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117クーペ
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蒲田区役所の前の通りを
流麗な自動車がゆっくりと走っていった。
柔らかい曲線のボディと
穏やかなエンジンの音。
波打つようなライン。
ガラスまでがカーブを描いて。
緑色の117クーペは、交差点をゆっくりと
曲がった。
ステンレスのドリップ。
ウッドパネルと、ステアリングは優雅だ。
「いい車だな」ジョナサンは
ななと、みわから少し離れて
クーペのスタイルに見入っていた。
あまり、車はよく知らないけど
工芸品のようなそのデザインは
美しい、と誰にでもわかる。
その車は、商品として売られたのだけれども
お金を出して買う為に作ると言うよりは
職人たちが、美しいものを作りたいと言う
心を満たす為に作られた、そういう魂が
現れた、いわば作品だった。
かつて、この国にも
そういう気風が溢れていたのだった。
その頃、みわの歌ったさっきの歌のような
心を感じる歌も、また
この国に溢れていたのだった。
それは、日本人の心。
お金出しても、買えない、そういう心。
それに、ジョナサンも
アメリカンながら憧れる。
みわも、自然にそれをイメージして
そういう歌を好むのだった。
お金って、本当は
そういう職人さんたちへの
お礼に差し上げるためのもの。
古来の日本人はそう考えていた。
お礼に相応しいのは、価値のいいかげんな
貨幣ではないはずだったのに。
そう、思うのは自然だ。
流麗な自動車がゆっくりと走っていった。
柔らかい曲線のボディと
穏やかなエンジンの音。
波打つようなライン。
ガラスまでがカーブを描いて。
緑色の117クーペは、交差点をゆっくりと
曲がった。
ステンレスのドリップ。
ウッドパネルと、ステアリングは優雅だ。
「いい車だな」ジョナサンは
ななと、みわから少し離れて
クーペのスタイルに見入っていた。
あまり、車はよく知らないけど
工芸品のようなそのデザインは
美しい、と誰にでもわかる。
その車は、商品として売られたのだけれども
お金を出して買う為に作ると言うよりは
職人たちが、美しいものを作りたいと言う
心を満たす為に作られた、そういう魂が
現れた、いわば作品だった。
かつて、この国にも
そういう気風が溢れていたのだった。
その頃、みわの歌ったさっきの歌のような
心を感じる歌も、また
この国に溢れていたのだった。
それは、日本人の心。
お金出しても、買えない、そういう心。
それに、ジョナサンも
アメリカンながら憧れる。
みわも、自然にそれをイメージして
そういう歌を好むのだった。
お金って、本当は
そういう職人さんたちへの
お礼に差し上げるためのもの。
古来の日本人はそう考えていた。
お礼に相応しいのは、価値のいいかげんな
貨幣ではないはずだったのに。
そう、思うのは自然だ。
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