関東電力殺人事件

元総理の孫嫁

ネット上では、この元アナウンサーが
保守党の元総理の孫嫁なので
逮捕されなかった、などと
憶測が飛び交っていた。

つまり、そう言われるのは
保守党、政治と言うものが
世間からそう見られていると言う事だろう。

事故発生直後の報道では
車両は白いＶＷトアレグで、右折巻き込み事故と
言う話だった。



だが、そのデータはネット上で削除され
黒いアウディＱ５、前で衝突と書き換えられた。

その他にも不審な点が多いので
隠蔽などと言われたのだろう。

輝彦たちの追っている事件も
そういえば、保守党政権が引き起こした
隠蔽が関連している。

普通の人が見ても不審なのだなと
なんとなく、輝彦はそんな風に思う。


そんなものを、どうして放置するのだろうか。

ネット上の批判も、陰口のようなもので
正面から批判した者はいない。

それが民衆と言うものだろうか、この国の。


しかし、皆哀れなものだ、と思う。

人として生きる、一分一秒は皆に平等である。
いや、動植物にも。

なぜ、その一瞬を豊かに暮らそうとしないのだろう。
多少金があろうと、有名だろうと
無名だろうと貧乏だろうと
無関係に時は流れてゆくのだ。

不平を垂れても、楽しみを満喫しても同じである。

事実、セレブなどと言われて事件を起こした女は
不幸な顔をしていた。



事件前から、引き攣った顔をしていたし
それはつまり、安泰ではなく不幸な境遇であることを示している訳であるから
セレブリティー、等ではない証明でもある。
実際はかなり不幸だったのではないだろうか。


ネット上での、その事故に関する情報は
なぜか迅速に削除されていった。

休日にもかかわらず、である。

一体誰が、各々のサイト管理者へ連絡して
消去したのだろう。

通常、削除を依頼しても迅速に処理などされないから
やはり、公的な、例えば警察あたりが
依頼したのではないかと
また憶測記事が書かれ、それも消されて行った。

しかし、皆はテレビニュース画像などを使ったりして
情報を流して行った。

そういう、事実隠蔽が嫌なのだろう。


それは理解できる、と思った。


ただの交通事故に、情報操作をするのは
どことなく不穏である。


輝彦たちが追っている事件と根元が似ているようにも
感じられた。


そうしている間に、特急ソニックは
小倉に近づいてきた。

都会的な風景に変わり、ああ、旅も終わりだと
旅愁を感じたりする輝彦であった。