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猫が好き
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「犬、好き?」と輝彦が尋ねる。
うん、と
にこにこしながら友里恵は答える。
ストレートの長い髪は、綺麗に揃えられている。
それが輝彦の好みだと思っているらしい。
髪を染めてはいないが、元々細いので
明るい所だと茶色っぽく見える。
頷きながら、その髪はさらり、と揺れた。
「でも、猫派なんだよねー」。
ネコハ?と輝彦が聞き返す。
うんうん、と
友里恵は楽しそうだ。
猫が好きなんだけど、おにーちゃんは
犬好きだから。
おうちで飼うと、猫がかわいそう。
そういって、家では犬を飼っているらしい。
「高校出たらね、ペット・トリマーの専門学校に行こうと
思ったの。だけど、学費が掛かるからそれでバイトしてるの。」
なんだそうか、と
輝彦は安心した。
コンビニはアルバイトのままでいいのか。
そんな、他愛もない話をするだけでも楽しいと言うのは
恋なのだろうか。と
その最中に自問する者はいない。
その時楽しいのに、理由はいらない。
「じゃさ、専門学校に通いながらバイトする?ここで。」
と、輝彦は尋ねる。
友里恵は、少し戸惑って
「うん、このお店、楽しいけど..
いつまで一緒にいられるのかな
ーって、時々考えちゃう。」
そういう友里恵は、そこはかとなく愛らしい。
「そうだよね、僕もただのアルバイトだし。
本業が暇だから」と、そこまで言うと、友里恵は
「そういえば、昼間は何してるの?」と
いまさらね、と笑った。
そのくらい屈託のない少女。
富にも名誉にも興味がないのだろう。
なんとなく感じあうから
さりげなくそばにいて。
天使だな、と
輝彦は思う。
自由なハートを持っているから
みんなに愛されるんだね。
そういえば、最初の頃は
ケバけばしい化粧をしていた友里恵だった。
今は、ほとんど感じられない
「それは、装甲」と笑いながら言う友里恵。
友達とのつきあい、もあるけれど
素顔のままだと、変な男が寄ってくるのだそうだ。
その為の武装であるらしい。
そういえば友里恵は、私服の時は
いつもスカートではなかった。
そのあたりに、被害を避けようと言う
自衛の気持ちが伺えて
輝彦は、友里恵を不憫に思った。
周りの大人たちが、昔のように節度があれば、いや、
輝彦の住んでいるあたりの大人たちのようならば、
ふつうに、のびのびと少女らしくしていられるだろうに。
13歳の少女を、教師(?)をはじめ
男たちが男根を手に追いかけていた、とは想像するにおぞましい。
そういうものをなくしていかなくては、と
大人サイドに居る輝彦はそう思う。
お金になれば、なんでも許してしまうという
今の社会がいけないのだ。
法律にも明記されている。
現行犯の場合、私人が犯人の身柄を確保しても良いのだし
防御に際して自力執行力(つまり、相手に力を及ぼしても良い、と言うこと)を認めている。
......友里恵に限らず。
みんなそうなんだな、と。
バイト仲間のみんなを想った。
天使、というのは身体を持たないけれど
地上に住む友里恵は、勿論生きている人間だから。
心だけでは生きていけないし、エネルギーを得て
代謝する。
そういう日常的な事で、友里恵自身が
社会に出て、争わなければならないとき
友里恵の心の中の天使は、それらしく
大胆な行動で、社会を驚かせるのだろう。
13歳の時に家出したと言うのも
たぶん、争いたくなくてそうしたのではないか?
不登校も、そうかもしれない。
そして、友里恵自身が生きていく為に
進路を決めようとする、そんな時期に
就職先や、進学先が決まらず
学費も自分で調達しなければならない、などという
事が、いままでの社会であっただろうか?
