関東電力殺人事件

深町珠

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にちりん9号 宮崎空港ゆき

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列車は、50分程で大分駅に近づく。
高架の真新しい構造物が似合わない長閑な風景である。





列車は、のどかに揺れながら
大分へと、下り坂を転がって行く。






宮崎空港ゆき にちりん9号は2番乗り場です
と、明るい女声アナウンス、自動音声に誘われて

下りホームへ向かうのも、一旦地上に降りて
高架に登るが

エスカレーターがあるので、どうと言う事はない。
都会と違って、エスカレーターを駆け上がるような
慌ただしい人も見かけない。


そのあたりが好ましいなぁと、ホームで列車を待つ。

風吹き渡る高架ホームは、それなりに爽快感があって都会の駅では
通勤通学の時など、リフレッシュできた。


そんな事を思い出しながら。


宮崎空港ゆき「にちりん」は、始発なので
ゆったり座れる。

ハイパー・サルーンと言う電車で、車両の真ん中に
入り口のある、おもしろいデザインだ。


室内がちょうど半分に分かれるので
騒音も半分になるし、なにより相互に存在を意識するあたりが
日本人らしく、気遣いをして好ましいと
そういう評価もある。


都会のように、相互に認識をしなくなると
良からぬ事をしても、発覚しなければいい。

そんな感じで、無秩序状態になってしまう。


例えば、さきのエスカレーターの話もそうだ。
東京では、エスカレーターの右を開けて置かないと
歩いてはいけない、エスカレーターを歩く者に
押し倒されたりする。

正しく法を守っている者が、無法者に譲歩する。
そんな事が起きている、日常的に。

電力利権もそうで
電力会社は何をしても損しないように
電気料金を決めて良いという法律を作ってしまって

それで、要りもしない原発を乱造する。
その費用を庶民に払わせる。

爆発したら、放射能処理費まで
庶民に払わせるのだ。


払わなければ、電気を止めると傲慢な商売をしている。



それが、利権に群がる者たちの利益に
なっていたのである。



悪いのは、電力会社だけではなく
利権構造そのものがダメだと

左翼政権の当時の政府は、関東電力解体を決めた。

途端、何故か過去の関東電力女性幹部殺害事件が
冤罪だとして、被告は釈放された。

なぜか、右翼のある知事が
中国との領土問題を紛争化し、左翼政権は転覆。

そして、右翼系が結託して原発利権復活を企てる。

渦中の会長・社長が抹殺、会長令嬢までも。


誰の仕業だろう?


動機があるのは、左翼系ではあるまいと
輝彦は思う。


かつて、オウム真理教事件の時も
村井幹部が、「資金一千億円」などと口走ったとたん
右翼を名乗る粗暴犯に刺殺されたことが
連想される。


あの時、官僚組織に対するテロ行為が元だった。


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