、カルボン酸。ふわふわと。

春だな。と心和む。

「あ、そうだ。」友里絵は突然。

「なに?」と輝彦は少し驚いて。

「あの、お店。コンビニね。閉店って言ったけど。すぐになくなっちゃうの?」と、友里絵は心配になったらしい。
他のみんなはどうしてるんだろう、と。

「それなんだけどね。」と、輝彦は真面目な話題に戻り、内心安堵した(笑)。

店長が決まらなければ、閉店して
売るらしいとの話だ、と。


「そーなんだ。なんか淋しいなぁ、あのお店、なくなっちゃうなんて」と、友里絵は言う。
確かに。輝彦もそう思う。

ふたりの出逢った場所でもある。

でも、買う訳にもいかないしな....。



それで、見に行こうか、と
また、車に乗って出かける事にした。

そこを、また母上に見つかり(笑)


「輝彦さん、どちらへ」(笑)


友里絵が、それに答え「ちょっと、アルバイト先だったお店に、お母様」

お母様(笑)と輝彦は思ったが、母上も怯まず(笑)

「友里絵さん、輝彦が早く身を固めるように祈っています」と、母上(笑)

どっちもどっちだ。


このふたりが同盟を組んだら、とても恐ろしい事が起きそうで(笑)
フリーライターなど、やってられなくなるかもしれないと輝彦は恐怖を感じ
そそくさと逃げる(笑)

あ、待ってー、と追いかける友里絵、早く帰るんですよ、と、母上(笑)


監視つき外出か、(笑)。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

【R18】もう一度セックスに溺れて

ちゅー
恋愛
-------------------------------------- 「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」 過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。 -------------------------------------- 結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

処理中です...