輝彦は思う。
自分も、親に迷惑を掛けたくなくて
アルバイトをしたりした事はあった。
でも、幼気な少女がそうすると言うのは
あまり聞いたことがなかった。
そんな環境にいても、友里恵をはじめ
店で働く少年少女たちは、屈託無く明るいのである。
それで友里恵は、この店を
みんなのものにしよう、と思ったらしい。
しかし。
それは、この店にある問題を
全て解決して、健全経営になれば、の
話だ。
客観的に見て、この店の
経営が巧くないのは単純な理由だった。
田舎のコンビニなので、客が少ないし
パート主婦たちが、商品を盗んでいく(笑)からである。
友里恵の望むものは、「この店」ではなくて
皆で働ける場所を皆で運営したいと言う事なのだろう。
若さ故性急に、今目の前にあるこのコンビニを
みんなのものにしよう、と
思っているのは、友里恵の意思ではないかもしれない。
輝彦はそう思った。
女同士のコミュニティの意思であるのかもしれない。
友里恵自身は、ひとりで自由にお店、ペットの美容室などを
運営したいと思っている....かもしれない。
もし、そう思うなら
何か、手伝ってやりたいな。
輝彦自身、フリーライティングの仕事を続けながら
コンビニ経営など、無理である。
「なにか、やりたいことってある?」と、友里恵は
考えている輝彦を思ん慮って、そう尋ねる。
それは、恋だろうか。
彼女の表情は、柔和で愛らしく。
輝彦は「まあ、特にはないけれど」と、曖昧に答えた。
でも、いつかはコンビニのアルバイトも終わりが来るし、と
答えた。
「そーだよねー。あたし、ずっとこの店に居てもいい、って思ってるけど」
と、友里恵は言う。
それは、バイトだからそう思うので
経営となると、若い友里恵には少し荷が重過ぎるなと
輝彦は思う。
だいたい、古株のパート主婦の万引き(笑)
が更にひどくなるだろう。
弁当や、冷凍食品などをわざと多く注文し、賞味期限が近いものを
廃棄として、自宅に持ち帰るのだ。
それで、コンビニチェーン本部の者が監査し
発注を本部で行うようになっていた。から、
犯行は薄々発覚していたのである。
それを知って、友里恵に
この店を買い取る事を提案したのかもしれない。
ならば、この話は破棄すべきだと
輝彦は思う。
もしかすると、前店主の自殺も
それが関連しているのではないだろう?かと
輝彦は、探偵の虫が動き出すのを感じた(笑)
ジ</a>
>
しかし、友里恵のために
周りの男は動かないのだろうか?
父や兄は、輝彦自身をどう考えているのだろう。
普通なら、33歳の男に17歳の娘が仲良くしていると聞けば
嫌悪するのではないだろうか。
「お父さん、さ、こないだ店に来たよね」と輝彦は尋ねた。
「ああ、あれ。あたしが話すから、家で。でもね、心配したけど
あの人なら大丈夫だ、悪い人じゃあないよ、って。おとーさんもおにーちゃんも」
それは、妙に信用されたものだと輝彦は思う。
「そっか。」とだけ答える。
このまま、友里恵の気持ちが変わらなければ、僕は
土着して生きていくのかな。
そんな風にも輝彦は思う。それもそれで悪くないような気もする。
ただ...この店はいずれ潰れるだろうから。
ここを引き受けるのは避けたほうがいいな。
それは、いつか友里恵に告げたほうがいいだろう。
そう思いながら、楽しい日々は過ぎた。
クリスマスが来たりして、皆で店を飾りつけたり。
サンタさんの格好をして、ケーキを売ったり。
学芸会のようで楽しいな、と輝彦も思う。
そういうお店でやっていけたらいいのだけど。
ふと気になったのは、前店主の自殺の原因で
いろいろ調べてみると、不可解に
バイトの大学生と恋愛してしまった事が
やっぱり原因らしかった。
そういう秘密を共有していたので、悪玉のパート主婦たちを
解雇できなかったらしい。
呪われてるのかな、やっぱり(笑)
そういえば、自分が友里恵に惹かれる、と言うよりは
友里恵が懐いてくるので情が移った、と言う感じ。
好みでいうと、JKよりは
もう少し落着いた大人の方がいい、と輝彦は思ったりもしたが
それはそれで、拒否する理由でもないし
無邪気に信頼している子を裏切ることもできない。
その、クリスマスツリーには
めいめい、好きな願い事を書いて飾っていたり。
まるっきり趣味なのだけど。
heyheyjey!
