関東電力殺人事件

深町珠

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最後の晩餐

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取材旅行最後の晩餐と言う事で
休暇中の名古屋刑事を呼んで、豪華に(笑)と言っても
普通のコースメニュウだが、名古屋刑事には喜んで貰えた。

どうしても、捜査の話になってしまうのは
お互いの志で、仕方がない事だ。

「東京で死んだ会長は、どうやら影武者らしいんだけど
そいつが、女性幹部殺害事件の現場に居たらしい、と
警視庁の鑑識も知っててね」と、名古屋刑事。


「どういう事ですか?」と、輝彦は尋ねる。すると、


「つまり、本物の会長は無実なんだけど、影武者が居るって事を世間の知らせる訳にも行かないし、影武者さんの
意志で殺人を犯した訳じゃない、と言う事。」



と、名古屋刑事はさりげなく言う。


ホテルのレストランは適度にノイズがあり、空間も広く
会話を聞かれる心配が無いので好都合だ。


「つまり、やはり利権側の意志だと?」

と、輝彦が返すと、名古屋刑事は頷いた。



その当時、原発利権はまだ、国民の関心事では無かったので
恐らくは、殺すつもりは無かったのだろう。
だが、その女性幹部の、半ば自爆テロのような
捨て身の攻撃でそれが明るみに出てしまった。

そこで、とりあえず通りすがりの外国人の犯行と言う事に
したのだが

調べでは、その女性幹部は何か秘密を握っていたのだろう、それで、その存在を開かさなかったので
影武者は、勢い余って殺してしまった。

そういう話らしい。


「その秘密、なんでしょうね」と輝彦。


「死人に口無し、で。今となっちゃわからん」と、名古屋刑事。



重大な秘密だったのだろう。

そこで、左翼系政権になった時、冤罪事件として
再審が始まった途端....

極右の、関東の知事が
領土クーデターを企み、政権は転覆した。

その知事は、改革派の若い関西の知事の政党を
骨抜きにし、保守の政権奪取を画策した。


成功した。全ては、事実隠蔽の為ではないか。


と、名古屋刑事は推理した。


「電力利権の為じゃなくて?」と、輝彦。



それもあるだろうけど、それくらいじゃ人までは殺さないだろう、とは

名古屋刑事。


なるほど、と
輝彦は合点した。
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