科学は、如何にしてヒトを幸せにするか～ななの例～

希望

「２月生まれのゆりはね。誕生日が
来て１８才になった後、
もう、逮捕されないよって
どこまで冗談なんだか、わからないけど

僕が、ゆりの判断力を心配して
遠慮してると思って、そんな事を言ったんだ」と、加藤は言った。



ななは「本気だったんですね、きっと。
女の子って、そういう所あるし。
他の女の子に触れて欲しくない、そんな
気持ちもあったと思います」ななは、自身の記憶も含めてそう言った。


なな自身、加藤の気を引きたくて
はしたない格好をしたりした事もあった。

わたしをちゃんと見て、愛して。


そんな意思を体で表現したのだ。



「もちろん、ゆりは魅力的だと
僕はそう言った。でも、それだからこそ
ゆりに本当に幸せになってほしいとも思う。
僕のようなおじさんが相手で、本当にいいのかと。少したってから、後悔しないかと。
そう思ってね。急いで結婚なんてしなくても、と」




「結婚ですか」ジョナサンも驚く。


ななも、そこまでは考えなかった。




「ゆりは、なぜか急いで結婚して、赤ちゃんがほしい、そんな風に夢見てた。
赤ちゃんなんてね、うるさいし汚いし臭いし。
まあ、JKだってそうだけど」と、加藤は笑った。



ファンタジーの中に、生きていると

それは、ひとつの異空間のようなものだ。


人間は、目で見て耳で聞いて、触れて。

それを、神経が電気信号で伝えて、頭で
時空間をイメージする。


例えば近眼の人なら、ぼやけた映像が
現実だと思っているだろう。


送電線が見えない、綺麗な空だと感じたり。



耳の聞こえない人なら、騒音の感じられない
電車のガード下、を感じるかもしれない。


ゆりにとって、結婚は
憧れのHAPPY 、なのだろう。


そういう空間をイメージしている。



それを、現実にしたいと思うのは
認識ではない。



現実を基準に、夢から離れるのが
認知であるのだ。




「赤ちゃんを育てるのは大変だから。
人間は頭が発達したせいで、世話をしないと
死んでしまう状態で生まれて来てしまう。
そこが、なぜか進化しないままなんだね」と、加藤はいい、「だから、ジョナサンさんみたいに
人工環境で生まれて育つような、そういう試みがアメリカでは行われて。」



それは、発生期間に親から受けるストレスが
子供に与える影響を考えたものでもある。

胎内環境が悪化しているので、化学物質などの
影響を元々受けて、健康を損ねた状態で
生まれてくる子供が、心の健康をも
損ね易いのは、割と知られた事実である。