がんばろー。
恋人 サンタクロース
いろいろだけれど。
輝彦は、それをにこにこして眺めていた。
自分が、子供に戻れたような気がして。
「深見さんが店長だったらいいのにね」と言うのは
隣町から派遣されている、チェーンの人間、ゆう子。
まだ20歳くらいだが、アルバイトから
店員になったそうで
その生き方に不満なところもないらしい。
にこにことして言う、愛らしい子だ。
「どうして?」と輝彦は尋ねた。
ゆうこは、にこにこのまま「だって、優しいし、怒ったりしないし」と。
それは、バイトだからだよと
言いたくなったが
別に言わなくてもいい(笑)。
経営者なら、やっぱり
言う事もあるだろうし。
自由じゃなくなってしまう。
自由っぽくていいと
ゆりえが言っても
それは、そういう立場だから
自由でいられるのだ。
-----------------
ゆう子はコンビニチェーン側の人間だから
輝彦は、ざっくばらんに聞いてみる。
「本部は、この店をどうするつもりなのだろう。」
ゆう子は、そこまではわからない、としながらも
「誰か、新しい店長が運営しなければ、閉店するのが
ふつうですね」と。
それはそうだと思う。
今、本部が運営してるのは
緊急措置で
元オーナー、店長が
自殺してしまったから、やむを得ないと言う
判断なのだろう。
それで、新しい店長候補を連れてきたはいいが
JKと不祥事を起こして退任.....って
まるで、前の店長と同じだ。
この店、康夫の説のように
本当に呪われているのだろうか(笑)
オカルトは信じない輝彦である。でも
こんなに続くとなんとなく気味悪い(笑)
輝彦と友里恵だって、呪いなのではないかと(笑)
そんなバカな。と
その呪い(笑)ってなんなのと
輝彦がゆうこに聞くと
「このお店でカップルになると、なぜか
破局するとか...」ってみんな言ってると
ゆうこは笑う。
明るいゆうこは、フィリピン系クォーターだから
陽気で元気、細かいことに拘らない。
それに、ダイナマイトボディー(笑)なので
たしかに、ゆうこと一緒に仕事したら
その魅力でくらくらするかも(笑)と
輝彦は思ったが
でも、友里恵はそーいうタイプでもない(笑)
どっちかというと、友里恵が寄ってきたような
そんな感じに見える。
深夜か早朝、ふたり勤務になると
確かに、暗い事務室は狭くて
そこでふたりっきりだと、ちょっと
フェロモン誘因の殺虫剤(笑)と言うところは
あるかもしれない。
そういえば、キッチンには窓がなく
暗いから、そこでおかしな気分になるのかも。
「深見さんは別ですけど」と、ゆうこは言う。
どうして?と尋ねると
友里恵ちゃんが一途なのに節度を持ってるから。
って、ゆうこはさりげなくそういう。
ふつうの男は、みんな友里恵ちゃんの魅力に
参っちゃうのに、深見さんは
平気だから、本物の男だって
JKたちはそう言っているとか。
それは知らなかった。(笑)
そんなに友里恵が人気者だとは。
そういえば、指輪事件の時もそうだったな、と
なんとなく思った。
輝彦から見ると、友里恵は
かわいい子供、と言う感じである。
最近は、そういうのが人気なのかもしれないけれど。
そういえば友里恵は、きゃりーぱみゅぱみゅ
みたいな格好させれば
アイドルで通用するな、とか思う。
でも、好みな訳でもないし
それに、性的な妄想を持てるのは
不思議だった。
AKB、とか人気らしいけれど
特殊な趣味の世界だろう、それに
性的な妄想を持つのは。
それがない時代だから純粋でいいのになぁ
とか、おじさん領域の輝彦は思う(笑)
過ぎ去った日々、その最中では
けっこうHな妄想もしたのだろうけど(笑)
忘れてしまって、美しい想い出だけが
残っているから、
今を生きている友里恵たちを
大切にしようと思うのが
ふつうの大人だろう、そう輝彦は考えていたし
周囲の、たとえば兄なども
そう思うだろう。
だから、余計わからなくなる。
前店長が、人の親であり、妻であるのに
バイトの大学生と恋に墜ちてしまうと言うのは。
その事をゆう子に尋ねると
「死ぬ事はなかったんですけどね」と言う。
経営的に赤字だと言っても
そこはチェーンなので
倒産する訳でもない。
ずっと、給料をもらい続けることはできるそうだ。
最初にチェーンからお金を借りて、店を作ったので
売り上げから返済をしていく仕掛けになっていて
売れなくても、借金が減らないだけだ、との事。
「なら、なんで死ぬんだろう」と輝彦がつぶやく。
なぞなんですよねー、とゆうこ。
もう過ぎてしまった事のせいか、当時はこの店にいなかったせいか
あっけらかんと語るゆうこに
輝彦は微笑んだ。
うん、と
にこにこしながら友里恵は答える。
ストレートの長い髪は、綺麗に揃えられている。
それが輝彦の好みだと思っているらしい。
髪を染めてはいないが、元々細いので
明るい所だと茶色っぽく見える。
頷きながら、その髪はさらり、と揺れた。
「でも、猫派なんだよねー」。
ネコハ?と輝彦が聞き返す。
うんうん、と
友里恵は楽しそうだ。
猫が好きなんだけど、おにーちゃんは
犬好きだから。
おうちで飼うと、猫がかわいそう。
そういって、家では犬を飼っているらしい。
「高校出たらね、ペット・トリマーの専門学校に行こうと
思ったの。だけど、学費が掛かるからそれでバイトしてるの。」
なんだそうか、と
輝彦は安心した。
コンビニはアルバイトのままでいいのか。
そんな、他愛もない話をするだけでも楽しいと言うのは
恋なのだろうか。と
その最中に自問する者はいない。
その時楽しいのに、理由はいらない。
「じゃさ、専門学校に通いながらバイトする?ここで。」
と、輝彦は尋ねる。
友里恵は、少し戸惑って
「うん、このお店、楽しいけど..
