科学は、如何にしてヒトを幸せにするか～ななの例～

ルーフィとめぐ

たまたま、めぐの国に来ていたルーフィは
加藤の連絡を受け取って

「この話、面白そうだけど、どうする？」と
めぐに尋ねる。



「なんですか、それ？」とめぐが尋ねると


ルーフィは「心が苦しんでいる人の為にね、
夢の中にお邪魔しまーす、って」と
おどけて言った。



めぐの家、２階の廊下は
吹き抜けになっていて。


そこの籐椅子で、ルーフィとめぐは
お話。



「夢にあたしが入って、どうするんですか？」めぐは、全然解らない。



ルーフィは「その人が、心に病んでる事がね、夢に出てくるの。その夢は、勘違いなんだよーって、教えてあげればいいの」と、ルーフィ。



めぐは、首をかしげて。

さらりと、長い髪が揺れる。
真っ直ぐに前髪が流れて、少し大人っぽく額が見える。



「でも、あたしわかんないもの。どこが間違いか、なんて。ひとの記憶なんて」と、めぐ。



ルーフィも気づき「そっか、そうだよね。
先に過去に旅しないとわかんないか」と気づき


加藤にメールを返す。





加藤は、研究棟から
西門に向かって歩いていた。

歩いても１０分くらいは掛かるので

のんびりお散歩気分。

緑深いこの場所は、周囲に何もなく
野原だけが広がる高原である。



メールに気づき、加藤は
折りたたみの古い携帯電話、Pー705iCLを
開く。



ルーフィからのメールを読んで



「まあ、それは妥当だな」と、思う。



記憶の判断は、麻酔面接でも
難しいものだ。


ちょっと、１８才の女の子には無理かもしれない。




それなら、時間旅行をして
見て貰ってからの方がいいかな。ルーフィさんに。


加藤は、そんな風に考えた。




世の中が平和になっても、皆が裕福になっても
健康不安だけは変わらないので


医療と福祉には、相変わらずのコストが
掛かる。



健康保険、なんて制度も
行政のスリム化で自由加入になったから

医療従事者の人員は不足気味だった。