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自由と平等
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【本文】
ジョナサンは、仕事で空を飛ぶ機会に恵まれた。
そういう楽しみのある仕事は、続く。
今は、世の中が変わって
働かなくても大丈夫になったけれども
楽しい事なら、してもいいし
青年らしいエネルギーを、空を飛ぶ事で
発散できればハッピーさ。
ジョナサンはそんな風に思う。
「加藤さんは、科学がそれなんだろうな」
飛行機の翼を、少し右に傾けてカーブする。
右足のペダルを踏み、操縦桿を少し右に、
そして少し機首を上げる。
向かい風だと、これで右に傾いてカーブ。
翼に当たる風が変わって、翼を持ち上げようと
あまりしなくなるからだった。
「まあ、すぐに着くな」
小名浜までは30分くらいだ。
空は自由で、広い。
海辺に沿って飛ぼう。
ななは、チェーンソーを使って樹木を切る事を
試みたけれど
パワーアシストがあっても、結局
切り方を知らなければ危険なのだった。
そこで「加藤さん」と、ロボットに頼る。
ロボットの加藤は慎重である。
それは、人間の加藤と同じだ。
慎重すぎて、恋を逃すあたりも一緒だろうか(笑)。
計算しながら、伐採を行う。
高い枝を払っておいで、後で困らないようにしてから
幹にロープを掛け、根本に切り口を作り
木を倒していく。
ななは、でも
木の切り口に樹液が出て来て
それに、桑形や甲が寄るのを見て
木が少しかわいそうになった。
今まで、ログハウス、なんて
製材された丸太は
生きている樹木にとって
攻撃であると言う事に、ななは気づいてしまう。
「使い古しでいいわ」と、ななは加藤に言う。
ロボットの加藤は頷く。
伐採を止め、間伐材を組み合わせて
作る事にしたが
「ななさんは、優しい」と。
加藤の声で、そう言われると
ななは、なんとなく懐かしい。
ずっと前、そういえば
かわいらしいと言われたっけ。
会心、と言うのかな、と
ななは思いながら、落涙するのだった。
ロボットの加藤は「どうしました?」と
気遣う。
「なんでもないの。想い出があって。
ずっと前に、加藤さんにかわいらしいって言われて
とっても嬉しかったの。思いだしちゃって。」
ロボットの加藤は記憶を辿る。
それは、加藤とななが席を並べていた
アルバイトの時。
ななが、眼鏡を掛けて来たので
それを、何気なくかわいらしいと言ったのだった。
言葉は不思議だ。
そんな一言が、心に残ってしまうのだから。
「あたし、かわいいなんて言われた事なかったの。それでかな」と、ななは涙を拭きながら。
ロボットの加藤は「かわいいですね。」と
素っ気なく言うあたりが、人間の加藤そっくりで
ななは、自然にロボットの加藤にだきついて。
「わたしの事も抱きしめて?」と、ロボットの加藤を見上げてそう言って、落涙した。
ジョナサンは、仕事で空を飛ぶ機会に恵まれた。
そういう楽しみのある仕事は、続く。
今は、世の中が変わって
働かなくても大丈夫になったけれども
楽しい事なら、してもいいし
青年らしいエネルギーを、空を飛ぶ事で
発散できればハッピーさ。
ジョナサンはそんな風に思う。
「加藤さんは、科学がそれなんだろうな」
飛行機の翼を、少し右に傾けてカーブする。
右足のペダルを踏み、操縦桿を少し右に、
そして少し機首を上げる。
向かい風だと、これで右に傾いてカーブ。
翼に当たる風が変わって、翼を持ち上げようと
あまりしなくなるからだった。
「まあ、すぐに着くな」
小名浜までは30分くらいだ。
空は自由で、広い。
海辺に沿って飛ぼう。
ななは、チェーンソーを使って樹木を切る事を
試みたけれど
パワーアシストがあっても、結局
切り方を知らなければ危険なのだった。
そこで「加藤さん」と、ロボットに頼る。
ロボットの加藤は慎重である。
それは、人間の加藤と同じだ。
慎重すぎて、恋を逃すあたりも一緒だろうか(笑)。
計算しながら、伐採を行う。
高い枝を払っておいで、後で困らないようにしてから
幹にロープを掛け、根本に切り口を作り
木を倒していく。
ななは、でも
木の切り口に樹液が出て来て
それに、桑形や甲が寄るのを見て
木が少しかわいそうになった。
今まで、ログハウス、なんて
製材された丸太は
生きている樹木にとって
攻撃であると言う事に、ななは気づいてしまう。
「使い古しでいいわ」と、ななは加藤に言う。
ロボットの加藤は頷く。
伐採を止め、間伐材を組み合わせて
作る事にしたが
「ななさんは、優しい」と。
加藤の声で、そう言われると
ななは、なんとなく懐かしい。
ずっと前、そういえば
かわいらしいと言われたっけ。
会心、と言うのかな、と
ななは思いながら、落涙するのだった。
ロボットの加藤は「どうしました?」と
気遣う。
「なんでもないの。想い出があって。
ずっと前に、加藤さんにかわいらしいって言われて
とっても嬉しかったの。思いだしちゃって。」
ロボットの加藤は記憶を辿る。
それは、加藤とななが席を並べていた
アルバイトの時。
ななが、眼鏡を掛けて来たので
それを、何気なくかわいらしいと言ったのだった。
言葉は不思議だ。
そんな一言が、心に残ってしまうのだから。
「あたし、かわいいなんて言われた事なかったの。それでかな」と、ななは涙を拭きながら。
ロボットの加藤は「かわいいですね。」と
素っ気なく言うあたりが、人間の加藤そっくりで
ななは、自然にロボットの加藤にだきついて。
「わたしの事も抱きしめて?」と、ロボットの加藤を見上げてそう言って、落涙した。
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