いつまで一緒にいられるのかな
ーって、時々考えちゃう。」
そういう友里恵は、そこはかとなく愛らしい。
「そうだよね、僕もただのアルバイトだし。
本業が暇だから」と、そこまで言うと、友里恵は
「そういえば、昼間は何してるの?」と
いまさらね、と笑った。
そのくらい屈託のない少女。
富にも名誉にも興味がないのだろう。
なんとなく感じあうから
さりげなくそばにいて。
天使だな、と
輝彦は思う。
自由なハートを持っているから
みんなに愛されるんだね。
そういえば、最初の頃は
ケバけばしい化粧をしていた友里恵だった。
今は、ほとんど感じられない
「それは、装甲」と笑いながら言う友里恵。
友達とのつきあい、もあるけれど
素顔のままだと、変な男が寄ってくるのだそうだ。
その為の武装であるらしい。
そういえば友里恵は、私服の時は
いつもスカートではなかった。
そのあたりに、被害を避けようと言う
自衛の気持ちが伺えて
輝彦は、友里恵を不憫に思った。
周りの大人たちが、昔のように節度があれば、いや、
輝彦の住んでいるあたりの大人たちのようならば、
ふつうに、のびのびと少女らしくしていられるだろうに。
13歳の少女を、教師(?)をはじめ
男たちが男根を手に追いかけていた、とは想像するにおぞましい。
そういうものをなくしていかなくては、と
大人サイドに居る輝彦はそう思う。
お金になれば、なんでも許してしまうという
今の社会がいけないのだ。
法律にも明記されている。
現行犯の場合、私人が犯人の身柄を確保しても良いのだし
防御に際して自力執行力(つまり、相手に力を及ぼしても良い、と言うこと)を認めている。
......友里恵に限らず。
みんなそうなんだな、と。
バイト仲間のみんなを想った。
天使、というのは身体を持たないけれど
地上に住む友里恵は、勿論生きている人間だから。
心だけでは生きていけないし、エネルギーを得て
代謝する。
そういう日常的な事で、友里恵自身が
社会に出て、争わなければならないとき
友里恵の心の中の天使は、それらしく
大胆な行動で、社会を驚かせるのだろう。
13歳の時に家出したと言うのも
たぶん、争いたくなくてそうしたのではないか?
不登校も、そうかもしれない。
そして、友里恵自身が生きていく為に
進路を決めようとする、そんな時期に
就職先や、進学先が決まらず
学費も自分で調達しなければならない、などという
事が、いままでの社会であっただろうか?
