科学は、如何にしてヒトを幸せにするか～ななの例～

閾値

「このまま、治らないと
私、どうなってしまうのか」ゆきなは
涙ながらにそう告げた。

よく眠れずに、朝を迎えるので
脳が休まらない。

人間が眠る理由のひとつに
記憶のリセットがある。


コンピュータのリセットと同じで

一時記憶されたデータを、細胞に
移す作業になるのだけれども


眠らないと、それができないので


コンピュータで言う、ワーキングメモりが
少なくなっていく。


コンピュータは人間の模倣で作られたので
当然の事だが。


時折、プログラムのように
メモりを解放すればいいのだが。


人間はそう簡単にはできない。



自然環境で、夜が来たら眠るように
出来ている人間が

夜も起きて、眠る時間が減ると
メモり不足のプログラムのように
動作が変になる。



注意欠陥の子供のように、である。


コンピュータを使うように世の中が変わって

プログラムが使いにくいので、脳が疲れるから


余計に睡眠が必要なのに、睡眠は不十分で


おまけに脳の代謝は、環境に対応できていない。


８時間コンピュータを使った時の
脳のエネルギー代謝物質は、ほとんど
乳酸であるが

代謝物質の量を調べると、コンピュータ作業の後１６時間眠らないと

元には戻らない事が解っている。


コンピュータプログラムを作る人が
独特の雰囲気になるのはそのせいで


代謝の為に薬を使うと、本当はいいのだ。



ゆきなのように、ひとりで部屋で
悩んでいても同じく


脳が休む暇がないのだ。






「大丈夫。いつか考えが止むから」と、加藤は優しく言った。



「本当に？」ゆきなは、少し笑顔を見せた。



「とことんまで行ってもね。人間は
大丈夫なんだ。どんな事でも飽きる
ように出来ている」


それは本当で、横臥療法があるように
とことん思ってしまうと、そこで
飽きるように人間は出来ている。


そうしないと、例えばジャングルに
住んでいた頃だったら

考えに耽っていると、ライオンに食われてしまうので（笑）


ある程度までしか考えが続かないように
人間の脳は出来ている。


無理矢理がり勉しても成績が上がらない理由である（笑）。



出世する人に残業好きがいない理由でもある。



ゆきなの悩み事は、でも
加藤の助けで
なんとか解決できそうだ。