関東電力殺人事件

深町珠

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利己的

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しかし。
この世に生まれた子が、愛されたと記憶されないのは
なぜか、と

光彦は、先ほどの利己的な男達を連想しながら推理する。


人間の子供だけが、動物の中では酷く早産なのは
頭が大きくなりすぎて、産道につかえてしまうからである。

知性だけが突出してしまった結果である。

天敵を失って異常繁殖した生物、であるが
それ故の末路であろうか。


未熟児出産の為、環境が整わないと
子供は、それを「愛の欠乏」と感じる。


論理的ではないのである。


なので、母親の存在を
他の動物のように求めるのだが

厄介な事に、人間の子は
放置すれば死んでしまう。

他の動物は、生まれてすぐに自立出来るし
目も見えるので

一人でも、どうと言う事はない。
だが、人間は

最初、目も見えず自立もできない状態で
快適な母胎から追い出されてしまうので

その時、環境が整わないと
不快感が、最初に記憶されてしまう。


あたかも、コンピューター・ソフトのバグのような
存在であるが

以降、そのバグが人格のゆがみになり
不快感が、攻撃性を生むのである。


それは、例えば頭痛のように
薬で直るものだし、コンピューターウィルスのように
記憶を修正すればいい代物だ。


対処はそれでいいが
病気と言う認識が、まだ薄いのが日本と言う国である。



そして、生まれた時の環境が整わない理由は
不自然だからである。


母親、でも父親でもいいが
養育者が、我が子を育てる心の余裕がない環境...

それは、経済的であったり、物理的な時間であったり

様々だが、要するに社会環境が悪いのである。


簡単に言えば、親達が子育てを楽しめない程
社会が彼らを締め付けている、と言う事である。



例えば、労働環境であったり。

金銭的貧困であったり。


心や体を荒ませる原因を作ったのは
例えば、労働賃金の中間搾取であったり
労働環境に於けるパワーハラスメントであったり。
セクシャルハラスメントであったり。

つまりは、弱いもの虐めである。

イジメの根元は、実は政治に倫理性が低いためであろうか。


かつて、労働法を改悪して
労働者賃金の中間搾取を認めたのは
国である。


電力料金に、電力会社の経費を全部乗せて
利用者に払わせる方式にしたのも
国である。

そして、その金で原発を作ったのも
国である。


そう考えると、義憤に駆られた者が
犯罪を起こす、等という事も
動機足りうるかもしれない。

今回の事件は、どうか分からないが





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