輝彦は思う。
自分も、親に迷惑を掛けたくなくて
アルバイトをしたりした事はあった。
でも、幼気な少女がそうすると言うのは
あまり聞いたことがなかった。
そんな環境にいても、友里恵をはじめ
店で働く少年少女たちは、屈託無く明るいのである。
それで友里恵は、この店を
みんなのものにしよう、と思ったらしい。
しかし。
それは、この店にある問題を
全て解決して、健全経営になれば、の
話だ。
客観的に見て、この店の
経営が巧くないのは単純な理由だった。
田舎のコンビニなので、客が少ないし
パート主婦たちが、商品を盗んでいく(笑)からである。
友里恵の望むものは、「この店」ではなくて
皆で働ける場所を皆で運営したいと言う事なのだろう。
若さ故性急に、今目の前にあるこのコンビニを
みんなのものにしよう、と
思っているのは、友里恵の意思ではないかもしれない。
輝彦はそう思った。
女同士のコミュニティの意思であるのかもしれない。
友里恵自身は、ひとりで自由にお店、ペットの美容室などを
運営したいと思っている....かもしれない。
もし、そう思うなら
何か、手伝ってやりたいな。
輝彦自身、フリーライティングの仕事を続けながら
コンビニ経営など、無理である。
「なにか、やりたいことってある?」と、友里恵は
考えている輝彦を思ん慮って、そう尋ねる。
それは、恋だろうか。
彼女の表情は、柔和で愛らしく。
輝彦は「まあ、特にはないけれど」と、曖昧に答えた。
でも、いつかはコンビニのアルバイトも終わりが来るし、と
答えた。
「そーだよねー。あたし、ずっとこの店に居てもいい、って思ってるけど」
と、友里恵は言う。
それは、バイトだからそう思うので
経営となると、若い友里恵には少し荷が重過ぎるなと
輝彦は思う。
だいたい、古株のパート主婦の万引き(笑)
が更にひどくなるだろう。
弁当や、冷凍食品などをわざと多く注文し、賞味期限が近いものを
廃棄として、自宅に持ち帰るのだ。
それで、コンビニチェーン本部の者が監査し
発注を本部で行うようになっていた。から、
犯行は薄々発覚していたのである。
それを知って、友里恵に
この店を買い取る事を提案したのかもしれない。
ならば、この話は破棄すべきだと
輝彦は思う。
もしかすると、前店主の自殺も
それが関連しているのではないだろう?かと
輝彦は、探偵の虫が動き出すのを感じた(笑)
ジ</a>
>
しかし、友里恵のために
周りの男は動かないのだろうか?
父や兄は、輝彦自身をどう考えているのだろう。
普通なら、33歳の男に17歳の娘が仲良くしていると聞けば
嫌悪するのではないだろうか。
「お父さん、さ、こないだ店に来たよね」と輝彦は尋ねた。
「ああ、あれ。あたしが話すから、家で。でもね、心配したけど
あの人なら大丈夫だ、悪い人じゃあないよ、って。おとーさんもおにーちゃんも」
それは、妙に信用されたものだと輝彦は思う。
「そっか。」とだけ答える。
このまま、友里恵の気持ちが変わらなければ、僕は
土着して生きていくのかな。
そんな風にも輝彦は思う。それもそれで悪くないような気もする。
ただ...この店はいずれ潰れるだろうから。
ここを引き受けるのは避けたほうがいいな。
それは、いつか友里恵に告げたほうがいいだろう。
そう思いながら、楽しい日々は過ぎた。
クリスマスが来たりして、皆で店を飾りつけたり。
サンタさんの格好をして、ケーキを売ったり。
学芸会のようで楽しいな、と輝彦も思う。
そういうお店でやっていけたらいいのだけど。
ふと気になったのは、前店主の自殺の原因で
いろいろ調べてみると、不可解に
バイトの大学生と恋愛してしまった事が
やっぱり原因らしかった。
そういう秘密を共有していたので、悪玉のパート主婦たちを
解雇できなかったらしい。
呪われてるのかな、やっぱり(笑)
そういえば、自分が友里恵に惹かれる、と言うよりは
友里恵が懐いてくるので情が移った、と言う感じ。
好みでいうと、JKよりは
もう少し落着いた大人の方がいい、と輝彦は思ったりもしたが
それはそれで、拒否する理由でもないし
無邪気に信頼している子を裏切ることもできない。
その、クリスマスツリーには
めいめい、好きな願い事を書いて飾っていたり。
まるっきり趣味なのだけど。
heyheyjey!
