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誰が?
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友里恵には理由がわからないだろう。
好きあっているのに、なぜデートしないのかと
思っているのではないか、と輝彦は思った。
万一、問題があったら
兄に迷惑がかかるかもしれないと言う
輝彦の杞憂など、知りはしないからである。
輝彦も、伸びやかな彼女に心が動いていた。
一昔前ならば、まだ子供、の年代でも
今は大人のような、それでいて
愛らしく無垢な存在である。
普通の子供に、性的に惹かれる筈もなく
それは、友里恵が性的に惹かれるだけの
サインを放っているからである。
動物としての雌性は、誘因のため
揮発性の香気を放つ。
ベンゼン環を持つ
人間のホルモンでは唯一の
拡散性の強い物質である。
それは、成熟しないと放たれず
また、雄性にとって支配的である。
またしても、不自然な人間社会は
自然の摂理に適わない点を見せる。
そして、友里恵の側も
不幸にも成熟をしてしまった為、求める愛は
社会的には禁断、と呼ばれる物である。
生理的、精神的依存は絶ちがたい。
強く、輝彦を求めるのも当然である。
友里恵が格別変な少女かと言うと
そんな事はないと
輝彦は思う。
理論的にもそれは正しく
動物は、増えすぎると
闘争性が高くなる。
つまり、自らの種を遺そうとする訳であるが
結果として、それは
友里恵のような従順な少女にまで
雄の毒牙が掛かる訳である。
そして、刺激は
少女自身を変調させる。
不条理ではあるが、スリルは
興奮を呼ぶ。
それは、生得的に
動物の持っていた記憶である。
種を遺す為の。
増えすぎた種は、潰し合う事で
数を減らす訳である。
その為の興奮だ。
不幸な運命である。
輝彦は、夢を見た。
友里恵を犯した教師を撲殺する夢、だった。
普段、使う事のない不良言葉を吐き、
不逞なその教師を殴り、
動かなくなるまで蹴飛ばした。
その、恐ろしい夢に気づいた時
サンライズ・エクスプレスは
深夜の大阪駅だった。
夢、と言う意識はどこかにあったが
恐ろしいのは、輝彦自身に
暴力衝動がある、と
自認する事、だった。
...僕は野蛮なのだろうか。
輝彦は、思う。
否。
それは、正義なのだ。
悪いことをする者は、憎まれて当然なのである。
まして、教師と言う立場を利用して
幼気な少女の純潔を犯すなど、人間の
する事ではない。
そういう正義の力を代用する存在として
法律があるのだ。
好きあっているのに、なぜデートしないのかと
思っているのではないか、と輝彦は思った。
万一、問題があったら
兄に迷惑がかかるかもしれないと言う
輝彦の杞憂など、知りはしないからである。
輝彦も、伸びやかな彼女に心が動いていた。
一昔前ならば、まだ子供、の年代でも
今は大人のような、それでいて
愛らしく無垢な存在である。
普通の子供に、性的に惹かれる筈もなく
それは、友里恵が性的に惹かれるだけの
サインを放っているからである。
動物としての雌性は、誘因のため
揮発性の香気を放つ。
ベンゼン環を持つ
人間のホルモンでは唯一の
拡散性の強い物質である。
それは、成熟しないと放たれず
また、雄性にとって支配的である。
またしても、不自然な人間社会は
自然の摂理に適わない点を見せる。
そして、友里恵の側も
不幸にも成熟をしてしまった為、求める愛は
社会的には禁断、と呼ばれる物である。
生理的、精神的依存は絶ちがたい。
強く、輝彦を求めるのも当然である。
友里恵が格別変な少女かと言うと
そんな事はないと
輝彦は思う。
理論的にもそれは正しく
動物は、増えすぎると
闘争性が高くなる。
つまり、自らの種を遺そうとする訳であるが
結果として、それは
友里恵のような従順な少女にまで
雄の毒牙が掛かる訳である。
そして、刺激は
少女自身を変調させる。
不条理ではあるが、スリルは
興奮を呼ぶ。
それは、生得的に
動物の持っていた記憶である。
種を遺す為の。
増えすぎた種は、潰し合う事で
数を減らす訳である。
その為の興奮だ。
不幸な運命である。
輝彦は、夢を見た。
友里恵を犯した教師を撲殺する夢、だった。
普段、使う事のない不良言葉を吐き、
不逞なその教師を殴り、
動かなくなるまで蹴飛ばした。
その、恐ろしい夢に気づいた時
サンライズ・エクスプレスは
深夜の大阪駅だった。
夢、と言う意識はどこかにあったが
恐ろしいのは、輝彦自身に
暴力衝動がある、と
自認する事、だった。
...僕は野蛮なのだろうか。
輝彦は、思う。
否。
それは、正義なのだ。
悪いことをする者は、憎まれて当然なのである。
まして、教師と言う立場を利用して
幼気な少女の純潔を犯すなど、人間の
する事ではない。
そういう正義の力を代用する存在として
法律があるのだ。
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