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密室
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ああ、いえいえ、と
輝彦は、古ぼけたトヨタ・クラウンのドアを開けて
外に出た。
刑事と電話番号を交換し、バス停に向かった。
11時6分の指宿駅行きが、そろそろ来る。
視界の隅では、現場検証が
まだ続いていた。
-----------------
sent from W-ZERO3
「あ、兄さんですか、輝彦です」
バスを指宿駅前で降り、輝彦は家に電話し
経緯を伝える。
当然のように叱責されるが、今回は不可抗力だ。
たまたま、巻き込まれただけなのだから。
兄に、尋ねたかったのは
過去の事件とのつながり。
会長の遺伝子情報が、過去の
部下殺害現場に存在したか、と言う事。
兄は、お前の推理通りだ、と言った。
「その情報は、最近分かった事ではないんじゃないですか、兄さん。」
兄は黙っている、刑事局長と言う立場上言えない、と言う事だ。
事実隠蔽は、おそらく当時からあったのだろう。
司法に圧力を掛ける程の、存在。
それは、法治国家にあってはならない事だ。
それは別にして、なぜ、その女性幹部は
殺される理由があったのだろう?
その捜査は困難だが、時系列を遡り
真実に到達するしかない。
被疑者死亡というのは、明らかに
何者かによる隠蔽工作だろう。
「それで、会長と社長の死因はなんだったのですか?」と
輝彦が尋ねる。それには兄も応える。
「毒物中毒死だ」と。
急性のもので、恐らくは服毒自殺か
あるいは飲食物への混入によるもの、だそうで
毒物はそれぞれ異なる物質だ、との鑑識結果であった。
二人とも、自宅で死んでおり
家族も気づかなかった、との事。
密室殺人か......。輝彦は唸る。
輝彦は、古ぼけたトヨタ・クラウンのドアを開けて
外に出た。
刑事と電話番号を交換し、バス停に向かった。
11時6分の指宿駅行きが、そろそろ来る。
視界の隅では、現場検証が
まだ続いていた。
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「あ、兄さんですか、輝彦です」
バスを指宿駅前で降り、輝彦は家に電話し
経緯を伝える。
当然のように叱責されるが、今回は不可抗力だ。
たまたま、巻き込まれただけなのだから。
兄に、尋ねたかったのは
過去の事件とのつながり。
会長の遺伝子情報が、過去の
部下殺害現場に存在したか、と言う事。
兄は、お前の推理通りだ、と言った。
「その情報は、最近分かった事ではないんじゃないですか、兄さん。」
兄は黙っている、刑事局長と言う立場上言えない、と言う事だ。
事実隠蔽は、おそらく当時からあったのだろう。
司法に圧力を掛ける程の、存在。
それは、法治国家にあってはならない事だ。
それは別にして、なぜ、その女性幹部は
殺される理由があったのだろう?
その捜査は困難だが、時系列を遡り
真実に到達するしかない。
被疑者死亡というのは、明らかに
何者かによる隠蔽工作だろう。
「それで、会長と社長の死因はなんだったのですか?」と
輝彦が尋ねる。それには兄も応える。
「毒物中毒死だ」と。
急性のもので、恐らくは服毒自殺か
あるいは飲食物への混入によるもの、だそうで
毒物はそれぞれ異なる物質だ、との鑑識結果であった。
二人とも、自宅で死んでおり
家族も気づかなかった、との事。
密室殺人か......。輝彦は唸る。
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