がんばろー。
恋人 サンタクロース
いろいろだけれど。
輝彦は、それをにこにこして眺めていた。
自分が、子供に戻れたような気がして。
「深見さんが店長だったらいいのにね」と言うのは
隣町から派遣されている、チェーンの人間、ゆう子。
まだ20歳くらいだが、アルバイトから
店員になったそうで
その生き方に不満なところもないらしい。
にこにことして言う、愛らしい子だ。
「どうして?」と輝彦は尋ねた。
ゆうこは、にこにこのまま「だって、優しいし、怒ったりしないし」と。
それは、バイトだからだよと
言いたくなったが
別に言わなくてもいい(笑)。
経営者なら、やっぱり
言う事もあるだろうし。
自由じゃなくなってしまう。
自由っぽくていいと
ゆりえが言っても
それは、そういう立場だから
自由でいられるのだ。
-----------------
ゆう子はコンビニチェーン側の人間だから
輝彦は、ざっくばらんに聞いてみる。
「本部は、この店をどうするつもりなのだろう。」
ゆう子は、そこまではわからない、としながらも
「誰か、新しい店長が運営しなければ、閉店するのが
ふつうですね」と。
それはそうだと思う。
今、本部が運営してるのは
緊急措置で
元オーナー、店長が
自殺してしまったから、やむを得ないと言う
判断なのだろう。
それで、新しい店長候補を連れてきたはいいが
JKと不祥事を起こして退任.....って
まるで、前の店長と同じだ。
この店、康夫の説のように
本当に呪われているのだろうか(笑)
オカルトは信じない輝彦である。でも
こんなに続くとなんとなく気味悪い(笑)
輝彦と友里恵だって、呪いなのではないかと(笑)
そんなバカな。と
その呪い(笑)ってなんなのと
輝彦がゆうこに聞くと
「このお店でカップルになると、なぜか
破局するとか...」ってみんな言ってると
ゆうこは笑う。
明るいゆうこは、フィリピン系クォーターだから
陽気で元気、細かいことに拘らない。
それに、ダイナマイトボディー(笑)なので
たしかに、ゆうこと一緒に仕事したら
その魅力でくらくらするかも(笑)と
輝彦は思ったが
でも、友里恵はそーいうタイプでもない(笑)
どっちかというと、友里恵が寄ってきたような
そんな感じに見える。
深夜か早朝、ふたり勤務になると
確かに、暗い事務室は狭くて
そこでふたりっきりだと、ちょっと
フェロモン誘因の殺虫剤(笑)と言うところは
あるかもしれない。
そういえば、キッチンには窓がなく
暗いから、そこでおかしな気分になるのかも。
「深見さんは別ですけど」と、ゆうこは言う。
どうして?と尋ねると
友里恵ちゃんが一途なのに節度を持ってるから。
って、ゆうこはさりげなくそういう。
ふつうの男は、みんな友里恵ちゃんの魅力に
参っちゃうのに、深見さんは
平気だから、本物の男だって
JKたちはそう言っているとか。
それは知らなかった。(笑)
そんなに友里恵が人気者だとは。
そういえば、指輪事件の時もそうだったな、と
なんとなく思った。
輝彦から見ると、友里恵は
かわいい子供、と言う感じである。
最近は、そういうのが人気なのかもしれないけれど。
そういえば友里恵は、きゃりーぱみゅぱみゅ
みたいな格好させれば
アイドルで通用するな、とか思う。
でも、好みな訳でもないし
それに、性的な妄想を持てるのは
不思議だった。
AKB、とか人気らしいけれど
特殊な趣味の世界だろう、それに
性的な妄想を持つのは。
それがない時代だから純粋でいいのになぁ
とか、おじさん領域の輝彦は思う(笑)
過ぎ去った日々、その最中では
けっこうHな妄想もしたのだろうけど(笑)
忘れてしまって、美しい想い出だけが
残っているから、
今を生きている友里恵たちを
大切にしようと思うのが
ふつうの大人だろう、そう輝彦は考えていたし
周囲の、たとえば兄なども
そう思うだろう。
だから、余計わからなくなる。
前店長が、人の親であり、妻であるのに
バイトの大学生と恋に墜ちてしまうと言うのは。
その事をゆう子に尋ねると
「死ぬ事はなかったんですけどね」と言う。
経営的に赤字だと言っても
そこはチェーンなので
倒産する訳でもない。
ずっと、給料をもらい続けることはできるそうだ。
最初にチェーンからお金を借りて、店を作ったので
売り上げから返済をしていく仕掛けになっていて
売れなくても、借金が減らないだけだ、との事。
「なら、なんで死ぬんだろう」と輝彦がつぶやく。
なぞなんですよねー、とゆうこ。
もう過ぎてしまった事のせいか、当時はこの店にいなかったせいか
あっけらかんと語るゆうこに
輝彦は微笑んだ。
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言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
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俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
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2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
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