関東電力殺人事件

深町珠

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健康的

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真智子は、美人ではないが
素朴で、健康的な感じが
今風ではなく、そこが好ましいと輝彦は思った。

東京駅で会った姉の方が
どちらかと言えば美しさを際だたせる術を知っている、
そういう印象である。


テーブルは、創作料理の品が並ぶ。
無国籍調であり、例えば秋刀魚のカルパッチョであるとか
やや、不思議な味覚に感銘を受ける。


真智子も、料理を楽しんでいる様子で
それは良かった、と
輝彦は、自然にそう思う。

食後のデザートは、柿のアイスクリームであった。

あまり見かけない一品を、真智子は喜んでいた。
少女のままのような表情に、輝彦はどこか和んでいる。

最近の若い女性が無くしてしまった自然さ、が
魅力的だ、と思い

ふと、志水が執着した心を推し量った。


食後、大分へ戻ると言う真智子を
由布院駅まで送りつつ、輝彦は尋ねる。

「これから、どうなさいますか?」


真智子は、あまり深く考えず「大分で暮らして行こうと思います」とだけ答え

由布院駅の、オープンスタイルの改札の向こうへ。

いろいろ、ありがとうございますと
丁寧に挨拶をするあたりは、流石に元、会長令嬢である。


どういう経緯で、勝又家の令嬢になったのか
気になったが、そういう話を聞くのは
可哀想に思えた。

何せ、家族はばらばら、父親は行方知れずで
戸籍は逸失。
頼れるのはフィアンセだけ。

地震さえなければ、今でも安泰な暮らしであっただろうに。





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