科学は、如何にしてヒトを幸せにするか~ななの例~

深町珠

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ななの気持ち

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ロボットの加藤は、ななとやさしく抱擁して

愛しい気持ち、ってこういうのかな?
なんて思う。



でも、たぶん

ななさんは、人間の加藤をお好みで

人間には言えないので、ロボットの加藤を
身代わりにしているのだろう、なんて思う。



ロボットの加藤は、それで再度思うのだ。

コンピュータに構築したななの仮想人格と
遺伝的アルゴリズムで、増殖をしたいと。



そういうプログラムになってしまった事が
間違いだったのかもしれないけれども
人間、加藤は
愛する人の子供がほしいと思う、健康的な人間である。

ただ、人の世界は乱れてしまって
愛する人を守りきれないから、、改革をするまで
諦めていただけである。





ななの方は、無頓着に
ロボットの加藤と抱擁して

とりあえず安心した。


ぬいぐるみやペットと抱き合うような
そんな感じだったのかもしれないけれども


加藤の言葉と雰囲気を持っているので
混同してしまった。


そんなところだろう。




でも、それはそれで幸せだ。









ジョナサンは、ゴーグルと飛行帽で
開放感に浸りながら
青空の常磐海岸を飛ぶ。




「あれは?」

目指す彼方には、白い煙が見える海岸線。



かつて爆発した福島原発だ。



もう、放射能は飛んでいないとは言うものの
上空から見るとやはり、廃墟になっている
その周辺だ。




「恐ろしいものだな」と、ジョナサンは
その、小名浜へ行きたがらないパイロットたちの
気持ちを案ずる。



「まあ、でも拡散しているから」ジョナサンは冷静だ。


被曝しているのはもう事実だ。




ここまで来て引き返す訳にもいかないし



一応、飛行機で飛んでも大丈夫だと
放射能の調査はされている。



「恐怖かな、現代の」




信仰が作る地獄のイメージと違って
具体的な、恐怖、である。



しかしまあ、失うもののないジョナサンは
楽天的(笑)




郵便置いたら帰ろ(笑)。


なんて、翼に語る。
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