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勢いときっかけ

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「でも、それが演技だったら?」ななは
すこし辛辣だけど

それは、この加藤では理解できないが(笑)
もうひとりの加藤に選ばれなかった、そういう思いも
多少はある。


ななは、混同している。

目の前の加藤は、ななの事を選ばずに
過去に旅した加藤ではないのだけど



それを認識するのは、すこし酷だ。





加藤は、静かに微笑みながら

「瞼が腫れるまで泣いた、って
ガーゼ貼って来たんだけど。それも演出だって思えば思えるけどね。でも、ゆりは最後に
僕の将来を考えて、自由を選ばせてくれた。
真っ当だと思う。たとえ、嘘だって
なんでもいいんだ。信じられれば。
騙されても悔いはないさ。」と、加藤は笑顔になった。



自分ではない誰かの為に生きられるなら
そんなに幸せな事はないもの、男として。


加藤が言外にそう言うようで、ジョナサンも
頷いた。


「愛ですね」と。




「だから、
僕はゆりが恋する夢を見ているなら、10年も
すれば醒めるだろうと思って、時間を置いた」と、こっちの加藤は言う。


もうひとりの加藤は、時間をやり直すと
言って、10年前の並列時空間に行った。
戻ってくる事の出来ない旅へ。


「加藤家はね、元々平家の落ち武者で。京都の東本願寺の修行僧だったのさ。ゆりの家も
石川県、だと言っていたし
加賀野姓だから、ずっと祖先が同じなのかもしれないね。奇妙に、出逢った時から
仲良くなれた。」と、加藤は言う。

それも、並列時空間なのかもしれないのだけれども。


「女難は、うちの家系に多いんだ。役者が
居たりするので、どうも坊主の系統には
多いらしい。でも、兄はね」と、加藤は
兄が女難で命を落とした事を話した。
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